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神山 潤 先生の独自取材記事

東京ベイ・浦安市川医療センター

(浦安市/浦安駅)

最終更新日:2019/08/28

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浦安市、市川市からの要請で2009年に開設された「東京ベイ・浦安市川医療センター」。救急に対応し高度な医療を提供する一方で、地域の医院と緊密に連携をとりながら地元住民の健康を支える中核病院としても大きな役割を果たしている。診療の柱となるのは、「救急医療」「高齢化への対応」「小児医療」「周産期医療」。各診療科の垣根を超えて、医師やスタッフたちが協力しながら患者をサポートする体制で、地域に根差した温かみのある医療を実現させた。循環器疾患の治療を行うハートチームも、そうした連携が形となったものの一つだ。人と人とのつながりを大切する同院がめざす病院運営について、管理者であり小児科医師でもある神山潤先生に話を聞いた。
(取材日2016年7月26日)

救急患者を受け入れ、高齢者に多い疾患にも対応

まず病院の成り立ちについて教えてください。

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当院が開院したのは2009年。もともとこの場所には葛南病院という地域密着型の病院がありました。今でもその名前を覚えていらっしゃる方は多いと思います。歴史は古く遡ること100年以上前、大正年間に伝染病の隔離病舎として浦安市と市川市の病院組合によってつくられ、その後、葛南病院から浦安市川市民病院と名称を変えて地域医療を支えてきたのです。2000年代初頭に医師不足で経営が困難になったことを受け、現在の公益社団法人地域医療振興協会が東京ベイ・浦安市川医療センターとして新しい病院の開院に取りかかりました。地域に根差した病院というコンセプトはそのままに、古かった病棟を建て替えて新病院として生まれ変わったのです。

この地域でどのような役割を担っているのでしょうか?

浦安市、市川市からは、「救急医療」「高齢化への対応」「小児医療」「周産期医療」の4つを診療の柱とすることを求められています。中でも救急医療、高齢化への対応は極めて重要で、今後の地域医療構想においても重点が置かれている分野です。病院を開設して8年になりますが、地域の皆さまからのニーズもひしひしと感じています。ただ、ニーズに応えて体制を整えてきたというよりも、ここに集まってくれた医師たちの力で、より需要が喚起されたというのが実際です。この地で新しい病院をつくるということを聞きつけて、総合内科、ICU、救急科など、技術力の高い医師たちが参集してくれました。彼らが、私にとっても思いも寄らないような形の病院を作り上げてくれたのです。

各科のスペシャリストたちの力が集結しているのですね。

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そうですね。全くのゼロからのスタートでしたので、それぞれの診療科ごとの垣根を超えて治療にあたることができたことが大きなメリットだったと思います。当院では総合内科が各科の連携の要となっているのですが、一般的に総合内科というと、合併症の患者さんに対応するなど隙間を埋める役割のように思われがちです。しかし、ここでは救急関連はすべて総合内科が受けて判断をし、外科や小児科、脳神経外科など専門的な治療を受け持つ科目のドクターに繋げます。もちろん重症の患者さんは直接ICUで治療をしますが、基本的には総合内科が中心となって全体をコントロールしていく仕組みができているのです。高齢化が進むと、一つの病気だけでなくいくつかの病気を併発する方が増えていきます。そうした方たちに対応するためにも、総合内科で判断をしていく体制は非常に有効です。

チーム医療を中心に据えている

診療の柱となる救急について教えてください。

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救急を専門とする人員を配置し、しっかりと受け入れができる体制を整えています。特に患者さんが増える準夜帯には医師を増やして対応します。受け入れ要請のあった救急車のうち、受け入れることができた台数の割合を示した応需率は95%と高い水準です。他の病院の協力もあって、浦安、市川域内の救急収容率は90%を超えています。救急についてもゼロから始めましたので、「いつでも患者さんを受け入れられて、多くの患者さんを診られる」ようにするにはどうすれば良いのかと、医師のみならず、さまざまなコメディカルスタッフとも何度も議論を重ねました。そうした話し合いの結果、例えば専門の医師の判断が必要な症例は、救急医から各科の医師に連絡をとって判断を仰ぐなど、連携がとられています。

