肩凝りや腰痛、首痛の原因の場合も
筋膜性疼痛症候群へアプローチ
すみれ整形外科クリニック
(横浜市都筑区/鴨居駅)
最終更新日:2021/10/12


従来、肩凝りや腰痛などに悩む人が「痛みがある」と整形外科を受診しても、エックス線検査では異常が認められず、有用な対処法も見つからないまま、しつこい痛みが続いたり、痛みが繰り返したりすることも少なくなかったという。しかし最近、超音波検査の普及により、こうした痛みの原因が、骨や筋肉を覆う筋膜にあることが多いとわかってきた。これが「筋膜性疼痛症候群」だ。痛みの診療に力を入れ、筋膜性疼痛症候群にも詳しい「すみれ整形外科クリニック」増澤通永院長は、超音波検査を活用しながら、痛みの原因となる筋膜の部分にアプローチする、ハイドロリリースも積極的に行っている。そこで増澤院長に、筋膜性疼痛症候群について取材した。気になる痛みがあるという人は、ぜひ参考にしてほしい。
(取材日2019年10月2日)
目次
肩凝りや腰痛、首痛などを起こす筋膜性疼痛症候群。超音波検査を役立てながら痛みへアプローチ
- Q筋膜性疼痛症候群とはどのようなものですか?
-
A
▲肩凝りや腰痛など、患者の日常的な痛みに寄り添う
筋膜とは、骨や筋肉、内臓、神経、血管などを覆い、体の表層から深層まで体の隅々までを立体的に支えているものです。肩凝りや腰痛、首痛などの痛みがあるのに、エックス線など画像検査では特に異常が認められず、明らかな原因はわからないという場合は少なくありません。こうした場合、超音波検査で細かく筋肉を見ていくと、筋膜に何らかの問題点が見つかることが多いのです。トリガーポイントといわれる圧痛点が、癒着としてわかることや、筋膜が厚くなったりすべりが悪くなったりすることで痛みが引き起こされることもわかってきたのです。こうした筋膜の問題による痛みが筋膜性疼痛症候群です。
- Q筋膜性疼痛症候群の特徴、受診のタイミングを教えてください。
-
A
▲院内は明るく開放感があり、通いやすい雰囲気だ
筋膜性疼痛症候群は、肩凝りや腰痛、寝違え、首痛、四十肩や五十肩で腕が上がらない場合など、さまざまな部位に起こります。筋膜性疼痛症候群の痛みは、「どこか一部だけがピンポイントで痛い」「一定の動きをすると激しい痛みがある」「響くような痛みがある」「強い痛みやしびれるような痛みがある」というのが特徴です。「痛みがちょっと気になる程度」「マッサージや湿布をしたら気にならなくなった」「2、3日様子を見ていたら治った」という場合はよいのですが、痛みが慢性的に何日も続いたり、日常生活に支障を来すような痛みがあったりする場合は、整形外科を受診していただきたいと思います。
- Qこちらでは痛みに対してどのようにアプローチするのですか?
-
A
▲痛みの原因となる部分を発見するために用いられる超音波画像装置
まず診察室で問診を行い、症状や、痛みを感じるようになったきっかけなどをお聞きします。次に、痛みのある部分を触ったり、動かしたりして診察を行います。基本的な検査としてエックス線撮影を行い、骨や関節などの状態を確認します。エックス線検査で異常がなければ、超音波で痛みのある部分を見ていきます。検査の結果、筋膜性疼痛症候群と判断できたら、当院ではハイドロリリースを行います。そして施術が終わった後、状態に合わせて理学療法士と連携しながら運動器リハビリテーションを行います。筋肉を和らげる、ストレッチをする、可動域を広げるなどを目的とした理学療法を行い、筋力の強化を促し痛みの再発を予防していきます。
- Qハイドロリリースについて教えてください。
-
A
▲ハイドロリリースを取り入れている
筋膜性疼痛症候群と判断した場合に行うアプローチです。超音波で確認しながら、痛みの原因となっている部分にピンポイントで生理食塩水を注射し、筋膜を広げるようにして硬さや癒着を和らげていき、筋肉や筋膜を動かしやすくすることを目的とした施術です。注射針が細いので痛みも少なくなります。以前はこのアプローチは「筋膜リリース」と呼ばれていました。しかし整体やマッサージの分野にも「筋膜リリース」と呼ばれる施術があり紛らわしいので、「超音波ガイド下のハイドロリリース」と呼ばれるようになりました。
- Q運動器リハビリテーションと合わせて行うのが特徴ですね。
-
A
▲痛みを繰り返さないために、その後のリハビリが鍵になる
そうですね。当院では、その場の痛みに対処するだけでなく、今後、また同じような痛みを繰り返さないために、施術後は理学療法士がマンツーマンで運動器リハビリテーションを行っています。筋肉をやわらかくしたり、可動域を広げたり、筋力を強化していくことを目的としたプログラムを無理のないように実施していきます。また痛みを予防するために、正しい姿勢や体の動かし方、患者さんが自分でできる体操なども指導していきます。リハビリテーションの際は、私から症状や治療について詳しく理学療法士に伝え、また理学療法士からも「この部分に問題があるようだ」などとフィードバックを受けて、綿密に連携しながら進めています。