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山田 佐世子 先生の独自取材記事

井上レディースクリニック

(立川市/西立川駅)

最終更新日:2023/07/14

山田佐世子先生 井上レディースクリニック main

1919年の開業以来、100年以上の歴史を持つ「井上レディースクリニック」。JR青梅線の西立川駅から徒歩7分の立川南通り沿いにあり、通いやすいこともあってか多くの地域住民が足を運ぶ。クリニック名のとおり、産婦人科の診療を通じて女性のあらゆる悩みに応えており、特に力を入れていることの一つが、無痛分娩。担当するのは、日本麻酔科学会麻酔科専門医でもある山田佐世子先生だ。同院との出会いは自身の出産がきっかけだったという先生。そんな経験もあり、診療では患者目線を大事にしており、麻酔で痛みの軽減を図るだけでなく、密にコミュニケーションを取りながら、一人ひとりが納得して出産に望めるようサポートする。今回は同院の実施する無痛分娩の詳細、満足度の高い出産のために心がけていることなどを語ってもらった。

(取材日2023年3月15日)

硬膜外麻酔で陣痛を和らげることをめざす

無痛分娩は、どのような理由で希望される方が多いですか?

山田佐世子先生 井上レディースクリニック1

20代では痛みが苦手とおっしゃる方、30代後半から40代なら、陣痛に耐え続けるための体力に自信がないという方が目立ちます。経産婦さんで、「退院すると上の子のお世話があるので、体力を残しておきたい」という方もいらっしゃいますね。希望される方の多くは周辺の多摩地区から来院されますが、中には不妊治療を通じて当院と出会った方が山梨県など遠方から来られることもあります。

先生が担当する無痛分娩とは、どのような方法ですか?

麻酔を使って陣痛を和らげながら、自然分娩を手助けする方法です。「和痛分娩」と呼ばれることもあります。当院で取り入れているのは、広く普及している硬膜外麻酔と呼ばれるもの。「無痛」と聞くと「痛みがまったくないゼロの状態」と思うかもしれませんが、分娩経過によってはそうならないケースもあります。仮に自然分娩の痛みを10とした場合、だいたい3以下の痛みに抑えることをめざすと考えてください。というのも、強い麻酔薬を使うと陣痛が遠のいてしまったり、妊婦さんが息めるだけの力を発揮できなかったりして、お産が進みにくくなることがあるからです。たとえ多少痛みが残ったとしても、それにより上手に息むタイミングをつかめて、スムーズなお産につなげられたり、「自分でやり遂げた」という感覚を味わえたりすることもあります。

具体的な無痛分娩の方法を教えてください。

山田佐世子先生 井上レディースクリニック2

妊婦さんはベッド上でおなかを抱えて丸くなる体勢を取ります。その上で、医師が背中から腰の脊髄神経の近くにある硬膜外腔と呼ばれる場所に直径1ミリ弱の細いカテーテルを挿入し、痛み止めとなる鎮痛薬を注入します。同じ麻酔でも人によって効き方が異なるため、その方に合うように調整しています。下半身だけに使用する部分麻酔なので、妊婦さんの意識ははっきりしており、陣痛が始まった段階から子宮口がしっかり開くまで落ち着いて過ごせると思いますよ。子宮口が全開になったら助産師が息むタイミングを指導するので、安心して出産に臨んでください。

知識の提供と密なコミュニケーションで不安の解消を

先生は、麻酔教室を開いているそうですね。

山田佐世子先生 井上レディースクリニック3

無痛分娩をしようか迷っている方や希望されている方に、院内のレストランを使って麻酔教室を開き、硬膜外麻酔に関する基礎知識を説明するほか、参加されている方からの質問にも答えています。妊婦さんやその親御さんから多いのは、「硬膜外麻酔は、赤ちゃんに影響がないのですか?」という質問です。麻酔を注入する際は、赤ちゃんと妊婦さんに最大限配慮し、鎮痛薬の種類、濃度、量を妊婦さんに合わせて調整していますのでご安心ください。また、「背中からカテーテルを挿入する時、痛そう」という不安の声も多いですが、痛みを感じさせないように挿入前に注射で麻酔をしています。注射は予防接種の時のようにチクッとする程度で済むことが多いですよ。

一人ひとりに満足度の高い分娩を経験してほしいとお考えだそうですが、そのために重視していることは?