循環器疾患対応としてはかなり専門的な設備が完備されていると伺いました。

アメリカで研鑽を積んだ医師が中心となって、ハートチームを結成し、診断、内科治療、外科治療からリハビリまでを一貫してケアしているのが特徴です。病院開設当初から循環器内科と心臓血管外科が一体となり、医師や看護師、コメディカルのスタッフが協力しながら患者さんの治療にあたっています。低侵襲の医療を提供するために、経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)を導入。ハイブリッド手術室を装備しており、心臓カテーテルの治療実績は千葉県内でもかなり高いです。そのため、県内だけでなく全国から心臓の手術を受けに患者さんがいらっしゃいます。

地域の中での連携はどのようにとられていますか?

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この地域の医療を支えていくためには、周辺の開業医院の先生方との連携は欠かせません。地域の先生たちが患者さんを紹介しやすいように、普段から協力体制をとることが必要です。当院では地域医療連携室をつくり、各医院にご挨拶に行く、勉強会を開くなど、顔の見える関係を築けるように力を注いでいます。患者さんを紹介していただくというのは、信頼関係があればこそ。紹介していただいた時には素早く対応し、丁寧にお返事をするなど、きちんと対応するように心がけています。そうした地道な取り組みの甲斐もあって、地域の先生たちからは「すぐに詳しい返事をしてもらえた」といった、うれしい声をかけていただけるようになりました。

地域住民から信頼される病院をめざして

先生のご専門は小児医療だそうですね。

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ええ。学生実習の時に保健所で乳幼児健診をされていた先生の姿を見たことが、小児科医をめざしたきっかけです。そのまま子どもの発達や健康教育に興味を持ち、特に睡眠の分野を専門としています。睡眠はまだあまり解明されていない神秘の部分も多く、おもしろい分野です。大学卒業後に勤務した東京医科歯科大学が、たまたま日本で珍しく、定期的に子どもの睡眠の検査をしている病院だったこともあり、専門として研究するようになりました。当院でも週に一回の睡眠専門の外来を開設し、睡眠障害の相談窓口として診療を行っていますが、「赤ちゃんが寝ない」「夜泣きで困っている」といったお母さんや、小中学生で朝起きられない、ビジネスマンが夜眠れないなどさまざまなケースで来院されます。不眠もありますし、逆に眠くて仕方がないといった訴えまで、眠りに関する悩み全般に関して対応しています。

地域の中でこちらの小児科が果たす役割はどういったものでしょうか?

今の小児医療は、大きな病院での高度な医療と一次診療を受け持つクリニックでの医療と二極化が進んでいます。その間を取り持つ、ちょっとした肺炎で入院できるような病院が少なくなっているのが現状です。当院では、その役割を果たすため、クリニックの先生たちから入院の依頼があればいつでも引き受け、治療を行った後にまたお戻しするというような体制をとっています。また、適切な診断を行い、より専門的な医療が必要だと判断した際には連携している病院にご紹介します。また、小児科の医師不足は深刻ですので、小児科医の負担を軽減させる努力も必要です。初期診断は小児科医がしますが、3、4歳以上のある程度大きなお子さんは救急医や各科の医師が診療に携わります。小児科医の負担を抑えながら、長く小児医療を提供していく環境を整えることが大切だと考えています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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地域の皆さまから信頼される病院をめざしていきたいと考えています。また公益社団法人地域医療振興協会のフラッグシップ病院のひとつとして、全国の地域医療・僻地医療を支援するという大きな役割も担っています。若い医師たちが切磋琢磨して学べる医療機関となることが、その目的にも叶うと考えています。その上で、患者さんとのコミュニケーション、触れ合いは大切にしたいです。「手当て」という言葉がありますが、患者さんに手を当ててお話をするところから治療は始まります。一人ひとりの患者さんとしっかりと向き合いながら手当てをする。そうした医師の育成にも力を注いでいくつもりです。

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