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安藤 昭彦 病院長の独自取材記事

さいたま赤十字病院

(さいたま市中央区/さいたま新都心駅)

最終更新日:2019/08/28

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2017年1月、JRさいたま新都心駅前に移転開院した、「日本赤十字社さいたま赤十字病院」。これまでも地域の急性期医療の中心として地域住民に親しまれてきたが、移転後は渡り廊下で結ばれた隣の「県立小児治療センター」と同院の産婦人科が協同して「総合周産期母子医療センター」の運営を開始。全身管理や治療を必要とする妊婦・胎児を受け入れるとともに、経営母体が異なる病院同士の初の共同運営の例として、全国的に注目されている。また「高度救命救急センター」を持ち、周産期に限らず高度急性期・急性期医療に特化した治療を展開。心臓カテーテル治療や脳卒中に代表される脳血管障害の治療、肺炎などの呼吸器疾患、ロコモティブシンドローム、がん治療など、ニーズの高い治療に力を入れており、県立小児医療センターと共に「急性期治療なら胎児から終末期まで」ほぼどんな疾患でも診られる体制が整う。「これからの超高齢社会で求められる急性期医療に対応できる病院をめざしているし、それだけの能力は十分備わってきていると思う」という安藤昭彦病院長に、病院の特徴や移転開院によって強化されたポイントなど話を聞いた。
(取材日2017年5月31日)

地域の周産期・高度急性期医療を一手に担う

2017年の移転開院で、診療体制が強化されたと聞きました。

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移転の一番の目的であり大きく変わった点は、併設する県立小児医療センターの新生児科と当院の産科・小児科とが協働して「総合周産期母子医療センター」を運営し、両施設一体となって周産期医療を提供できるようになったことです。もともと埼玉県の周産期医療は遅れていて、毎年約700、800件はある母体搬送(母体や胎児の全身管理・治療を行うための緊急搬送)を県内だけでは受け入れきれず、100件以上を東京都などにお願いしていました。しかし家から離れると患者さん本人も不安だし家族の負担も増える、また受け入れ病院の都合で高額の差額ベッド代がかかることも多いと、不都合が多かったんです。今回、県内2ヵ所目の「総合周産期母子医療センター」ができたことで、まだ年の途中の数字ではありますが、年間100件以上あった県外搬送は大きく減少しており、大きな成果を挙げていると感じています。

救急分野にも変化があったそうですが。

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集中治療室などの整備を行い、救命救急センターが「高度救命救急センター」へバージョンアップしたことで治療内容・受け入れ人数共に幅が広がりました。これまでやや手薄だった小児科も、県立小児医療センターと可能な限り協力することで胎児期から診られるようになり、高度急性期・急性期医療に関しては、胎児から終末期まで概ねあらゆる疾患に対応できる体制が整いました。2016年に始めた、救急隊などからの要請に応じて医師や看護師を派遣する「ドクターカー」も続けており、こちらは月100件程度の要請があります。旧病院は「かかりつけ医」としての役割も担い、急に来られた患者さんにも対応していたところがあったのですが、移転後はより高度急性期・急性期医療に集中するために、完全紹介予約制となりました。患者さんにも徐々に理解していただけているので、今後も診療レベルを高め、地元で選んでもらえる病院でありたいですね。

重症度の高い患者さんの治療に特化できるようになったのですね。

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そういうことです。赤十字病院なので、病院の基本理念は「人道博愛」で変わりません。けれども実際問題として、困った患者さんすべてに対応できるかといえば、設備上・医師や看護師の数上の限界があり、やはりそれは無理なんです。かかりつけ医としての役割も果たそうとすると、地域で当院でしか提供できない高度急性期医療が十分提供できなくなってしまうので、そこは患者さんにご理解いただいて、われわれがやらなくても大丈夫なものについてはクリニックやかかりつけ医の先生にお願いするようにしました。そういう機能分担、役割分担を行うことはこれからの医療に必要なことだと思います。ただ、高度急性期医療に特化するだけではなく、地域の中核病院としてがん治療や災害医療にも力を入れています。当院は免震構造になっていますから、地震が起きた時に患者さんを受けれいれる拠点になりますし、医療チーム(DMAT)や救護班の派遣も行っていきます。

科目ごとの診療体制についても教えてください。

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当院は循環器、特にカテーテル治療には強く、循環器内科と心臓血管外科は、国が予定する循環器疾患について高度な医療が行える施設の認定基準をクリアできるレベルになってきていると思います。また脳血管障害分野では、脳神経外科と神経内科の連携で脳卒中専門の当直体制を作っており、精神疾患分野では6床ですが専用の入院ベッドを設けました。現在精神科の常勤医師が1人なのでまだ稼動できていませんが、少しずつでも医師・看護師を集めてできるだけ早くオープンしたいと思っています。それから、これから確実にニーズが増えるであろう呼吸器疾患を診る呼吸器内科とロコモティブシンドローム(運動器症候群)に対応する整形外科も力を入れていますね。地域の中核病院として、国が力を入れる“5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急医療、災害時医療、僻地医療、周産期医療、小児医療)”に対応できる体制を取っています。

医師として、院長としてどんなところにやりがいを感じますか?

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私は産婦人科の周産期が専門ですが、病院の経営に携わるようになってからは、急な帝王切開などもある産科の患者さんは診られないので、今はあまり現場に出ることはありません。ただ、離れ過ぎると現場の空気がわからず、スタッフから何か要望が出てきてもなかなか理解できなくなってしまいますし、医師でなくなってしまうように感じるので、外来だけ少しやらせてもらっています。そうして現場に触れておくことはやはり必要だと思いますし、患者さんと接することができるのは喜びですね。院長としては、これまで「緊急搬送されてきた妊婦さんの受け入れ先がなく、19ヵ所電話してやっと見つかった……」というようなことを多く経験してきただけに、県立小児医療センターと協同で「総合周産期母子医療センター」を作れたことを非常にうれしく思います。スタッフ数が多く意見の調整は大変ですが、一人ひとりとしっかり向き合うことも大切にしていますね。

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