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肌のケアで重症化を防ぐ
乳児湿疹の治療からアレルギーの検査まで

なおやこどもクリニック

(江東区/南砂町駅)

最終更新日:2021/10/12

なおやこどもクリニック 肌のケアで重症化を防ぐ 乳児湿疹の治療からアレルギーの検査まで なおやこどもクリニック 肌のケアで重症化を防ぐ 乳児湿疹の治療からアレルギーの検査まで
  • 保険診療

子どもの肌は、とても繊細で敏感。乾燥や皮脂汚れが原因となりトラブルが起こることも珍しくなく、特に「乳児湿疹」と呼ばれる炎症が起こりやすいといわれている。大人であれば単なる肌荒れと捉えるかもしれないが、乳幼児期の場合、肌トラブルをきっかけにアトピー性皮膚炎や喘息、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患を発症する「アレルギーマーチ」が進むことも。長年にわたりアレルギー性疾患の治療と、発症予防をめざす診療に力を注いできた「なおやこどもクリニック」の坂口直哉院長は、「正しい治療とスキンケアによって、アレルギー性疾患発症の予防につなげていきたい」と語る。今回は乳児湿疹の特徴や、乳児湿疹の治療や肌のケアについて、そしてアレルギー検査に至る流れについて解説してもらった。

(取材日2019年3月19日)

検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!

Q乳児湿疹とはどういった状態を指すのですか?
A

赤ちゃんの肌にブツブツ状の発疹ができたり、表面ががさがさ・じゅくじゅくとした状態になったりと、さまざまな症状が現れます。特に顔や首、頭といった比較的皮脂の分泌が多い部分にできやすいのが特徴です。湿疹そのものは適切な治療とスキンケアで改善に向かうことがほとんどですが、例えば赤ちゃんが抱っこひもなどに顔をこすりつけるしぐさを繰り返す、知らない間に皮膚をひっかいているなど、かゆみが我慢できていない様子が見受けられた場合には注意が必要です。というのも、強いかゆみはアレルギー性疾患の兆候の一つなんですよ。赤ちゃんがかゆみを訴える様子を感じ取ったら、一度クリニックを受診しましょう。

Q乳児湿疹を放っておくと、どのようなリスクがあるのでしょうか?
A

一番に懸念されるのは、アレルギー性疾患の発症です。バリア機能が弱まった、荒れた肌からアレルゲンが侵入すれば免疫システムが攻撃態勢に入り、アトピー性皮膚炎や喘息といった、アレルギー性疾患を発症する可能性も高くなるといえます。例えば食物アレルギーは「食べ物を食べると発症するもの」と思わるかもしれませんが、実際には一度も卵を食べたことがないのに発症するケースもあるんです。目に見えないものを防ぐのには限界がありますから、スキンケアなどを通じて「入り口」となる肌を清潔で健康な状態に保ち、バリア機能を強くすることが重要です。当院ではアレルギー性疾患の検査を血液検査や皮膚テスト、食物負荷試験で行います。

Qスキンケアを行う上で気をつけるべきポイントを教えてください。
A

よく洗うこと、そして保湿することです。汗や汚れが皮脂と混ざり合うと、いわゆる「油汚れ」の状態になって、水やお湯では十分に落としきれなくなります。お子さんの顔を濡れたガーゼで拭うお母さん方もいらっしゃいますが、それでは皮脂や汚れは落とせませんし、ガーゼによる摩擦で皮膚に刺激が加わるので、かえって乾燥を助長することになります。ですから、せっけんの泡で優しく洗うことが大切なのです。そして洗った後は、乾燥を防ぐためにしっかりと保湿してあげます。保湿剤はたっぷりと、ティッシュが貼りつくくらいの厚みで肌に乗せてください。ここでも刺激を与えないのがポイントで、擦り込むことはしないように注意しましょう。

検診・治療START!ステップで紹介します

1問診と視診で症状を診断し、ケアの方法をレクチャー
なおやこどもクリニック 問診と視診で症状を診断し、ケアの方法をレクチャー

問診ではいつ頃から湿疹の症状が現れているか、かゆみを訴えるようなしぐさなど、赤ちゃんの様子で気になる点などを医師に共有。医師が視診や触診を通じて症状を診断し、症状に適した薬剤を選択する。診察と併せて、看護師が赤ちゃんのスキンケア方法、保湿剤や薬剤の塗布のやり方をレクチャー。せっけんの泡立て方や洗うコツなどを細かく解説するだけでなく、実際の薬剤などを用いて丁寧に指導してくれる。

2ステロイド剤を用いて一時的に炎症を抑える
なおやこどもクリニック ステロイド剤を用いて一時的に炎症を抑える

1日2回程度、入浴後などにステロイド剤を塗る。薬剤の量はベタベタ感が残る、塗りむらがあると感じるくらいが望ましいそうだ。通常3~4日程度で一旦ステロイド剤を休薬。休薬すると症状がぶり返すが、ここで焦らずステロイド剤の塗布を再開する。「ステロイド剤で期待できる回復はあくまでも一時的なもの。治療では休薬と薬剤塗布を繰り返し、ゆるやかに症状を軽くしていきます」と院長。

3必要に応じて漢方薬を処方
なおやこどもクリニック 必要に応じて漢方薬を処方

ステロイド剤などの西洋薬のみでの改善が難しい場合には、漢方薬の処方が検討される。漢方薬は0歳児から服用可能だが、苦くて飲めないという声もあるため、同院では子どもでも抵抗なく服用できるよう水あめ入りの甘い漢方薬などを柔軟に取り入れているという。体質や症状と合っていれば、2週間~1ヵ月程度で改善が期待できるそうだ。

4改善が見られない場合、血液検査でアレルギーを調べる
なおやこどもクリニック 改善が見られない場合、血液検査でアレルギーを調べる

ステロイド剤や漢方薬による治療で肌の調子が落ち着いていけば、あとはスキンケアだけで済むようになっていく。それらを継続してもなかなか改善が見られない場合は、アレルギー性疾患の初期段階にあることも想定されるという。そのため医師が必要と判断すれば血液検査を行い、アレルゲンに対するアレルギー反応を数値化する。検査結果は1週間程度でわかるそうだ。

5必要に応じてアレルギーの追加検査をし、原因を鑑別
なおやこどもクリニック 必要に応じてアレルギーの追加検査をし、原因を鑑別

血液検査の結果、食べ物によるアレルギーが疑われる場合にはさらなる検査が実施される。1つは皮膚テスト。牛乳やそばなどの液体を垂らし、専用の針で皮内に軽く押し入れ、じんましんなどの症状の有無を観察する。2つ目は食物負荷検査。食べ物を間隔をおいて少しずつ食べ、症状が現れた場合に「食物アレルギー」と診断される。こうして、具体的に原因を鑑別していく。

ドクターからのメッセージ

坂口 直哉院長

荒れた皮膚からアレルゲンが侵入する「経皮感作」が、食物アレルギーの一因となっているといわれています。新生児に多い乳児湿疹も、アトピー性皮膚炎の初期症状であるケースもありますし、乳幼児の頃から正しいスキンケアを実践していけば、単なる肌トラブルだけでなく、将来的な食物アレルギーの発症も防ぐことができると考えています。診断精度を高めるために各種検査を行える体制を整えるだけでなく、外用薬だけではなかなか症状が改善しない場合には、漢方薬も取り入れるなどして、治療結果につなげています。お子さんの肌に不安があったら、気軽にご相談いただきたいです。健診や予防接種のタイミングでも結構ですよ。

坂口 直哉院長 なおやこどもクリニック
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