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信田 広晶 理事長の独自取材記事

しのだの森ホスピタル

(八千代市/八千代緑が丘駅)

最終更新日:2019/08/28

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八千代緑が丘駅・勝田台駅からシャトルバスで15〜20分ほど。豊かな自然に囲まれ鳥のさえずりが聞こえる八千代市の郊外に位置する「医療法人社団心癒会しのだの森ホスピタル」は、「癒やしとおもてなし」を理念とするこころの病気の専門病院だ。治療の軸となっているのは、患者に手を差し伸べ自然治癒能力を高めるよう助けることをめざす「ホリスティック医療」。うつ病などをはじめ幅広い精神疾患に対応している。うつ病で休職している人が職場復帰するためのリハビリや高齢者世代のうつ病の治療にも力を入れている。理事長でうつ病や気分障害が専門の信田広晶先生に、こころの医療について聞いた。
(取材日2015年10月20日)

こころの病気を「癒やしとおもてなし」で診る

まずは病院の成り立ちから教えてください。

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当院は1969年に僕の父が精神科の病院として地域の中ではじめたものです。1999年に父が亡くなり、2006年に院長に就任しました。僕自身は医学部に入る前は文学部で心理学を勉強していて、その時に世界各地を放浪し、例えば手をかざすと良くなるとか自然科学や現代科学では考えられないような現象にも出合いました。それらを現代医学と直結させることはできませんし、治療において適切な薬を使うことや手術はもちろん大事なのですが、患者一人ひとりに合わせその人が自然治癒力を発揮できるよう手助けする「ホリスティック医療」。そういう医療をやってみたいと思ったのが院長就任のきっかけです。高度な医療も大切ですがそれだけでは治しきれないところというのは存在します。病気について一番詳しいのは患者本人。自分で自分を癒やして理想的な生活に戻っていけるよう、一緒に答えを見つけていくことが僕たちの医療の中心的なところです。

なるほど。ホリスティック医療の実践がモットーなんですね。

そうですね。当院の基本理念は「癒やしとおもてなし」です。うつ病やこころの病気はその人の自尊感情が下がってしまった状態。そのために自分に自信をもてなかったり幸せを感じることができなくなると思いますので、自然治癒力を最大限に発揮できるように手を差し伸べて一緒にその人を引き上げてあげる、ということですね。今の競争社会はよく言えば上昇志向が強く、悪く言えば底なし沼のよう。もちろん適度な競争意識は自分を高める上で必要ですが、ついていくことに限界を感じこころの病気になってしまう人もいます。うつ病やこころの病気の治療で一番大事なのは、人と比較してでなく自分自身で「よし」と思える感覚を養うこと、それを意識することがこころの医療の究極の目標で、そうなることによりその人らしさや自然治癒力が発揮され、健全な状態に戻っていけるのではないかと思っています。

具体的に多い症状などはありますか??

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圧倒的に多いのはうつ病の患者です。そのほか双極性障害という気分障害やパニック障害、社交不安障害の一種であるあがり症も多いですね。当院ではこれまで女性の心と体のバランスに注目してアロマセラピーや音楽療法なども重視して治療して来ましたが、それに加えて今力を入れてるのが男性のうつ病。休職してなかなか復職が上手くいかない人たちの医療です。今の世の中は昔に比べて確実にハードルが上がっていて、限度を超えた情報量やスピードを要求されて適応できなくなる人が多いように感じます。ハードルが高過ぎて燃え尽きた結果うつになっているので、ハードルの高さに耐えられるような工夫やスキル、バランス感覚を身につけられるように当院では「ストレスケア病棟」といううつ病や不眠症の人に特化した病棟で、リワークプログラムやリワーク準備入院といったコースを設けて社会に戻っていけるようなサポートを行っています。

病棟・デイケア双方で個別のオーダーメイド治療を展開

男性のうつ病のほかにも力を入れているものはありますか?

