がん診療に特化した検査機関ならではの
内視鏡検査
東京都がん検診センター
(府中市/西国分寺駅)
最終更新日:2020/09/24


- 保険診療
20~40代の若い世代に多くみられる胃のスキルスがんは、初期段階では病変部が表面に現れず、胃壁に潜り込むようにして広がっていくため発見が難しく、診断された時には転移がみられるなど、かなり進行してしまっていることも少なくない。「東京都がん検診センター」では、「初期のがんを見落とすまい」という思いで大勢の専門スタッフが精度の高さにこだわって検査に取り組み、がんの死亡率の減少に向けて取り組んでいる。今回は、豊富な経験をもつ消化器内科部長の小田丈二先生に、がん診療に特化した同センターならではの安全性と質の高さを重視した内視鏡検査について詳しく聞いた。 (取材日2020年1月16日)
目次
早期発見でがんの死亡率を減らしたい。豊富な経験と専門性をもつスタッフによる内視鏡検査
- Qこちらで受けられる内視鏡検査の特徴について教えてください。
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A
▲技術向上に努め、負担の少ない検査を
当センターでは年間を通して多くの内視鏡検査を行っています。上部内視鏡検査(胃カメラ)では咽頭、食道、胃、十二指腸を、下部内視鏡検査(大腸カメラ)では主に大腸に病変がないかを検査します。二次検診である精密検査に力を入れており、多くの方が精密検査を受けにいらっしゃいます。精密検査の場合は、所見ありと指摘された箇所だけでなく、診察可能なすべての部位を広く徹底して調べるので、一次検診で指摘されていない部位に、小さな早期がんが見つかることも少なくありません。早期発見できれば、多くのがんが完治を望める時代です。全国のがん死亡率の減少に貢献できるよう、検査技術の向上に努めています。
- Q上部内視鏡検査にはかなり力を入れているそうですね。
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A
▲検査を重ね、小さな病変を見過ごさないように努める
上部内視鏡検査の他、内視鏡の先端に超音波装置や拡大鏡、特殊光を使った検査にも対応。超音波内視鏡は通常の内視鏡では見られない粘膜下の病変や、膵臓など胃の周囲の臓器の詳細な観察を可能にします。検診は基本的に年に1度のことなので、患者さんに笑顔で来院いただけるよう、小さな病変や、見つけるのが困難なスキルスがんも見落すまいと、しっかり時間をかけて調べます。といっても検査は15分程度で、胃に空気を入れて充分に膨らませ、ヒダとヒダの間まで見落としのないようくまなく調べます。がん検診の専門家がそろっており、技術やノウハウがあることも自慢の1つですね。また、苦痛を軽減する目的で経鼻内視鏡もそろえています。
- Q下部内視鏡検査は、精密検査の依頼が多いと聞きました。
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A
▲必要に応じてさまざまな検査で対応
確かに一次検診で便潜血陽性となった方の依頼が多いですね。精密検査では腫瘍などの病変があった場合、拡大内視鏡を使ってそれがどのようなものなのかをしっかり見極め、内視鏡で取れるものなのか、そうでなければ腹腔鏡と開腹手術のどちらがいいのかなど、検査後の治療方針まで診断します。また検査時には、穿孔などの偶発症が起こらないように細心の注意を払って検査を行っています。
- Qがんに特化した施設ならではの強みとは?
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A
▲日々検査レベルを上げるため、研鑽を積む
当センターの強みは、大きく3つ。小さな病変や早期のがんを見落とすまいと専門性高く精密検査を行っていること。がんに精通した複数の専門家が多角的に症例検討を行い、診断レベルの向上に努めていること。さらにお隣の多摩総合医療センターで手術をした後、切除した胃や大腸を自施設で病理標本を作製し、内視鏡やエックス線の画像と比較検証していることです。検査して終わりではなく、その結果を照らし合わせてさらに検証し、反省点や改善点を洗い出します。ここまでやっているところは国内でも数えるほどでしょう。このような繰り返しが人材を育て、ノウハウとなって受け継がれ、精度の高いがん検診をめざしていけるのだと思います。
- Qどのような人が内視鏡検査を受けたほうが良いのでしょうか?
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A
▲早期発見、定期的な検査が重要と語る小田先生
大腸がんの場合、初期は自覚症状がありません。便の検査で陽性となった場合は必ず精密検査を受けてください。陰性の場合でも、たとえ1度でも下血など気になる症状があった場合は必ず精密検査を受けてほしいです。あと、いわゆるがん家系の30~40代の方は、念のため検査を受けておくと安心だと思います。何もなければそれで良かったねで済みますし、万一、初期のがんが見つかり、手術になったとしても命に影響することはほとんどありません。検査の目的は、自覚症状のない初期のがんを見つけること、もしくはなんでもなかったと安心してもらうこと。今はまだなんともないという人ほど、早めに、そして定期的に検査を受けてほしいと思います。