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石田 隆雄 院長の独自取材記事

久光クリニック

(足立区/六町駅)

最終更新日:2022/05/24

石田隆雄院長 久光クリニック main

つくばエクスプレス・六町駅から徒歩3分の所にある「久光クリニック」。在宅医療と外来診療の両方を担っており、2000年の開業以来、地域貢献と心のつながりを大切にする医療をめざしてきた。2014年に院長に就任した石田隆雄先生もまた、患者一人ひとりに寄り添う温かな診療スタイルを心がけている。今特に注力しているのは、幸せな人生の最期を迎えるための終末期医療を提供する「ターミナルケア」。地域医療に改革をもたらすべく、介護医療のIT化や在宅看取り体制の充実も図っているという新進気鋭の石田院長に、その思いをたっぷりと語ってもらった。

(取材日2022年3月25日)

緊急往診や看取りも含め24時間体制の在宅医療を提供

まずはこちらのクリニックの特徴を聞かせてください。

石田隆雄院長 久光クリニック1

開業当時からクリニックは六町駅近辺にあったのですが、2017年6月により駅に近い現在の場所に移転しました。1階が外来診療スペースで2階がスタッフルームなのですが、車いすの方や高齢の方も通いやすいよう、全面バリアフリーにしています。スタッフルームにもこだわりがあって、あえて固定席にせずにスタッフが毎日自由に席を決めているんです。いろんなスタッフと交流することで、連携が高まるのではと考えたからです。また以前よりも医師の数が増え、現在は常勤医を中心に6~7人の医師で訪問診療や24時間体制の緊急往診、看取りに対応しています。

先生はどのような経緯で院長になられたのですか?

鳥取大学卒業後に滋賀県で研修医をし、次に国立国際医療研究センター病院の総合診療科で勤務した後、当院に来ました。私自身は大阪の出身なのですが、当院の創業者が私の叔父で、そのつながりもありました。院長を任されたのは2014年4月からです。街のクリニックで勤務するにはまだ早いのではと迷う気持ちもありましたが、団塊の世代が後期高齢者になる時代を迎えるにあたり、一刻も早くかかりつけ医としての診療所での勤務や、終末期医療を含めた在宅医療に取り組む必要があると考えました。それ以来ずっと現場で日々働きながら、実地で勉強を重ねています。

在宅医療に力を入れている理由は何でしょう?

石田隆雄院長 久光クリニック2

今は、外来診療だけをやっていればよいという時代ではなくなりました。地域のかかりつけ医としては在宅医療も手がけ、高齢者や末期患者などの看取りも含め患者さんを最期まで見届けるというのが当たり前になりつつあります。老衰などが原因で通院できなくなるケースに加えて、最近は大規模病院でも治療の難しい末期患者さんを退院させる傾向があります。このため、外来診療から在宅医療・看取りまで、地域のクリニックにできることは基本的に何でもやる必要があるのです。例えば高齢で一人暮らしの患者さんでも家に帰されるケースがあります。その場合、当院が関係機関と連携して自宅で診ることもできますし、施設入所や小規模多機能型居宅介護の制度などを活用する形で、当院の医師が自宅や施設に訪問して診療や看取りを行うこともあります。

幸せな最期を迎えられるよう本人・家族の心情に配慮

先生が在宅医療を提供する際に、心がけていることを聞かせてください。

石田隆雄院長 久光クリニック3

在宅医療は以前より浸透した印象がありますが、いまだに最期を自宅で過ごすことに抵抗のある患者さんやご家族がいることも事実です。患者さん本人は在宅医療を希望しても、ご家族は在宅医療への知識がなく、漠然とした不安を抱えて反対することもあります。そんな方に在宅医療について理解していただけるよう、説明するのも私たちの役目かと思います。また、在宅医療は提供する医師によって患者さんの満足度が大きく異なると思っています。大学病院の外来診療であれば、「有名な先生」や「大きな病院」ということで患者さんは安心できるかもしれませんが、在宅医療はそうはいきません。医師個人の力量が問われます。これは医学的な力量という意味だけでなく、患者さんやご家族とのコミュニケーションの取り方や、生活背景・経済状況などを考慮したアドバイスができるかも重要です。それも含めて、患者さんに満足していただける医師でありたいと思っています。

看取りにも対応しているとのことですが、看取りを行う上で大切なことは何だとお考えですか?