「フルに陣痛を経験しなければ、満足度が得られないのでは」と思われがちですが、無痛分娩でも十分にお産のやりがい、満足感は得られるものと、私は考えています。分娩の満足度は、「どれだけ痛みを取り除いてもらえたか」だけではなく、「自分の力でやり遂げた」という感覚や、「スタッフとのコミュニケーション」も影響するといわれているんですね。そこで、当院ではリラックスしていただけるような音楽や心休まる照明、呼吸法支援や声かけなど、妊婦さんのサポート体制を十分に整えています。大切なのは痛みの有無だけではないことを理解した上で、スタッフ全員が妊婦さんのケアに心を尽くしています。

診療で心がけていることを教えてください。

山田佐世子先生 井上レディースクリニック4

麻酔で痛みを和らげるだけでなく、コミュニケーションを大切にしています。妊婦さんの不安な気持ちに寄り添いながら話を聞くだけでも、表情が明るくなり、場合によっては麻酔を増量しなくても痛みの軽減に役立つことがあります。分娩中はなるべく顔を出して、「つらかったら言ってくださいね」「大丈夫ですか?」といったお声がけをするようにしています。また、分娩がどれくらい進んでいるのかわからないと不安が増長するので、「お産は7割進んでいますよ」「次の段階になったら主治医が来ますよ」といった、分娩の進行状況をお伝えすることも心がけていますね。そうすることで、お産の道筋が見えてきて、「もう少し頑張ろう」という気持ちになっていただけるのではと思います。

患者が納得して出産に臨めるよう全力でサポート

ところで、先生が医師になろうと思ったきっかけは何だったのでしょう。

山田佐世子先生 井上レディースクリニック5

父が内科の医師として開業していたので、中学校を卒業する頃には自然と「医学部へ進学したい」という夢を抱いていました。幼少期から患者さんに接する父の姿を見てきましたが、地域のかかりつけ医として患者さんに頼られ慕われている姿に、子どもながら憧れがあったのでしょうね。昭和大学医学部へ進学し、何となく父と同じ内科の医師になるんだろうなと思っていたんです。ところがペインクリニックの外来の実習で、麻酔科の先生が患者さんの痛みに真摯に向き合う姿を見て麻酔科に魅力を感じるようになって。さらに手術の実習でも、麻酔科医が全身管理を担当し、患者さんの命を預かりながらしっかり麻酔のコントロールを図るというダイナミックな世界を目の当たりにし、「この分野に携わりたい」と強く思うようになっていきました。

先生のご経歴をお聞かせください。

2002年に昭和大学医学部を卒業後、同大学横浜市北部病院の麻酔科で5年ほど経験を積みました。その後、同病院の緩和ケア部門で、がん患者さんの疼痛コントロールをはじめとする、さまざまな緩和ケアを経験。さらに1年ほど、帝京大学医学部附属病院の緩和ケア内科に勤務したこともあります。多くの患者さんの「痛い」という訴えに対し、麻酔を投与するだけでなく、じっくりとお話を聴いて不安を軽くできるように努めるなど、一人ひとりの痛みと向き合う重要性を学びましたね。当院で常勤として働くようになったのは、2013年からです。私は子どもが4人いるのですが、実は第3子の出産をしたのが当院だったんです。ちょうど麻酔科の医師が退職するタイミングだったことから、縁あって勤務することになりました。当時は大学の常勤医だったので週1回の勤務でしたが、やがて常勤となり現在に至っています。

出産で大切なのは、どのようなことでしょうか。

山田佐世子先生 井上レディースクリニック6

妊婦さんご自身が、自分のお産に納得することが非常に大切だと思っています。出産にはさまざまな方法があり、大切にしていることもそれぞれ異なります。「持病があって無痛分娩を勧められたから」など、周囲の意見に惑わされて納得しないまま流されてしまうと、満足感の低いお産につながる可能性もあります。医師の話をきちんと聞いて理解し家族とも相談しながら、最終的には自分自身が納得のできる決断をしてほしいと思っています。その過程で無痛分娩に興味を持ったなら、お産の痛みについて学び、痛みを和らげるための手段に関しても説明を受け、理解を深めた上で選択していただきたいですね。そのときは当院が全力でサポートしますので、「ここで産んで良かった」「無痛分娩を選んで良かった」と思えるお産を一緒にめざしましょう。

自由診療費用の目安

自由診療とは

乳がん検診(マンモグラフィ・超音波検査併用)/1万2000円~、子宮がん検診/8000円~、不妊治療(人工授精の場合)/1万7500円

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