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窪地 淳 院長の独自取材記事

さいたま市立病院

(さいたま市緑区/北浦和駅)

最終更新日:2019/08/28

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首都圏近郊の埼玉県が「医療過疎地」であると聞けば、驚く人も多いのではないだろうか。人口増加に対し医師・看護師の確保が追い付いていないことから、医療現場の人手不足も慢性化しているという。そんな中、自治体が運営する総合病院の役割は大きい。人口126万人のさいたま市にある市立病院である「さいたま市立病院」はその重責を担う病院だ。2008年に東京医療センターから同院に副院長として赴任、2014年から院長を務める窪地淳先生に、老朽化の進んだ建物や設備、効率の低下する現場、そして人材不足をいかに解決してきたか、また今後、どのように医療体制充実をめざすのか、それらの取り組みをわかりやすく語ってもらった。
(取材日2016年3月15日/情報更新日2018年7月13日)

「医療過疎地」で、地域医療の要の役割を

病院の歴史と地域における役割を教えてください。

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当院は自治体病院として60年以上の歴史があります。開設当初は結核病院でしたが、1989年に総合病院となり、4市合併で「さいたま市立病院」に名称変更しました。新病棟の開設や増床、標榜科目の追加、災害拠点病院の認定など、地域のニーズに応じて規模を拡大し、現在、27の診療科となっています。埼玉県は人口流入増大に病院の設立が追い付かず、10万人あたりの医師・看護師数が全国的にみても少なく、「医療過疎地」とまで言われています。現在、県内の医師も看護師も医療機関も増えてはいますが、それをしのぐ人口増が続く中、当院はさいたま市の市立病院として地域医療の要になる役割があります。2018年10月25日に地域医療支援病院として承認され、急性期医療をはじめ、救急、周産期母子、がん医療を積極的に推進するとともに、政策医療にさらに力を入れていきます。

急性期、救急、周産期母子、がんなどの医療における特色は?

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急性期は特に循環器、血管外科、脳神経外科において血管内治療に力を入れています。周産期母子医療は、現在NICU(新生児集中治療室)、GCU(新生児治療回復室)などを整備し、周産期母子医療センターとして稼働しています。救急についてはさいたま市の輪番制に参加し、三次救急も引き受けていますが、二次救急を主とした役割を担っています。救急車の受入数は多く、年間6000台以上を受け入れています。2020年の1月には新病院が開院する予定ですが、そこで救命救急センターを設置し、機能強化を図ります。がん医療では、手術はもちろん、放射線治療を強化し、化学療法、緩和ケアの体制を整えます。抗がん剤のミキシング設備や2つのトイレを配置するなど化学療法室を再整備して、外来で積極的に化学療法を行っています。また多職種で構成する緩和ケアチームが痛みの解消や、精神的ケアに取り組んでいます。

今後のがん治療の取り組みを教えてください。

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消化器がんに関しては、内科と外科が連携し、長年チーム医療を行っています。消化器内科が積極的に内視鏡治療を手がけて、消化器外科が腹腔鏡下手術や開腹による手術を行っています。呼吸器外科、泌尿器科、婦人科領域においては鏡視下手術を積極的に取り入れています。がんと聞くと先進医療や積極的治療に目が向きがちですが、近年は緩和医療の重要性が増しています。痛みや悩みを抱える患者さんと家族にさまざまなスタッフが関与することで、痛みや不安が改善し、医療者の負担も小さくなると考えています。また、新病院の完成までには、手術室の増室、鏡視下手術への積極的な取り組み、さらには放射線治療の充実等を図る予定です。診療の質や医療サービス向上、患者満足と医療者の負担軽減のためにもチーム医療が重要と考えています。当院では、院内にチーム医療推進委員会を立ち上げて積極的に多職種連携を進めています。

着任されてから、ずいぶん経営改善に努力されたようですね。

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2008年の10月に副院長として入職しました。それまでは国立病院機構東京医療センターにおりましたが、何せ、当院の一番古い建物は1970年代のものですし、入ってみると「先人も苦労したんだろうな」と思う場面が多かったですね。公共施設だからと行政の決定を座して待っているだけではだめで、攻撃的なほど積極的に関わっていくべきと考えました。現場では細かい部分にも目をつけ、効率化と収益性向上につながることは早めに実施し、近年は経営も順調に推移しています。老朽化した病院の建て替えや地域医療での役割、人員確保などの問題を調査・検討し、5ヵ年の中期経営計画を策定する活動を行ってきました。医療者の動線を考慮した内視鏡室の改築、手術室増室などを経営を考慮して手がけてきましたが、計画を実行に移すのに何かと時間のかかる自治体病院ですから、すぐにできることは早急に取りかかっていくことにしています。

今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。

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中期経営計画によって医療技術・サービスの内容改善などの進捗を確認するシステムはできあがりました。それでも、患者さんのニーズは十分満たせていないと考えています。例えば、歯科・口腔外科や精神科領域の身体合併症への対応などは、この地域からはかなり要望されているので、建て替え後には取り入れる予定でいます。乳がんの患者さんのための乳房形成、外傷治療に欠かせない形成外科なども増やす方針です。これによって周産期から急性期医療、がん医療、更には心のケアまでバランスのとれた診療内容になると思います。また、市民に向けて浦和駅近くの公共施設で市民公開講座を開いています。医師や看護師からのさまざまな知識や情報を参考に健康増進に役立ててください。当院では開放病棟を設置し、市内の医療機関との連携を強化しています。お近くのかかりつけ医の先生から、紹介状を持ってきていただくと診療がスムーズに行えます。

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