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日名子 尚子 院長の独自取材記事

小松医院

(日野市/豊田駅)

最終更新日:2023/08/07

日名子尚子院長 小松医院 main

JR中央本線・豊田駅の北側、国道20号日野バイパスから少し入った場所に位置する「小松医院」。周囲を緑に囲まれた同院を訪れると、見上げるほど大きなモミの木が出迎えてくれる。開院から64年という長期にわたって地域医療を支えてきた。2代目院長を務めるのは、前院長の3女である日名子尚子先生だ。家族に接するように患者と接する、アットホームなクリニックを頼り、3世代で受診する患者も多い。日名子先生に前院長の意志や診療を受け継ぐ地域医療について詳しく聞いた。

(取材日2023年3月16日)

親子2代で地域医療を支えて64年

まず最初にクリニックの歴史や特徴を教えてください。

日名子尚子院長 小松医院1

当院は私の父が1959年に開院しました。父は長年、行政や医師会と協力し、地域医療に貢献してきました。特に福祉をライフワークとし、通常の診療と並行して障害者の診察や、障害者施設への訪問診療に力を入れてきた歴史があります。私は2017年7月に父からバトンを受け取り、2代目院長に就任しました。長年通ってくださる患者さまも多く、今も父を気にかけてくださる方もいらっしゃるのをうれしく思います。父の姿を見て育ったこともあり、クリニックとともに父の意志を引き継ぎました。私も地域貢献したいという想いが強く、日野市医師会でさまざまな役割を担っております。休日準夜診療所では医師会メンバーの担当制で、内科と小児科の診療を行っています。

障害者の診療や訪問診療への想いについてお聞かせください。

障害がある方はそれぞれ必要な配慮が異なります。それを理由に、体調不良で病院に行きたくても受診を断られてしまうケースがあります。当院ではお断りせず、積極的に受け入れています。障害者施設を訪れた際にご家族と接する機会も多く、お困りの声を聞くたびに、改めて力になりたいと感じますね。施設への訪問診療は週に1度、昼休みの時間を使って訪問しています。1日に回れる件数が限られるため、どうしても行けない場合は往診専門の先生にお願いすることもあります。日野市医師会では在宅医療を推進しており、在宅医療を手がける医師が協力し合う「副主治医」の輪番制を取っています。担当する主治医が訪問できないときに代わりに診療を行う、助け合いの仕組みです。

総合病院との連携にも力を入れているそうですね。

日名子尚子院長 小松医院2

症状に応じて当院から総合病院へご紹介することも、逆に総合病院での治療を終えた患者さまを受け入れることもよくあります。専門である循環器に限らず、他科でも同じです。また、大学病院ではカバーすることが難しい「プライマリケア」に重点を置いています。私は患者さまへの寄り添いは、病院というよりクリニックの役割だと考えていますので、例えば大規模病院で手術をしましょうと勧められたと患者さまに相談を受けたら、患者さまの生活に則して、「なぜ手術をすべきなのか」を根気強く説明すると思います。

「小松医院に来てよかった」と帰ってもらうことが目標

先生はなぜ医師になろうと思われたのですか?

日名子尚子院長 小松医院3

同じ医師である父の影響は、あまりなかったかもしれません(笑)。理系科目が好きで医学部に進学したものの、自分が医師になる姿はあまり想像できませんでした。入学後、父は医療活動の話をよく聞かせてくれましたが、やはり将来のイメージは湧かず、どの診療科を選んだらいいのかわからず……。それでも不思議なもので、さまざまな研鑽を積むうちに、自然と医療人としての意思が固まっていきました。卒業後は東京医科大学大学院の公衆衛生学教室に入局し、社会医学研究を行いながら東京医科大学八王子医療センターで臨床研修を受けました。臨床経験を積むうちに、医師としての自覚が芽生えていきました。

最終的に循環器内科を選んだ理由は何だったのでしょうか?