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高齢者のうつ病の問題に取り組み始めました。認知症対策はあちこちで聞くと思いますが、現在うつ病患者全体の4割は高齢者、またうつ病で自殺する方の約4割は高齢者のうつ病の方。高齢者のうつ病は認知症の予備軍でもあり、うつ病の段階で治療することは認知症の予防にもなるので、その点でも高齢者のうつ病対策は大切ですね。若い人や働き世代のうつ病とともに考えていかなければいけない問題です。高齢者は健康や家族を失うシビアな状態に加えて、本来機能していた助け合えるコミュニティーもないのが現状なので、今そこを支えていくプログラムを作っているところ。これから高齢者のうつ病に特化した病棟も作る予定で、高齢の人が安心して暮らしていけるようなサポートができればと思っています。

病棟コンシェルジュも配置されていると聞きました。

ええ。「おもてなし」という意味で取り入れています。病院に来る人は萎縮してしまっていることが多いですし、特にうつ病の人は自分らしさを失っていたり自尊感情が低下してしまっている状態。そんな中医師と看護師しかいなかったらなおさら萎縮されてしまうので、常に手を差し伸べている人が必要だろうということで導入しました。コンシェルジュは患者側に立って「かゆい所に手が届く」サービスを提供する、患者と医療者を繋ぐのが役目。患者が何でも言いやすい雰囲気を作るということもありますし、患者目線のサービスを展開するのに必要な存在です。もともとサービス業に従事していて医療や福祉に興味がある人から3~4人抜擢しました。

外来、急性期病棟の特徴を教えてください。

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外来で特徴的なのはうつ病患者向けの「ホリスティックデイケア」を行っていることでしょうか。これはスタッフの命名なのですが、いろいろな心理療法プログラムを提供して、自分らしさを発見し自己を再構築できるよう展開しています。心の病気も骨折と同じで、骨がくっついたとしても筋力や柔軟性をつけていくにはリハビリが必要。それがデイケアの役割で、このほかにも社会復帰を目的とした「樫の木」というデイケアもあります。精神科の急性期疾患はある日突然来るもの。早く対応しないと治りにくくなったり脳に後遺症が残ったりもするので、なるべく早く救急医療を提供できる体制を整えています。また精神科の救急医療は患者だけでなく家族が大変な場合が多いので、家族教室などを通じて家族のサポートにも力を入れています。

患者に手を差し伸べるよき伴走者でありたい

文学部から医師になったきっかけは何だったのでしょうか?

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文学部時代も放送局でアルバイトをしたり芝居小屋みたいなところで演劇をしたりあまり学校には行っていませんでした(笑)。そんな中「社会の中で自分は何ができるのかな」と考えて、世界各地を放浪して「ヒーラー」と呼ばれる人たちにも出会い、それらの経験から「人がその人らしく生きていくのを手助けできる、そういうパワーを持った人間になりたい」と思ったのがきっかけですね。それを研究室の先生に相談に行ったら、何を思ってそう言われたのかはわかりませんが「医師になればどうだ」と言われ、そこから自分に対する挑戦という感じで勉強して医学部に入りなおしました。僕が専門としているのは気分障害。うつ病とか双極性障害、パニック障害ですが、メンタルヘルスはその人全体、体と心の調和を診ることができるので、僕には合っていると思っています。

診療の中で一番大事にされていることは何ですか?

その人らしさを早く見つけることですかね。患者自身でも気づいていない場合が多いので、それに早く気づいてあげるか一緒に見つけていくこと、そういう自分探しの手助けをすることを大事にしています。同じうつ病の人でも、その背負っている背景や歴史、個性は一人ひとりまったく違います。治療の主役はあくまで患者なので、僕はその人の自然治癒力を援助し手を差し伸べて引き上げる立場、その人が自分らしさに気づいていけるようよき伴走者になれたらいいかなと思っています。

読者に一言メッセージをお願いします。

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病気と向き合うことは自分と向き合うということ。そこから再度自己実現を図るチャンス、治療と向き合っていく中でよりよい自分、より健康な自分を作っていくことができます。特に心の病気はそういった部分がすごく大きいので、恐れずに来てほしいなと思います。ここは心の道場みたいなもので、患者と僕たち医師やスタッフで一緒に心や健康、自然治癒力を高める場所。「笑顔でお迎えします」というとレストランみたいですが、「病院」というよりは相談しやすいことをモットーにやっているので、弱った時には相談してください。

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