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上條 誠 院長の独自取材記事

かみじょうこどもクリニック

(江戸川区/船堀駅)

最終更新日:2021/10/12

上條誠院長 かみじょうこどもクリニック main

「どんなに小さな子どもでも大人の言葉をその子なりに理解しているもの。だからしっかり向き合うことを大切にしたいんです」と語るのは、「かみじょうこどもクリニック」の上條誠院長。長年白血病の子どもたちと関わってきたからか、どんな話にも命と向き合う真剣さがある一方、医療で見せる妥協のなさは趣味にも健在で、大好きな野球観戦のためなら遠方でも足を運ぶという。そんな上條院長に、医師になったきっかけから今後の展望、診療モットーなどをじっくり聞いた。

(取材日2014年10月23日/更新日2020年1月15日)

めざすのは、子どもに安心を与えられる医師であること

小児科の医師になろうと思ったのはなぜですか?

上條誠院長 かみじょうこどもクリニック1

大学6年生の時の臨床実習がきっかけです。もともとは子どもが苦手だったのですが、実習で小児病棟の幼児部屋の患児を担当した時、子どものかわいさに目覚めました(笑)。そう感じさせてくれたのは、私が担当した患児と同じ病室にいた1歳の女の子。担当ではないのに私の後を追ってくるようになり、病棟の保母さんから「子どもが懐くのは、あなたに何かを感じているからよ。小児科に向いているかもね」と言われたのです。子どもの頃、かかりつけの先生に診てもらった安心感が医師をめざした理由の一つだったこともあり、「小児科の医師になろう」と心に決めました。子どもが好きなだけでは続けられませんが、それでも未来ある子どもの診療に携わっていけることにやりがいを感じています。

先生は白血病をご専門に勉強されてきたと伺いました。

そうですね。研修医時代に骨髄移植した患者さんを担当したことがきっかけで、白血病などの血液疾患や悪性腫瘍に興味を持ち、勉強してきました。命に関わる病気にかかった子どもたちの未来に少しでも貢献したい、と思ったのが専門に選んだ理由の一つです。薬剤の開発や造血幹細胞移植という画期的な治療法の確立など、医学の進歩によって白血病は不治の病ではなくなりつつあります。「治らない」と思われている病気だからこそ、困難に立ち向かっていく医師でありたいと思い、この道を選びました。

クリニックで力を入れている診療は何ですか?

アレルギー疾患について相談が多いのですが、最近は情報が氾濫しており、自分の子どもはアレルギーに違いないと考えたり、「湿疹=食べ物が原因」と思い込んだりして、血液検査を希望される方が少なくありません。ただ、湿疹はさまざまな要因から起きるもので、食べ物だけが原因とは限らないんです。問診の結果、食物アレルギーの可能性が低ければ、当院では基本的にすぐには採血しません。針を刺されて痛い思いをするのは子どもたちです。親御さんには、血液検査だけで食物アレルギーは確定診断できないことを知っていただきたいです。まずは医師に指導された処置を実践してみてほしいです。湿疹は、スキンケアを辛抱強く続けることで良くなるケースも多いです。忙しい親御さんも増えましたが、できる範囲で「手間をかけて世話をすること」を心がけてほしいですね。

子どもの病気に大切なのは保護者による看護

診療モットーを教えてください。

上條誠院長 かみじょうこどもクリニック2

私は、子どもの病気は医師が治すものではなく、親御さんが看病して治すものだと思っています。対処方法やどのような状態なら家で様子を見て良いのか、逆に病院に行くべきか、を詳しく話すようにしています。最近は、子どもが薬を嫌がると訴える親御さんが増えている印象があります。「飲めない薬を変えてほしい」と希望される方もいますが、その薬が必要だと考えて処方していますので、薬を服用する理由をお子さんにも丁寧に説明することの必要性をご理解いただけるように努めています。「先生は商売下手だね」と言われたこともありますけどね(笑)。

子どもに接するときに心がけていることは何ですか?