どうすればその人が穏やかに、少しでも楽しい経験をして最期を迎えられるかを考えることです。例えば、飲食ができない患者さんに一口でも何か食べさせることができたり、入浴してもらったりすることで、最期まで心地良く過ごしてもらうのも大事なことだと考えています。実際、ご自宅で患者さんの最期を看取られるご家族は、必ずしもみんなが悲しみに暮れているわけではありません。やりきったという達成感があって、体を拭いてあげながら思い出話にほほ笑むこともあります。また、この地域には独居の高齢者も少なくありません。身寄りがなく、末期がんで余命数ヵ月の人や、認知症やアルコール依存症などで乱れた生活をしている人もいます。こういう場合はご家族なしで、介護に携わったヘルパーさんたちとお見送りすることになりますが、亡くなった方を含めてみんなが少しでも高い満足度をもって看取りができるよう努めています。

患者さんとコミュニケーションをとるときに、特に気をつけていることは何でしょう?

石田隆雄院長 久光クリニック4

患者さんの話を可能な限り聞くことです。医学的な正解を押しつけるのではなく、ご希望や不安なことをできるだけ聴くようにしています。例えば不定愁訴で、漠然とした体の不調を訴える方も多いのですが、具体的に有効性の見込める治療法があるケースは多くありません。こういう場合は「それは病気ではないから」と突き放すのではなく、共感し一緒に対応を考えること、笑顔でお話を聞くことが大切だと思います。若い時にはあまり気にならなかったちょっとした痛みなどでも、高齢になるとそれを気にして悪循環に陥ることもありますから、不安を取り除くことが必要なのです。

クラウドを活用した地域連携で、在宅医療の質を上げる

地域のケアマネジャーや訪問看護ステーションとの連携についてはいかがでしょうか。

石田隆雄院長 久光クリニック5

インターネットのクラウドを使って、ケアマネジャーや訪問看護の方、薬剤師らとカルテを共有できるようにしました。院内でも外出先でも、診療内容や検査結果、撮影画像などの情報を見られるシステムをつくったのです。実際、医療と介護の連携がうまくいっていない点が多々あり、入院中の治療内容と、クリニックでの診察結果、ケアマネジャーの事務所が持っている情報はそれぞれ別に保管されています。他のところから情報を得ようとすると文書や電話でやり取りしなければなりませんが、相手にうまく伝わらなかったり気を使ったりで不便が多いんです。患者さんのことを把握しやすくするためには情報を開示し、お互いの関係をもっとフラットにすべきだと思って、このシステムをつくりました。せっかくIT技術が発達しているのだから、介護・医療の現場にももっと取り入れて、医療の底上げを図っていきたいですね。

ところで、学生時代は何か課外活動をされていましたか?

サーフィンです。鳥取大学を選んだのも、そこでサーフィンを始めようと思ったことが半分ありました(笑)。しかし、行ってみたら夏にはあまり波がなく、寒い冬がサーフィンのシーズンでした。夏は仕方がないので岸で釣りをしたり、宮崎県などでサーフィン合宿をしていましたね。今も海が好きですが、緊急時には休日でもご自宅や施設に駆けつけたり、電話対応も求められるので100パーセントのプライベートはなく、海にはなかなか行けませんね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

石田隆雄院長 久光クリニック6

当院は在宅医療と外来診療を車の両軸と捉えており、どちらか一方だけの診療ではかかりつけ医としてバランスを欠くことになると考えています。また、現在は在宅医療か外来診療かの二者択一が一般的ですが、在宅医療にかかるには至らない中間的な状態の患者さん、例えば「外来診療で診ているが、夜間に急に症状が悪化しやすい方」や、「通院は困難だが在宅医療をするほどでもない方」といった患者さんへの対応が今後は増えていくと予想しています。当院ではまず通院が困難な患者さんのために送迎専門のドライバーによる無料送迎を始めていますのでお問い合わせください。私は在宅医療も外来も、専門にこだわらず、総合診療だと思って取り組んでいます。私は皮膚科の医師ではありませんが、患者さんが困っていれば足のたこを削ったり爪を切ったりもしますよ(笑)。どんなことでも、まずは気軽に相談してください。

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