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田中 和之 院長の独自取材記事

田中クリニック

(新宿区/高田馬場駅)

最終更新日:2024/03/06

田中和之院長 田中クリニック main

2013年に開業した、高田馬場駅前にある「田中クリニック」。精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医の資格を持ち、老年精神医学にも精通する田中和之先生が院長を務めている。院内に入ると広く開放感のある待合室に、統一感のあるアンティーク調のイスが並び、飾り棚に並んだ磁器やクリスタルの人形が患者を迎え入れてくれる。田中先生自らが飾る花の香りに包まれ、緊張感のほぐれるような雰囲気だ。診療は、うつ病、パニック障害、社会不安障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)などを扱い、物忘れや認知症の治療にも力を注ぐ。田中先生は、「心の不調は誰にでも起こり得るもの。負担が軽くなるように、カウンセリングに時間をかけています」と穏やかな口調で、同院の気軽な利用を呼びかける。今回は、診療のモットーなどについて聞いた。

(取材日2023年12月28日)

高田馬場駅の目の前。気軽に相談できる心のクリニック

開業して10年がたちます。現在、どのような患者さんが来院されますか?

田中和之院長 田中クリニック1

10代後半から90代の方まで、満遍なくいらっしゃいます。当院は高田馬場駅前にあり、地元住民はもちろんですが、平日は20時まで診療しているので、新宿や池袋、西武新宿線沿線を利用するビジネスパーソンも少なくありません。遠くからは転居先の長野県から通われる方もいますね。「夜眠れない」「やる気が出ない」「人前で極度に緊張してしまう」「物忘れが気になる」など、相談内容はさまざまです。多い症状としては、若い世代には不眠症が目立ち、スマートフォンで動画サイトを夜遅くまで観てしまい、昼夜が逆転して眠れないといったケースが増えています。中高年は忙しさや会社の人間関係などを原因とするうつ病、高齢者は物忘れや認知症などが多いです。開業から10年がたちますが、心療内科を受診するハードルは随分下がっていると感じています。うつ病などが、広く認知されてきたおかげかもしれません。

クリニックの内装は、心療内科というより家のリビングのように感じました。こだわりを教えてください。

友達の家で悩み事を気軽に相談するようなリラックスできる空間にするため、内装や家具などのインテリアは温かい家庭を感じさせる雰囲気を心がけました。アンティーク調のテーブルやイスをそろえ、飾り棚には磁器やクリスタルの人形などを美しく並べています。診察室の机も、家庭のリビングにあるテーブルを設置しました。落ち着いた気持ちで、何でもお話しいただけるとうれしいです。実は、家具やカーぺット、カーテン、ティーカップやクリスタルの置物のコレクションなどは、私が医師になったことを喜び応援してくれていた祖母が、生前大切に使っていたものを活用しています。私自身のお守りのような存在なんですよ。

診療する上で大切にしていることは?

田中和之院長 田中クリニック2

初めていらっしゃる方はたいてい緊張されていますから、焦らず時間をかけてゆっくり信頼関係を築くことを大切にしています。「この治療法にしましょう」「この薬を飲んでください」といった、機械的な対応はしません。こちらから質問をさせていただくときも、「言いたくないことがあれば、首を振ってください。それ以上しつこく聞くようなことはしませんから」とお伝えしています。心の悩みや相談事をじっくりお聞きして、患者さんの立場に立って誠実なアドバイスをしたいので、診療には毎回30分~1時間ほどかけています。

薬は副作用まで丁寧に説明。服用を無理強いしない

心の悩みはつい我慢してしまう方も多いと聞きます。受診の目安を教えてください。

田中和之院長 田中クリニック3

うつ病の症状などの自覚があっても、寝込んでしまうギリギリまで頑張ってしまう方が少なくありません。例えばつらいことがあって落ち込んだ時、一晩寝て起きたら元気になっていれば問題ないでしょう。落ち込みが1週間ほど続く、不眠症になる、食欲が落ちるといった症状があれば受診をお勧めします。心の不調は、早期発見と早期治療がポイントです。対処が早いほど薬に頼らず、医師に話を聞いてもらったり、生活リズムの見直しを図ったりするだけで症状の改善が期待できるといわれています。

薬について配慮していることはありますか?

