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長谷 和生 病院長の独自取材記事

防衛医科大学校病院

(所沢市/航空公園駅)

最終更新日:2019/08/28

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西武新宿線・航空公園駅の東口から徒歩5分、駅前の交差点からも緑あふれる敷地に建つ茶色の病棟が見える「防衛医科大学校病院」。だれでも受診できる国立の病院で、埼玉県の3次救急病院、災害拠点病院、がん診療指定病院でもある。現在は東棟のリニューアル中で完成は2020年の予定。今後もさまざまな施策で、埼玉県西部地区の医療を支えていく。昨年、病院長に就任した長谷和生先生は、消化器外科の専門医としても各学会で重職を務めるドクターだ。インタビューでは、学生時代に落語研究会に所属した話術でさまざまな楽しい話を披露してもらったが、現在の同院の状況から近未来にめざす姿を語る際の熱く真摯な姿勢が実に印象的だった。
(取材日2016年7月7日)

施設改修なども実施

まず病院の概要からお伺いします。

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当院は、防衛省が設置する防衛医科大学校に附属する病院施設です。ただ病院機能としては全国の他の大学病院と同じでして、どなたでも受診・入院できます。また、がん疾患や脳卒中などの高度治療を担う特定機能病院の指定を受けているほか、24時間体制で重篤な疾患や外傷など救命処置の必要な三次救急患者の受け入れも行っています。一方、施設は、外来患者さんの治療を行う玄関棟を中心に西棟外来、病棟入口である東棟、その後方に検査部門、放射線部門、手術部門などがある中央診療棟、そして東棟の前に救急診療棟が独立して建っています。病床数は800床あり、2010年に新設された西棟に続き、現在は東棟のリニューアル工事に入っておりまして、こちらは2020年春にオープン予定です。

病院の成り立ちについて教えてください。

1977年に設立され、来年の12月に40周年を迎えます。改修工事は主に新しい耐震基準に沿った建物にしようということで始まったものですが、いずれ老朽化した中央診療棟についても建て替えを考え、現在はワーキンググループを立ち上げて検討を始めているところです。個人的に高齢化が一段と進む地域の10年後を見据えますと、特定機能病院として急性期疾患に対応するための体制という点では現状は十分でなく、そのため手術室や救急部門などの整備・拡充が必要不可欠だと考えているのです。そこで、個人的に近未来は手術室の12室運用、夜間緊急手術2列(現在1列)をめざし、新しい中央診療施設においては手術室の面積拡張、特殊手術室の設置、救急部門とICU(集中治療室)、CCU(冠疾患集中治療室)、HCU(重症患者管理室)の整備などにより、安全性・効率性・高度医療技術への適応力を高めていきたいと考えていますね。

病院の基本理念も教えてください。

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3つの柱がありまして、「高度で安全な医療を提供する」、「地域医療並びに自衛官の医療・衛生活動に貢献する」、「優れた自衛隊医官を育成する」を理念としています。これをもとに「地域医療に貢献」、「災害時医療」、「患者さんの立場に立った全人的医療の実践」など、7つの目標を掲げております。これらを達成するために、私は着任の際に今後10年を見据えた短期・中期目標を掲げました。それが先ほど申し上げた中央診療棟の建て替え計画や手術室の拡充なのですが、ほかにも現在工事中のこともあり減らしている病床数を増加させることや、患者さん7人に対して1人の看護師をつける体制への移行、そして運営改善・活性化ワーキンググループの設置や救急医療では初期救急能力の向上と回復期医療へのシームレスな診療体制を確立するための検討もいま行っているところです。

高度治療・緊急対応・感染症対策の地域中核施設に

病院勤務のドクターはどのような方々なのでしょうか?

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常勤医師は約200名います。これに防衛医科大学校卒業後に研修を受けている自衛隊医官(初期研修医約80名と後期研修医約130名)がいます。防衛医科大学校に入学してくる学生たちの多くは東日本大震災や先の熊本地震のような災害時に救命医療を担いたい、あるいはPKOなどの国際貢献で海外の任地で住民や自衛官の健康をサポートしたいという理念で入学してきます。いわばソーシャルな意識の高い人材ですが、彼らを育てるのが防衛医科大学校の役割です。そして、当院はその附属病院として、自衛隊医官に臨床経験を積ませて医療の各専門分野で活躍する人材を育て、そのことで自衛隊医療や地域医療をはじめとする日本全体の医療を底上げすることにつながればという個人的な想いですね。実際に大きな地震などの被災地においては、病院が輩出した医官たちの働きはニュースで報道されている通り、皆素晴らしいスタッフですよ。

エリアにおける貴院の役割は?

医学教育機関としての大学病院として自衛隊医官を養成するための防衛省唯一の医育機関として、自衛隊病院と連携を取りながら、人材の育成や医療研究を行っています。地域の病院としては、急性期の医療に対応し、また高度医療を提供する病院としてすでに地元の皆さまからご支持をいただいている病院です。ただ救急医療においても、個人的にはER化をより進めて、入院後の緊急手術、ICU、CCU、HCUの機能をもっと強化したいと考えています。それは地域医療に貢献することでもありますし、自衛隊医官の救急医療能力向上をサポートすることにもなりますので。

7対1の看護体制になれば、より地域にもより喜ばれる病院となりますね。

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ええ、他の国立大学病院と同じように、7対1看護体制に移行したいと考えています。しかしそれを実現するためには、看護師及びコメディカル・スタッフについて、今後将来構想をきちんと定めて、計画的に態勢を整備していきたいと考えています。

地域医療連携室と緩和ケア室の新設

ところで、院長先生のご専門分野は?

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もともと消化器外科が専門です。前に勤務していた自衛隊中央病院の外科部長時代は、消化器疾患の手術ができるドクターをしっかりと育てる立場でした。その時点では60歳の定年で退職して、あとは好きなことでもやりながら過ごそうかと考えていたのですが、8年前に防衛医科大学校の外科学教授になるということでこちらに赴任し、そこからは学生教育を通じて外科の魅力を伝えて外科医を増やし、さらに優秀な外科医を育てることを人生のテーマに据えて取り組んでまいりました。こちらの病院長に就任したのも、後輩たちが優れた自衛隊医官として育成できるための環境作りができればとの思いでしたよ。

そもそも医師を志した理由も教えてください。

私は防衛医科大学校の2期生です。父は公務員で医学方面とは関係のない家庭。いま思い返せば、高校時代に裸足で医療を施した中国の医師の本を読んで感動したことがきっかけですかね。また僻地医療にも関心もありましたので、医療環境が整わなくて困っている人たちを助けたいというピュアな思いから医学の道に踏み入れたのです。

今後の展望と地域へのメッセージをお願いします。

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地域包括ケアを目的に、2012年から「地域医療連携室」を、今年から「緩和ケア室」を設置しました。特に地元のクリニックや病院の地域連携室との連携を図って患者サービスに努めていこうというものです。また緩和ケアにつきましても地域のケアマネージャーや終末治療としてホスピスとの連携も図っていこうとしているところです。地域でクリニックを運営する防衛医科大学校OBドクターもおりますので、今後も積極的に連携していくつもりです。また感染症に対する体制づくり、救急医療のより積極的な受け入れをめざした人材の確保なども図ってまいります。個人的には、地域の皆さまのニーズに応えられる体制をできるだけ早くに実現する予定ですので、少しお待たせすることもあるかとは思いますが、ご期待いただければ幸いです。

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