検査や点滴などの処置が必要になったとき、子どもにもよく話をすることです。「薬を飲まない」ということであれば、「なぜ飲まないといけないのか」を話して、できたときは「よく頑張ったね」と褒めてあげるのです。白血病の治療に従事していた頃は、1歳でも2歳でもきちんと話をしてから処置していましたが、それによって子どもたちの服薬や検査などの治療に協力する姿勢が随分違ってくることを痛感していました。その経験から、お子さんが協力してくれないときは、親御さんが向き合う手間をもう少しかける余地があるのではないかと思うのです。毅然とした態度で親御さんが接すれば、子どもは理解するものですよ。

先生の考える開業医の役割とはどのようなものでしょうか?

上條誠院長 かみじょうこどもクリニック3

先ほどの診療モットーとも重なりますが、予想される症状の変化をできるだけ説明して、病院にかかるタイミングをお話しすることです。夜間、当直にあたる先生の手を煩わせないようにしたいと思っています。1次医療機関で対応できる状態なら、2次・3次救急医療機関にかからないようにしてもらうことも開業医の務めでしょう。勤務医の頃、当直で救急外来を診ていて感じたのは、昼間にかかりつけ医からきちんと説明されていないのではないか、ということでした。夜間は当直医のみの対応となる医療機関がほとんどですから、患者さんが押し寄せると医師の数が足りず、急を要する重症の患者さんに手が回らなくなります。それを理解していただくのが、開業当初の大きな目標でした。実現させるのは非常に難しいとすぐに悟りましたが、それでも少しでも理解してもらえるよう、説明は続けていきたいですね。

精神的なケアも含め、幅広い視野で診療を続けたい

今後、クリニックで行っていきたい診療はありますか?

上條誠院長 かみじょうこどもクリニック4

いろいろな面で本格的な治療となると難しいのですが、今後は子どもの精神的なケアもしていきたいです。大人から見れば些細なことでも子どもにはストレスになることがあり、それが頭痛や腹痛などを引き起こす原因にもなります。どんなときにお子さんが症状を訴えているのか、友達や学校の先生、兄弟との関係、ご両親の夫婦仲についてなど、問診が重要になってきます。プライベートに踏み込むのは簡単ではありませんが、不安を解消するお手伝いができたらいいですね。また最近は発達障害のお子さんが増えていて、こうした子どもたちの手助けもしていけたらと勉強中です。

先生のご趣味やご自身の健康のために心がけていることを教えてください。

昔、野球をしていたので野球観戦が趣味です。プロ野球も好きですが、高校野球も好きで甲子園まで観戦に行くこともあります。千葉がホームのプロ野球チームのファンですが、最近は高校野球が好きで甲子園まで行くこともあります。みんな一生懸命だし、応援するチームが勝っても負けても健闘をたたえあって拍手で終わるのがいいですね。また、音楽も好きで好きなバンドのライブがあれば会場に足を運んで楽しんでいます。自分の健康のために気をつけているのは、できるだけ歩くこと。食事にも気を配っています。最近は神社仏閣巡りを楽しむことが多くなりました。年のせいですかね(笑)

最後に、子どもを持つ親たちへメッセージをお願いします。

上條誠院長 かみじょうこどもクリニック5

お子さんが病気にかかったとき、まず親である自分が看病してあげる気持ちを大切にしましょう。体調の悪い子どもには親御さんの看病が何よりの薬なんです。また、「薬は嫌がるんです」ではこちらも身動きがとれません。「体を治すために必要だから飲まなければいけない」ということをお子さんに理解させるのは親の務めだと肝に銘じていただきたいです。「吐いたから点滴してください」という方もいらっしゃいますが、その前にやるべきことがあると思います。お子さんにとって今、何が一番必要なのか、場合によっては毅然とした態度で接していただきたいです。お子さんのためにできることは何なのか、未来ある子どもたちのために、一緒に考えましょう。

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