もも こころの診療所

百瀬直大 院長

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真に求められる療法だけを、求める人に

―印象深い患者とのエピソードを教えてください。

私が精神科医を始めて3年くらいのころ、解離性同一性障害(多重人格)の女性がご相談に来ました。アメリカのデータでは、解離性同一性障害を発症する原因の9割は、性的虐待の可能性が高いといわれています。日本だとまた状況は違ってくるものの、虐待やイジメといった深いトラウマを背負っている人はやはり多い。しかし恥ずかしながら、そのころの僕はそういった症状にまったく学識がありませんでした。結局、僕は彼女の心に寄り添えず、彼女もそれを感じてか来なくなってしまいました。そのころの僕は、「治療をできない自分」というものを受け入れられなかったんですね。彼女は、最初から「これまでの医師には失望してきた」とはっきり言っていたのに、自分が無知であったがために、助けてあげられなかった。その出来事は僕にとって戒めであり、医師としての価値観がガラリと変わった出来事でしたね。

―どんな方法でストレス発散をしていますか?

映画や読書、絵画鑑賞など、趣味に触れることですね。中でも特に好きなのは「焼き物」で、見ても触れても使っても楽しいという、奥の深いところがいいんです。診療所の待合室に置かれている大きな壷は、備前焼なんですけど、あれも僕の趣味です。唐津焼もいい焼き物ですよ。ただ最近は、子どもが生まれたばかりなので、趣味より子育てに夢中ですね。あまり親のほうで子どもの行く末をコントロールせず、子どもと一緒に考える子育てができればいいなと思っています。

―今後どのような診療をしていきたいですか?

まず、薬物療法に関して、患者さんの負担にならない治療をこれからも続けていくということが一つ。きちんと根拠のあるカウンセリング理論を取り入れていくというのが二つですね。理論の種類は、ACTを含む第三世代行動療法、日本でメジャーになりつつある認知行動療法だけでなく、疾患に効果があると科学的に証明されている対人関係療法。依存症の面接技法から発展した、動機づけ面接法という理論もあります。僕としては、科学的な根拠のある治療理論を、行える環境を整えていきたいと思っています。また、そういったものに精通したカウンセラーの先生に来ていただいて、根拠のある理論にのっとったカウンセリングをやってもらいたいと思っています。日本で理論的な根拠を意識しているクリニックは、まだまだ少数だと思うんですよね。僕一人ではできないことも多いけど、当院に志を同じくする人が集まって、理想の環境を作っていければと考えています。

―読者へのメッセージをお願いします。

こうした場所へ来るということ自体を、「スティグマ=汚点」だと思わないでください。自分の心が弱いから悩んだりするんだ、自分の性格に問題があるんじゃないか、なんて自分を卑下する必要はないんです。日本では、自分の気持ちを後回しにすることこそ、美徳だと思われる部分がありますね。だけど、自分の気持ちに気づいて、それを解放してあげることのほうが、人生には大切なんです。僕たちはそのお手伝いをするために、ここにいます。生きている以上、悩んだり鬱になったりするのは、決して特殊なことではありません。悩むのは、生きている証なんです。だから、悩んでいる自分を恥だと思わず、まずは相談に来てください。

記事更新日:2016/01/24


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