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柚木 茂 院長の独自取材記事

松山市民病院

(松山市/大手町駅前駅)

最終更新日:2020/11/27

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市民による市民のための病院として1956年に開設した「松山市民病院」。松山駅からは徒歩5分、松山城や愛媛県美術館などのランドマークにもほど近い場所に立地し、地域のみならず四国4県の医療をけん引する病院をめざし医療提供を続けている。2020年7月に院長に就任した柚木茂先生は、「思いやりの中で高度な医療レベルと高齢社会への対応を成し、長期にわたる治療生活へのケアも併せ持ちたい」と話す。四国がんセンターや松山赤十字病院との連携、自動車事故による重度意識障害患者の受け入れも行う同院では、地域のハローワークと提携した就労支援を行うなど、病中のケアだけでなく患者の生活を多角的に支える。さらにこまやかなチーム医療を体制化し改革を進める柚木院長に話を聞いた。
(取材日2020年8月31日)

高度急性期医療と温かい患者支援を併せ持つ医療を

病院の成り立ちについて教えてください。

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松山市民病院は、1956年に松山生活協同組合立として発足した市民のための病院です。のちに財団法人永頼会が設立され、現在は一般財団法人永頼会となっております。民間でありながら市民病院と名づけられ、どなたでもかかれる病院をめざしてきました。地域の基幹病院として急性期医療やがん診療など高度な医療の提供に努めると同時に、救急科を設立したり、術後管理や重症管理ができる部門を開設したりと幅を広げ、現在の姿があります。病院の役割はさまざまありますが、社会の高齢化が進む中、私たちも高齢化している患者さんの生活背景を含めた対応が求められていると感じています。新型コロナウイルス感染症へのさまざまな対策にもスピードを持った対応が求められていますよね。柔軟性を持って大小の改革を重ねながら、多くの方に愛される病院づくりをしていくのが基本理念です。

どのような診療科目や設備などがありますか?

一般内科や外科をはじめ、整形外科、皮膚科、泌尿器科、小児科などがあり、診療内容は多岐にわたっています。ICUやリハビリセンター、内視鏡超音波センターなど各種部門では、それぞれにスペシャリストがいることはもちろん部門長の配置もしっかり行っています。そのことが現場での迅速な問題解決につながっていると思いますので、患者さんの利便性や満足度にもつながっているのではないでしょうか。救急の輪番病院でもあり、2019年1月~12月までの救急患者総数は9299人、手術件数は2724件です。高度急性期病床も徐々に増えて現在は14床ありますので、重症患者さんへの対応もしっかり行えると思います。訪問看護課、地域医療連携室、病児保育も機能しており、市民の皆さまに安心していただける体制を整えています。

地域性として見られることや近年の傾向などありますか?

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最近はやはりご高齢の患者さんが全体の多くを占めていますね。ですが、ひと昔前と違って70代、80代の患者さん、90代の患者さんも体力を使う手術に挑まれます。生活の質を上げるための治療の選択肢が当院で増えたのだとしたら、うれしい限りですね。ただ、ご高齢の方はいろいろな併存疾患にも注意しなければなりません。ご家族と離れてお一人で、あるいはご夫婦だけで暮らしていらっしゃる方も多いですから、私たちがいっそう変化に注意しなければならないとも思います。また、近年では若い方のがんも増えてきました。働き盛りの方が治療を行いながら社会生活を送れるよう、精神的支えの部分も私たちに与えられた役割になってきたと思います。患者さんの通院中や退院後の不安を少しでも軽減できるようサポートしていきたいと考えています。

病病連携や病診連携、新たな役割で地域医療を先導

他の医療機関などとの連携はありますか?