薬が必要な場合は、納得していただくまで丁寧に説明し、必要以上の薬を処方することはありません。副作用を気にされる方が多いので、薬の説明が載っている本を開いて一緒に確認します。薬に抵抗がある方に無理強いすることはなく、生活リズムを改善するなどの別の対処法を考えます。どうしても治療に必要と思われた方には「薬を試すかどうか、今決めなくても構いませんよ」と伝え、ご家族で相談していただいたり、診察室でご家族に説明する時間を取ったりすることも可能です。「薬を飲み始めるとやめられなくなるのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、快方に向かえば量を減らせますし、やがて必要とされなくなる方もいるのでご安心ください。それでも困ったことがあれば、次の予約を待たずにご来院いただきます。

地域の高齢化が進んでいると伺いました。認知症に対する治療について教えてください。

田中和之院長 田中クリニック4

認知症は数ヵ月単位で進んでいきますが、薬を服用すれば進行を遅らせることが期待できます。早期発見・早期治療が肝心なので、気になることがあれば早めに専門の医療機関の受診をお勧めします。当院では、まず認知症の有無を調べるペーパーテストを行います。ご自身の年齢や日付、簡単な計算などを解いて評価するほか、定規やクリップなどを並べた後、1つを隠して最初にあった物を当てる記憶チェックをします。これらの結果をもとに、必要であれば採血やMRIで脳の画像診断も行い総合的に判断します。治療が必要な場合は、薬物療法を中心に行います。薬の種類は豊富で、錠剤の他に貼るタイプの薬などもあるので、患者さんの生活や症状に合わせて処方します。

「心のかかりつけ医」をめざし、カルテも長期保存

先生は、ご家族のサポートにも配慮されているそうですね。

田中和之院長 田中クリニック5

患者さんを支えるご家族の負担は、決して小さくありません。特に高齢者は体の不調を合併していることも多く、心と体を並行して診ることが必要です。私は老年精神医学も勉強しており、高齢者医療の専門家として悩みを解決し、自宅で介護されるご家族の負担や日々の頑張りに応える医療も提供したいと思っています。介護が必要であれば、在宅で受けられる支援サービスの情報提供、介護保険や公的支援の要請など幅広いサポートを行っています。新宿区の公的機関である高齢者総合相談センターや保健センターなどとも密な連携を行い、住み慣れた地域で安心した生活を続けられるように、医療による支援を続けたいです。

ところで、先生の経歴をお聞かせください。

2000年に聖マリアンナ医科大学を卒業後、同大学付属病院で研修医として2年間勤務し、精神科以外にも内科、救命救急センター、小児科を経験しました。その後、神奈川県平塚市の富士見台病院を経て、心療内科、精神科と老人内科専門の足利富士見台病院に8年間勤務。病棟と外来の両方でうつ病などの気分障害や認知症など、若い世代から高齢者まで幅広く診療に携わり研鑽を積みました。患者さんと真摯に向き合い信頼関係を築くことができると同時に、学びの多い時期でした。私は勤務医時代、専門的な知識や経験も必要と考え、精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医の資格を取得しました。幼い頃からおばあちゃん子だったこともあり、高齢者を診療したいとの気持ちが強く、老年精神医学についても専門的な知識を身につけています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

田中和之院長 田中クリニック6

「患者さまの心のかかりつけ医になりたい」という思いで、当院を立ち上げました。その気持ちはこの先も変わることはないでしょう。一般的に患者さんのカルテは5年間の保存が原則で、それより古いカルテは破棄して構わないことになっています。しかし、心の不調は誰にでも起こり得ることですし、予想もしない時期に突然現れることもあります。そんな時すぐに頼っていただけるように、10年前の開院当初からのカルテをすべて保存しています。患者さんがいつ不調になっても前回の治療歴がわかるように準備をしているのが、心のかかりつけ医の役割だと思っています。現在、悩みを一人で抱え込み、受診をためらう方もいるかもしれませんが、一度お話にいらしてみませんか。気負わずに、お気軽に立ち寄っていただけたらうれしいです。

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