超高齢社会で増える骨粗しょう症
早期治療で健康寿命の延伸を図る
あやせ慶友整形外科
(足立区/綾瀬駅)
最終更新日:2023/05/26


- 保険診療
社会の高齢化が進む現代において患者数も増加傾向にある「骨粗しょう症」。加齢などによって骨密度が低下することで骨がもろくなる病気で、骨折が生じやすい状態となる。閉経後にホルモンの変化が生じる高齢の女性に多いとされ、症状が悪化すると背中や腰が丸くなる、身長が縮む、痛みが出るといった症状が現れる。「あやせ慶友整形外科」では、地域に多く暮らす高齢者の健康な生活をサポートするため、骨密度の計測や採血といった検査を積極的に勧め、早期発見・早期治療に努めている。また健康的な食生活や運動習慣は非常に大切なため、若い世代にも啓発を促している。取材では、こちらの施設で勤務している骨粗しょう症の専門家である金子博徳先生に、骨粗しょう症になりやすい人や検査、治療の内容、予防することの重要性などについて話を聞いた。
(取材日2023年4月4日)
目次
女性は閉経後にホルモンの変化により骨密度が低下しやすい。定期的な検査で骨粗しょう症の予防につなげる
- Q近年、骨粗しょう症の患者さんが増えているそうですね。
-
A
▲日差しが入り明るい待合室
高齢化の影響で、当院でも女性を中心に骨粗しょう症の患者さんは増えています。骨粗しょう症は骨密度の低下により骨折が生じやすい病態をいい、高齢者だけでなく、まだ若い方であっても骨折した方の骨密度を測ると、数値が低いことも多いです。また、体重がかかった時の関節の痛みは骨の弱さが影響していることもわかってきています。腰や膝、股関節に痛みがある方の骨密度を検査してみると、骨密度の低下が原因になっていると発覚することが多くみられます。骨粗しょう症はとにかく早期発見、早期治療が重要です。
- Qどんな人が骨粗しょう症になりやすいですか?
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A
▲食事や運動のアドバイスも行う
一般的に高齢者、骨折歴のある方、特に60歳以降の女性に多くみられます。女性に多い理由として、閉経後の女性ホルモン分泌量が大きく関連しています。閉経後、女性ホルモンは急激に減少、それとともに骨量を維持する力が減退し、骨密度の低下を招きます。日本人女性の平均閉経年齢が50.5歳といわれていますので、閉経前の40代の頃から受診、検査をすることで、ご自身の状態の把握ができ、骨粗しょう症の予防にもつながります。また、骨密度は20代でピークを迎えます。若い頃の健康的な食生活や運動習慣があるかどうかで骨の状態は変化します。早期に受診・検査をして、予防や対策を一緒に行いましょう。
- Qどのような検査や治療が必要になるのですか?
-
A
▲精密な治療を実現するため、先進の機器の充実にも余念がない
骨粗しょう症の状態を診るには、骨密度測定検査と血液検査を行います。骨密度測定検査では、DEXA(デキサ)法で腰椎と大腿骨近位部の骨密度を測定します。血液検査では骨代謝マーカーで骨が造られるバランスと壊れるバランスを調べ、ビタミンD、カルシウムの値などを計測します。検査の結果、数値が低い方には骨密度の低下をコントロールするための薬をお出ししています。また、関節の痛みが生じている方には、運動療法を用いて筋力強化や関節可動域の改善、日常生活における動作の改善などを行っています。当院では、半年に1回検査を実施し、数値の確認を、その後のフォローアップを行っています。
- Q日常生活で改善できることは何かありますか?
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A
▲平日4回土曜3回、クリニックで健康講座を開催している
改善できることとしては、主に食生活の見直しと散歩や軽い運動になりますので、当院では食事や運動の指導を行っています。検査の数値を見てカルシウム不足であれば大豆製品を食事に取り入れるなど、患者さんに合わせてより具体的な改善案をお伝えしています。また、当院では身体を動かすきっかけとして健康講座を実施しています。音楽に合わせて、柔軟性を高めるエクササイズで楽しみながら運動ができます。普段から運動している方は、自分は大丈夫だと思っているかもしれませんが、筋肉は維持できても骨の状態が悪ければ、骨折のリスクも高まります。若いうちから検査を行うことでリスクも軽減につながると思います。
- Q骨粗しょう症だけでなく股関節も専門的に診てもらえるのですね。
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A
▲骨粗しょう症は早期発見・早期治療が大切だと話す金子先生
はい。骨粗しょう症はもちろんですが股関節も専門として診療を行っております。股関節は、体幹、腰を含めた上半身を全部支える重要なポジションです。歩行時に股関節の痛みを伴う、寝ているだけで痛むといった変形性股関節症や臼蓋形成不全の方は非常に多く、その原因はさまざまです。股関節は可動域が悪いと余計に筋肉に負担がかかってしまいます。まずは診察にいらしていただき、症状をお聞かせください。症状が進行してお困りの場合には、私が所属している大学病院やご希望の病院を紹介し、症状改善に向けて尽力します。