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山本 修一 病院長の独自取材記事

千葉大学医学部附属病院

(千葉市中央区/千葉駅)

最終更新日:2019/08/28

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国立大学の付属病院に、何となく敷居の高さを感じている人は多い。だが「千葉大学医学部附属病院」は、そんなイメージを大きく覆してくれる病院だ。同院はもともと、1874年に千葉、登戸、寒川の有志が資金を出し合って設立した共立病院が始まり。「地域の患者さんたちのため」との原点が変わっていないことは、患者が明るく前向きな気持ちで受診できるようにと、ホテルのロビーのように広く開放的な造りの外来診療棟や、そこで働く医療者一人ひとりの姿勢から感じることができるだろう。近年では、時代の要請に応え、新しいがん治療法を行うがんゲノムセンターや、乳がん治療拠点として各科の専門家や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種が集まりチーム医療を行うブレストセンターなども設立。そんな同院の取り組みや特に力を入れている分野、今後の展望について、病院長の山本修一先生に聞いた。
(取材日2019年5月16日)

がん治療を中心に千葉県の医療を支える

建物の造りが「病院」のイメージとはまったく違って驚きました。

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外来診療棟は、病院設立140周年を機に新築し、2015年にオープンしたものです。どんなふうにするか、約10年は構想を練ってきたのですが、最終的なコンセプトは「病院らしくない病院」となりました。患者さんは、まず病気のストレスがある上に、大学病院に行くとなれば不安を感じることも多いと思います。そんなストレスを和らげて、楽な気持ちで受診していただければと思い、まずは建物の設計から明るく広い空間づくりをめざしました。またソフト面では、「患者支援センター」を新たに開設しました。その役割は、簡単に言えば、入院が決まった時点で、退院後のことまで総合的にサポートすることです。例えば入院前には看護師などとの面談や、薬剤師による服薬確認、入院中や退院後に必要なサポートを確認。各担当と連携を取りながら、退院後に日常的に通える地域の医療機関のご紹介まで、途切れのないサポートを行っています。

診療科が充実していますね。特に注力している分野は?

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がん治療と地域の救急医療です。がん治療では、2018年に「がんゲノムセンター」を立ち上げ、がんゲノム医療として一人ひとりに合わせた治療を始めました。千葉大学医学部の基礎医学講座にもがんゲノムに精通した研究者がいるので入ってもらい、かずさアカデミアパークにあるがんゲノム研究所とも連携。研究を進め、研究の成果をしっかり患者さんに還元できるような形を構築しているところです。外科手術などの従来の治療法については、当院のほぼすべての外科が集中して取り組んでいますが、がんゲノム医療に関しては診療科ごとにまだバラつきがあるのが現状。その底上げを図りつつ、病院全体の治療レベルを上げたいと思っています。救急科の方は、人口90万人の千葉市の3次救急、つまり重篤な救急患者に対する救急医療を担いつつ、県下の他の救命救急センターで対応できない特に重篤な患者さんに対応できるよう、更なる充実を図っているところです。

診療科を越えて連携する診療体制を強化していると聞きました。

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そうですね。ここ数年間で整備したものでは、まず2016年にMFICUというリスクの高い母体・胎児に対応するための設備を備えた「周産母子センター」を立ち上げました。同年秋に、精神科の治療法の一種で、薬剤に頼らず認知行動療法という手法で治療を行う「認知行動療法センター」、2017年には、乳がんの治療の拠点として「ブレストセンター」を開設。乳がん治療は、外科的治療だけでなく、術後の薬物療法、乳房再建、精神的ケアまでさまざまな要素があるもの。箱をつくって各分野のエキスパートを集めることで、患者さんにノンストップで治療・サポートを受けていただけるようになりますし、仕事を続けながら治療を続けなければいけない患者さんの、安心にもつながるかと思います。また、2018年4月からは「造血細胞移植センター」、2019年4月に重症の心血管疾患患者の治療を行う「ハートセンター」も動いています。

地域の病院、施設との連携についても教えてください。

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千葉県内の主要な基幹病院は本学の関連病院ですから、医師の派遣など教育面で密なつながりがあります。2015年には「関連病院会議」を立ち上げ、千葉県内を中心に90を超える医療機関とトップ同士の顔の見える交流も始めました。それに加え、新しく「提携医療機関制度」も始めています。これは、当院での急性期医療を終え症状の落ちついた患者さんが、回復期リハビリテーション病院などの次の病院に安心して転院できるようにするためのもの。病院同士の連携を、「ケースワーカー同士が仲良しだから」という属人的な関係に頼るのではなく、組織として顔の見える関係を構築しようというのが、この制度の趣旨です。一人ひとりの患者さんに適した医療や介護を提供するため、病院同士で十分な話し合いや研修をした上で提携を結んでいますので、心配なく移っていただけると思いますし、当院としてもしっかり責任を持って転院の調整にあたります。

最後に、今後の展望についても一言お願いします。

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現在、2021年のオープンを予定して中央診療棟の新築を進めています。完成すれば、救命救急センターはこちらへ移すほか、手術室数は16から20室へ、通常の手術室の機能に心臓・脳血管エックス線写真撮影装置を組み合わせたハイブリッド手術室も1室から2室へと増え、ICU(集中治療室)の増強、低侵襲手術に広く対応するための日帰り手術室の確保なども実現することで、病院の機能そのものが高まっていける予定です。ただ一番大切なのは、そのスペックをどう活用するかです。新入院患者数は、私が病院長に就任した2014年度(2014年4月~2015年3月)は1万7300人で、2018年度(2018年4月~2019年3月)には2万100人に増えています。これは、職員一人ひとりが真剣に患者さんに向き合い治療にあたってきたからだと感じています。この信頼を崩すことなく、充実したハード面を生かして、走り続けていきたいと思います。

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