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四国がんセンターとの関わりは親密です。週に一度当院から医師を派遣して糖尿病の診察を行ったり、逆にこちらに来ていただいてがんの手術を行ったりしています。松山赤十字病院や愛媛県立中央病院には、婦人科のフォローとして患者さんを受け入れていただいていますね。また、例えば認知症があるなど当院までお越しいただくのが困難な場合は、患者さんの最寄りのクリニックと連携して投薬治療をしていただくこともあります。地域の基幹病院としてそうした連携は非常に重要ですので、患者さんの受診歴や検査データ、投薬の記録などをインターネットで共有できる地域連携システムも利用しています。今後もこのような連携は積極的に行っていきたいです。

地域医療連携室や患者さんの就労支援などについてお聞かせください。

地域連携室は当院の中核ともいえる大事な部署で、患者さんが地域で適切な医療を受けられるよう調整し、サポートしています。患者さんが地域の中で急性期、回復期、慢性期とステップを踏みスムーズにご自宅に戻れるよう、担当医師をはじめ、看護師、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーを含む多職種のスタッフが常駐しており、入院当初から関わりながら、退院後の生活をイメージした支援を行っています。入院前から退院後も継続して、患者さんやご家族が不安のない療養生活が送れるよう、一緒に考えていきますのでお気軽にご相談ください。就労支援については、2020年7月より、ハローワーク松山の就労支援ナビゲーターが病院内に出張し、当院の相談窓口職員らとともに患者さんの治療と仕事の両立支援の相談をしています。慢性疾患を持つ患者さんが、治療と仕事の両立について気軽に相談できる体制をつくることで、精神的な支えになればと思っています。

自動車事故による重度意識障害患者の受け入れを行っているのだそうですね。

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前院長である山本祐司理事長が受け入れを決めて立ち上げたものですが、自動車事故での脳損傷による重度意識障害者専門の病床を整え、受け入れをしています。こうした医療機関は全国に11ヵ所ありますが、当院が受け入れを始める前は四国には受け入れ施設がなく、近くても岡山県まで行かなければなりませんでした。これは事故に遭われた患者さんにもご家族にも大変なことです。当院では、脳神経外科の医師、専任看護師、理学療法士、作業療法士、そして社会福祉士、管理栄養士など多くの専門家が介入し、チームで回復管理を行っています。ご家族とともに患者さんのわずかな変化も見逃さないようにし、運動、摂食、発声、認知などを通して機能回復を追求します。

一人の患者に各分野の専門家がチームで関わる

チーム医療についてどのようにお考えですか?

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当院は、外科医師である私が院長で、副院長は内科医師、泌尿器科医師、小児科医師と男女含めて3人います。それぞれ管理職として役割を持ちつつ現場の医師としても働き、事務長とも相談しながら決定や運営を行っています。ここまでお話ししたように現場には多くの部門やチームがあり、リーダーや専門家がいて、日夜患者さんのサポートをしています。そうしたチーム医療が適切な治療を実現できると思っていますし、課題の発見にもなると思います。訪問診療や地域医療連携室など外と関わりを持つ部門も重要な役割を担っていますし、患者さんの利便性を重視した院内処方にもできるだけこだわっていきたい。今後もこの体制を生かしてチーム医療を強みにしていきたいと思っています。

柚木院長ご自身の専門分野や医師としての想いなどお聞かせください。

もともと呼吸器外科への思い入れが深く、当院でも呼吸器外科の診療を担当していました。後に呼吸器外科専門の先生が来られたので、現在は上部消化器外科と救急医療を中心に関わっています。私が医師になった頃は「外科医師とは検査・診断・治療・看取りまですべて行うもの」という教育を受けたものです。そのおかげで内視鏡検査、術式決定と手術など一通りできますし、抗がん剤治療、緩和医療にも対応可能です。長く医療の現場に携わってきてうれしいのは、やはり患者さんが笑顔で退院していかれる瞬間ですね。

最後に、今後の松山市民病院の展望について伺います。

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山本前院長が築き上げた道筋を生かしつつ地域の状況に応じて改革していかなければならないと考えています。このたびの新型コロナウイルス感染症流行のように短期間でシステムを変えなければならないこともありますし、難題はいつの時代にもあると思うのですが、歩みを止めずに問題と真摯に向き合うことが大切ですね。まずは患者さんの些細な変化や訴えを逃さず適切に治療を行うことが最優先。そのためにはまだまだ医師とスタッフを増やさなくてはなりません。松山市民、そして四国の皆さんが頼れる場所でありたいですね。

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