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上西 紀夫 院長の独自取材記事

公立昭和病院

(小平市/花小金井駅)

最終更新日:2019/08/28

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人口約100万人を有する北多摩北部医療圏を中心に、地域の高度急性期医療を担う「公立昭和病院」。救命救急センター、地域周産期母子医療センターとしての役割を持ち、地域がん診療連携拠点病院、災害拠点病院、地域医療支援病院に認定されているほか、DPC医療機関群II群(高診療密度病院)の指定も受けている。この多彩な機能を持つ病院のトップとして采配を振るうのは、消化器を専門とし多くの著書も手がけてきた上西紀夫院長。2008年の院長就任以来、開院から80年以上にわたり地域医療を担ってきた同院を改革し支えてきた。その穏やかな語り口や言葉から伝わってくるのは人柄の温かさ。仕事に楽しさやアイディアを取り入れる話にもつい引き込まれてしまう。同院の持つ高度救急医療の提供とがん診療という2つのミッション、さらに地域の中心的役割を果たす公的病院としての役割。医療面だけでなく日本医療機能評価機構の病院機能で評価を受けるなど、病院全体の質の向上にも余念がない。時代に合わせて変化する医療制度の中で、地域のリーダーとして描く同院の在り方を上西院長に話を聞いた。
(取材日2018年2月28日)

北多摩北部の高度急性期医療を担う公立病院

こちらは1928年に設立された歴史ある病院と伺っています。

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もともと伝染病院設置を目的として、9つの市町村が集まってきて組合を作ってできた病院です。今は市町村の合併で8つになってしまいましたが、当時は9つの市だったので、病院のロゴマークには9枚のアイビーの葉が描かれています。市立病院や県立病院のように行政直結ではないので、比較的独自の運営ができていたのですが、病院議会は年に2回しかない。大型の医療機器を買おうといった場合、半年、1年待っていたら間に合わないわけです。そういうことを含めてスピーディに行うため、2014年に経営体制を昭和病院企業団に変更しました。入院や外来、地域連携、医療安全、電子カルテの導入など、診療科だけでなく、専門センターや各部など8つの部門の部会をつくり、定期的に運営会議でさまざまな議論や情報交換を行っています。それらの取り組みが、病院機能面の高い評価にもつながっているのではないかと思います。

多くの機能を持つ病院ですが、特長を教えてください。

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一つは高度急性期医療を提供する第三次救急病院であり、災害拠点病院でもあるということ。今後、さらに高齢者の脳血管障害や心臓の病気などが増えると考えられますから、救急部門は大きな役割であり市民の方々の要望でもあります。この地域の地域周産期母子医療センターとして受け入れている母体搬送のほか、土日や夜間を含めたさまざまな救急を受け入れています。国の地域医療構想で、各病院の機能を明確にすることを推進していますが、当院の中心が救急であるということがよりわかりやすいよう、通称ではありますが「高度・急性期医療センター公立昭和病院」を謳っています。もう一つは、がん診療です。地域がん診療連携拠点病院として、当院で行うがん手術はかなりの数になります。高齢者の多い地域であるため、がんが進行してから病院に来る方も多く、患者さんの状態を見ながら腹腔鏡下での手術など、高齢者に適した手術にも力を入れています。

高齢者の健康管理に大切なことは何でしょうか?

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がんで言えば、診断と早期発見が重要です。企業健診は毎年受けても、定年後に住民検診を受ける人は数%です。何らかの症状があって来院すると、がんが進行しているというケースが多いので、各市の市民講座で話をしたり、ホームページに載せる、院内で広報するなどして、検診の重要性を伝えています。例えば、胃カメラの検査などは受けるのが大変ですが、今はピロリ菌とペプシノーゲンというたんぱく質を測って、胃がんのリスクがどれくらいあるかがわかる検査を当院でも取り入れています。大腸の内視鏡検査なども大量の下剤を飲む必要があるので、高齢者には負担が大きいため、当院ではCTC(仮想大腸内視鏡検査)を導入しています。この検査の場合、飲む下剤の量が少なく、一緒に薄いバリウムを飲むことで全体像の画像確認ができます。体に負担の少ない検査を取り入れることで、積極的に検診を受けていただき、健康寿命を維持していただきたいと思います。

地域の医療連携にも注力されていると伺っています。

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当院のような急性期病院で受け入れた患者さんは、療養期や慢性期の病院、あるいは在宅などに移行しなくてはならないので、地域連携には非常に力を入れています。その連携を円滑に行うため、北多摩北部にある42の病院で北多摩北部病病連携会議を作り、病院と5つの市の医師会の先生方が診療報酬改定の問題や、病院の機能について話す勉強会を行っています。今後は、この連携会議を通じて、地域全体のさまざまな部分の医療内容をある程度均てん化しようと考えています。例えば、患者さんが高齢化しいろいろな病気になり、多くの薬を使うことで耐性菌が出ると、転院先でアウトブレイクを含むさまざまなことが起こります。それを回避するためには薬の使い方の共通認識が必要です。また、高齢者の誤嚥を防ぐため、半固形、トロミなど、食事の柔らかさの共通基準を設けることで、転院後もきちんと栄養が取れる。そういう病院間の共通項を構築していきたいですね。

最後に今後の展望をお願いします。

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2040年には高齢者が3千数百万人になり、3人に1人が65歳以上という時代が来ることで、地域包括ケア的な病院の役割が増えていきます。例えば、急性虫垂炎のように昔だったらすぐに手術をした疾患も、今は抗生剤で様子をみて、落ち着いてから手術をする、あるいは当面手術しないという治療に変わってきています。そういう患者さんは、今後一般急性期の病院へ搬送されることになりますから、高度医療を担う当院などは病床数も以前ほど必要ではなくなると思いますね。そういうことも地域の中で考えていかなくてはいけない。また、急性期病院と慢性期病院とでは、看護の仕方もかなり違うのですが、今後は介護の現場にも医療が必要です。急性期と慢性期の看護師がお互いに勉強し合う場なども、この医療圏域でサポートしていくなど、自分たちの病院だけでなく、地域全体の医療や介護の質を上げていくことも当院の一つの大きなミッションだと思います。

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