八王子医療センターの循環器内科を研修で回った時、厳しく鍛えていただいた経験が自分の糧になったため、循環器内科に進むことを決めました。同センターで多くの循環器疾患の患者さまを診てきました。心筋梗塞で運ばれてくる救急の患者さまも数多く、残念なことに亡くなる方も、治療後も心不全が長く続く方もいました。昨日までは元気だったのに、高コレステロール血症や糖尿病を放っておいたために、人生が一転してしまったという患者さまもいらっしゃいました。生死の境をさまよう患者さまを前に、「病気になる前に、自分にできることはないだろうか」と考えるようになりました。今は健診や診察を通して、生活習慣病を早期発見し、早期治療に結びつくように努めています。

先生はお仕事をする中で、どんな時にやりがいや幸せを感じますか?

日名子尚子院長 小松医院4

スタッフが楽しそうに働いてる姿を見るとうれしいなと感じます。「楽しい」という気持ちがあってこそ、患者さまに優しく接することができると思うんです。クリニック全体で掲げている目標は患者さまを癒やすことと、「小松医院に来てよかった」と帰ってもらえること。どう実現するかはスタッフの裁量に任せています。診察中は私も医学的なエビデンスを用いて病気のご説明をして、少しでも患者さまに安心してもらえるように努力しますし、診察後はスタッフが温かい言葉をかけてくれています。この連携プレーが患者さまの安心感につながっていたらいいなと思います。患者さまが楽しげな表情で帰っていかれる姿を見ることができれば、当院の目標が実現できていると感じて、誇らしい気持ちになりますね。

お休みの日は、どんなふうに気分転換をしていますか。

音楽が好きで、趣味はフルートです。ギタリストの主人と演奏したり、動画をアップしているんですよ。数年前からアコーディオンも演奏するようになりました。夫に「アコーディオンもやってみない?」と言われて始めたのがきっかけで、ギターとアコーディオンの演奏動画もアップしています。患者さまから「動画を見たよ」と言ってくださる方がおり、うれしいような恥ずかしいような気持ちです(笑)。

病気になる前にアプローチして健康を守りたい

院長に就任してから5年がたちました。この5年間を振り返っていかがでしたか。

日名子尚子院長 小松医院5

5年のうち直近3年間は新型コロナウイルスに振り回されました。コロナ禍が始まる前に挑戦しようとしていたことは一切できず、空白の時間を過ごしたように感じます。発熱専門の外来や自宅療養者の健康観察など、コロナ禍の地域医療に全身全霊で対応してきました。正直とても大変でしたが、当院の患者さまが新型コロナウイルスに感染した際、「いつもの先生に診てもらえるなら安心する」などのお声をいただき、地域の皆さまに貢献できたかな、なんて思います。

この数年間で、ご自身の変化を感じることはありましたか?

年齢を重ねるにつれ、患者さまの痛みや、ご家族の心情などを理解できるようになってきたように思います。自分自身の具合が悪くなることもありますし、身近な人が病気になることも増えました。そんな経験から、病院嫌いの方には「通院が面倒な気持ちはよくわかります。でも、あなたが倒れたら、家族も部下もみんなが困ってしまいますよ」と声をかけるなど、「ご家族だったらこんな声かけをするだろう」という声かけを意識しています。

今後の展望をお聞かせください。

日名子尚子院長 小松医院6

時間をかけて患者さまの生活を改善し、病気の予防につなげたいです。これはコロナ禍前からずっと考えていたことなんです。「健診で引っかかったけど放置していた生活習慣病の相談に乗ってほしい」、「新型コロナウイルスに感染して、生活習慣病の重症化リスクが怖くなった」というご相談があるので、禁煙治療や生活習慣を改善するための指導などを始めたいです。すでに、血圧のコントロールに関する指導などを行ってるんですよ。また、当院は高齢の患者さまも多いので、認知症予防の取り組みとして、待合室で歌を歌うなど、音楽を取り入れたことをやってみたいですね。年を取るとどうしても引きこもりがちになり、病院に行くくらいしか外出しなくなることも多いとお聞きします。音楽に合わせて体操をしたり、声を出したりするのはとても良い刺激になるのではないでしょうか。皆さんが長く健康でいられるにはどうすればいいかを、常に考えていきます。

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