大上 智弘 院長の独自取材記事
宮久保眼科
(前橋市/群馬総社駅)
最終更新日:2022/07/08
前橋駅からバスで15分ほどの場所にある「宮久保眼科」は、子どもの弱視や近視治療から白内障治療、涙道手術、ぶどう膜炎診療、緑内障治療、硝子体手術や黄班変性症に対する硝子体注射の治療まで幅広く対応。先進的な治療を積極的に取り入れながら地域に根差した診療を続けてきた。前院長の急逝に伴い2021年には、白内障手術と網膜硝子体手術を専門とする大上智弘先生が院長に就任。先端の医療機器を積極的に導入し、総合病院レベルの専門性の高い治療を提供している。来年開業30年を迎える同院の強みや今後の展望について、大上院長に話を聞いた。
(取材日2022年5月23日)
専門性の高い眼科治療をワンストップで対応
こちらの医院の成り立ちと、先生が院長に就任されるまでの経緯を教えてください。
当院は、初代院長の宮久保寛先生と現理事長の宮久保純子先生ご夫妻が1993年に開業したクリニックで、来年開院30周年を迎えます。開院当初から白内障治療に力を入れていたのですが、中心となっていた寛先生が急逝された後、純子先生は病院を新しく建て替え、診察、手術を引き継いで来られました。そして純子先生は今後のさらなる発展のため非常勤として当院で勤務していた私に眼科を引き継がないかと声をかけてくださいました。
私は白内障手術と硝子体手術を専門としていましたし、生まれ故郷の前橋で眼科の医師として自分の力をお役に立てられると考え、2021年に院長に就任させていただきました。
クリニックの特徴を教えてください。
当院は開院当初から「最新の医療」、「明快な納得のできる医療」、「快適な医療」の提供を目標にし、先進的な治療を積極的に取り入れながら診療を続けてきました。特徴としては、ワンストップでできるだけ多くの患者さんに対応できるようにしている点です。例えば、角膜の病気や緑内障に関しては、専門とする先生に東京から来ていただいていますし、涙道の病気は純子先生、ぶどう膜炎という目の炎症については副院長の花田厚枝先生、網膜硝子体疾患や白内障疾患については私というように、それぞれに専門の医師が治療にあたります。また、大学病院や基幹病院との連携体制も整っていますので、万が一重篤な症状の場合や入院が必要な場合であっても、責任を持って状況に合わせて病院をご紹介しています。
患者さんの年齢層や主訴についてはいかがでしょうか?
お子さんの弱視治療から若年層の近視治療、年配の方の白内障治療など、年齢層も主訴もさまざまです。突出して多いのは見えにくさを感じて来院される方です。群馬県は平野が広いこともあり車社会のため、免許更新の際の視力検査で引っかかって来院する方も多い印象です。来院して検査をした結果、他の目の病気が見つかる場合もあります。近年は、スマホやパソコンといった端末を使う時間が長くなっていますから、目の渇きやゴロゴロするなど不快な症状を訴える方も増えているように思います。また、当院では純子先生が涙道といって、涙の通る道の手術を専門としているのですが、その手術を専門としている先生が少ないため、県外からも多くの患者さんが当院にいらっしゃいます。
豊富な経験を生かし、患者の視力を守っていく
ところで、先生が医師を志したきっかけは何だったのでしょうか。
子どもの頃から自然科学や理科が好きでした。動物や植物、星などにも興味があったのですが、職業として考えた時に、困っている人を直接手助けできる医師という職業に魅力を感じました。物理や生物、数学なども好きだったので、研究の道に進むということを考えたこともあったのですが、やはり人に関わる仕事がしたいと思い筑波大学医学部に進学しました。医科大学ではなく、総合大学の医学部を選んだのは、医学以外の分野も学びたいと思ったからです。実際には2年生になって実習が始まるとたいへん忙しくなって、他の分野を学ぶどころではありませんでしたが(笑)。
いろいろな診療科がある中で、眼科を選んだのはなぜですか?
大学時代に医師としてどの診療科に進むのか悩んだ時に、視覚というとても重要なものを守る眼科に魅力を感じました。例えば、視力が悪くなって失明してしまうと、その人の社会生活にも大きな影響を及ぼします。そのことを考えたとき、眼科の重要性を強く認識しました。眼科は奥が深くて、瞼や涙道といった目の周りの組織から、角膜、白内障、緑内障、網膜の病気など扱う疾患は非常に多岐にわたります。その中で私が専門としているのが、網膜硝子体手術と白内障手術です。特にやりがいを感じるのが網膜剥離の手術です。網膜剥離は、ある日突然網膜が剥がれて、放置すれば目が見えなくなってしまう場合もある病気なのですが、手術さえすれば対応が可能なケースが多いからです。
もう一つの専門でもある、白内障手術についても詳しく教えていただけますか?
白内障というのは、わかりやすく説明すると、水晶体という目の中のレンズが濁ってしまうことで、早い人では30代や40代で症状が現れることがあります。ただし、症状が出たからと言ってすぐに治療が必要というわけではなく、眩しさや霞みといった自覚症状が出て、不自由を感じるようになった場合には治療をしたほうが良いと思います。例えば、水晶体がきれいに濁っているわけではなくて、まだらに濁ってしまっている場合、入ってきた光が目の中で散乱して眩しく感じるんです。そうした場合には視力に問題がなくても手術をしたほうが良いでしょう。手術の流れとしては、黒目と白目の境目に小さな傷を作って機械を挿入し、水晶体の濁りを砕いて吸い取り、そこに折りたたんだレンズを入れていくという感じです。傷口といっても今では2.2mmから2.4mmほどの小さなものですので、日帰りでの手術が可能です。
先端機器を使い、安全と精度にこだわった白内障手術を
こちらの医院で行っている白内障手術について教えてください。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術に関しては総合病院レベルの治療を提供していると自負しています。当院でも特に力を入れている分野の一つと言えます。白内障手術では、目の中に人工のレンズを入れていくのですが、従来の方法では事前に目の形を測って度数を決め、手術当日には目の中に入れるだけという流れが一般的でした。ところが、その方法ではレンズの屈折度数にズレが生じてしまうこともあるため、当院では新たにORAと呼ばれる術中診断ツールを導入しました。これは、手術中に目の状態を測定してレンズの度数の判断に生かしていくシステムで、これによってレンズのズレをできる限り抑え、患者さん一人ひとりに合った度数の提案をより一層追究できるようになりました。導入している医院もそれほど多くないため、当院の診療の特徴の一つであると思います。
お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのようにお過ごしですか?
読書と映画鑑賞です。ほかには、ドライブや軽いハイキング、おいしいものを食べることも好きです。健康のために、最近プチ断食も始めました。眼科は外来診療や手術も座りっぱなしなのですが、疲れるとついつい食べてしまって体重が増えてしまいました。プチ断食では、食事を抜くというと大げさなものではなく、1食か2食をごく軽くするというものですが体が軽くなり体調が良くなった感じがします。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
前院長の時代から、眼科において地域の皆さまの支えとなれるように取り組んできました。今後も変わらずに、先端の機器や治療法を積極的に取り入れながら、一人ひとりの患者さんにとってより良い治療法をご提案していけるようにしていきたいです。眼科の疾患というのは、予防が難しいものが多いため、少しでも違和感を感じたら早めに受診をすることが大切です。目のことでお困りのことがある方は、どんな些細なことでもお気軽にご相談くださるとうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは【多焦点眼内レンズ】 30万円~32万円(選定療養)