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井上 裕子 院長の独自取材記事

井上レディースクリニック

(立川市/西立川駅)

最終更新日:2023/07/14

井上裕子院長 井上レディースクリニック main

JR青梅線の西立川駅から徒歩約7分の立川南通り沿いにある4階建てのビルにある「井上レディースクリニック」。同院は井上裕子院長が、1919年に祖父が開業した産婦人科の3代目として継承した。「女性のすべてに寄り添うクリニック」をコンセプトに、婦人科の一般診療や検診から出産、不妊治療、さらには産後や更年期などの心身サポートまで、女性の病気や悩みに幅広く対応している。「ライフステージに合わせて大きく変化する女性の体に寄り添う、トータルヘルスケアをめざしています」と優しい笑顔で語る井上院長に、同院の特徴やめざす産婦人科医療への思いを聞いてみた。

(取材日2023年3月30日)

地域のかかりつけ医として女性の生涯の健康をサポート

クリニックの特徴を教えてください。

井上裕子院長 井上レディースクリニック1

「女性総合診療科」をコンセプトに、妊婦健診や分娩、乳腺の外来といった産前産後のケアから婦人科の診療・検診、不妊治療まで、女性の生涯に寄り添う診療を提供しています。産婦人科はお産のときにかかるものと思われがちですが、女性特有の疾患やホルモンによる体の変化など、女性ならではの医療ニーズは生涯を通じて常にあり、それに応えるかかりつけの産婦人科が必要です。地域に根差した産婦人科クリニックとして、エリアに暮らす女性たちを継続的に見守り、心身の健康をサポートする役割を果たしたいと思っています。65歳以上の一人暮らしは増加傾向にありながら、高齢者の在宅医療が推進される社会において、婦人科医療を軸としたコミュニティーデザインをめざしています。

婦人科医療を軸としたコミュニティーデザインとは?

地域女性の健康を支える拠点として役割を果たすということです。がんなどの大きな病気になった際には高度医療を担う病院で治療を受ける必要がありますが、病気をいち早く見つけて適切な治療へとつなげることや、治療後のフォローなどは、地域のクリニックに役割が求められています。つまり、プライマリケアとターミナルケアはわれわれが負うべきでしょう。また、大きな病気はなくとも、身体的・心理的不調を抱えている女性は多くいらっしゃいます。妊娠、出産、閉経などのステージによって女性の心身は大きく変化し、その変化に戸惑うケースも少なくありません。そうした女性たちの「マイドクター」「マイナース」「マイトレーナー」として、よりどころとなって支えていければと考えています。

具体的にはどのようなサポートを実践していますか。

井上裕子院長 井上レディースクリニック2

月経困難症や月経前症候群(PMS)などの月経異常や子宮・卵巣の病気を診療するとともに、思春期や更年期など、世代に合わせたカウンセリングにも力を入れています。若い世代には将来の妊娠を意識したプレコンセプションケアを、更年期に差しかかる世代にはフレイルを予防するためのケアを提案し、病気の診療に限定されない女性のための体づくりを実践しているのです。ジムやプールを併設しており、マタニティー向けやベビーと一緒に参加できるようなヨガ・ピラティス、水中ウォーキングなどのクラスを運営しています。また、体が変われば気分も変わると考え、更年期に体調を崩しがちな女性にも運動療法を提案しています。

産み育てる力を支え、幸せな出産・育児を支援

こちらのクリニックでのお産への対応についても教えてください。

井上裕子院長 井上レディースクリニック3

当院では自然分娩をメインとしながら、無痛分娩や帝王切開などにも対応しています。妊産婦さん自身の「産み育てる力」をサポートするのが基本。院内助産院を立ち上げて、助産師が妊娠中から産後までトータルにサポートしています。事前にどんなお産をしたいかを細かく聞いて「バースプラン」を作成し、自然分娩に限らず帝王切開でもパートナーの立ち会いを推奨し、直後には「ウェルカム抱っこ」で母子の愛着形成を促します。産後の回復を少しでも早くし、スムーズに育児に移行できるよう、術後の痛み止めも積極的に使用しているのも特徴です。近年希望の多い無痛分娩では、麻酔科の医師が硬膜外麻酔を担当し、安全面に最大限配慮しています。また、傷の縫合も少しでもきれいに仕上がるよう、私以外の医師にも「自分の奥さんや家族だと思って縫合して」と話しています。

産後のケアにも取り組んでいらっしゃるそうですね。

産後1年以内の母親が亡くなる理由で一番多いのが自殺です。お産をして幸せだったけれど、その後に育児で悩んでしまうのですね。現代の日本は食べ物も教育も充実しているのに、お母さんが自ら命を絶ってしまう現状はつらいものです。国でも育児のサポートをしようと言っていますが具体的なものはなかなか出てきませんし、保健所や児童相談所も人員の問題などもあってうまく機能しているとはいえない現状もあります。そこで当院では、助産師たちにスマートフォンを持たせて、メール相談ができるようにしてあります。専用のメールアドレスを登録してもらって、「4ヵ月前に生んだけど夜泣きがひどい」「おっぱいが出ない」「眠れない」など、育児やママさんの体に関することを相談可能です。そして、それでも解決しない場合には、認定心理士が対応する体制も整えています。

自治体との取り組みにも積極的と伺いました。

井上裕子院長 井上レディースクリニック4

立川市、昭島市の産後ケア事業を受託しています。申請すると補助を受けて宿泊・デイサービスをご利用になれます。安心して赤ちゃんを預けてゆっくりと休息を取って体調回復に努められるのに加え、授乳や育児、生活について助産師に相談していただくことも可能です。当院でお産をされた方に限らず利用できるので、ぜひ活用していただきたいと思っています。また、自治体主体で勧められている、乳がんや子宮がんの婦人科検診の実施にも注力しています。乳がんの発症率は9人に1人と高いので、海外では受検率が80%を超える国もあります。一方日本では、検診を実施している施設がまだ少ない影響もあり30~40%ほど。ですから受検率向上をめざし、当院を受診した方には「検診は受けていますか」とお声がけしています。また、病気の早期発見・治療につなげるために、乳房を意識する生活習慣「ブレスト・アウェアネス」の啓発も併せて行っているのです。

10代から老後まで輝いて暮らせるようサポートしたい

更年期に悩む女性も多いそうですね。

井上裕子院長 井上レディースクリニック5

女性ホルモンの分泌が大きく減少する更年期には、ホルモンバランスが崩れて心身にさまざまな不調を感じる女性が多くいます。ホットフラッシュ(のぼせ)や動悸といった更年期障害の典型的な症状に限らず、疲れやすくなったり、イライラしやすくなったり、40〜50代を迎えると女性の体に大きな変化が現れるのは当たり前のことです。当院では自己記入式のアンケートに加え、採血検査や生理学的検査を行っています。減少したエストロゲンを補うためのホルモン補充療法や、漢方薬を用いた対症療法も行っています。患者さんの一人ひとりがご自身のお体の現状を適切に把握し、上手に付き合っていくことこそ、その先をすてきに生きていくために欠かせないこと。そのためのサポートを行っているのです。更年期をきっかけに、フレイル予防など「その先」の健康を考えていただければと思います。

「その先」をすてきに生きるために必要なこととは?

長寿社会に関するNPO法人をしているある弁護士が、高齢者には「金・筋・近」が大切と話していました。「老後のお金をちゃんと貯めなさい」「筋肉をつけなさい」「近所の遊び友達をつくりなさい」ということなのですが、なるほどなと思います。豊かな暮らしに必要なお金は自分で稼がないといけないですし、歩けなくなれば認知症にもつながりますから筋肉をつけないといけない。とはいえ、お金も筋肉も一晩では用意できませんから、若いうちから将来を意識しながら生活することが大切です。会話をする機会がないという高齢者も多いですから、ちょっとお茶を飲みにいくことができるような友人もつくっておくと良いでしょう。すべての女性の人生に関わるあらゆることの啓発や機会の提供も私たちの役目であると捉えています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

井上裕子院長 井上レディースクリニック6

10代の生理や性の悩みから妊娠に向けた体づくり、分娩や産前産後のケアから更年期のサポートまで、女性の生涯にはかかりつけの産婦人科医が欠かせないものです。生まれ育った立川で、関わる女性たちが日々少しでも健康に生き生きと暮らし続けていけるように、これからも元気のサポートをしていければと思っています。いつでも気軽に来ていただけたら幸いです。お待ちしています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

乳がん検診(マンモグラフィ・超音波検査併用)/1万2000円~、子宮がん検診/8000円~、不妊治療(人工授精の場合)/1万7500円

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