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おおとし内科クリニック

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大利隆行院長

医療トピックス

吸入ステロイド剤が治療の基本
「気管支喘息」の治し方

おおとし内科クリニック

保険診療

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アレルギー体質を持った子どもの病気と考えられていた気管支喘息。最近では、成人になってからの発症が6〜7割を占めるという。1995年のピーク時には年間7000人以上いたという喘息死患者だが、吸入ステロイド治療の普及により、現在その数は2000人を切ったとのこと。この数字を踏まえ、「気管支喘息は薬を正しく使いながら治療を進めていけば、治癒ともいえる状態にまで持っていくことが期待できます」と「おおとし内科クリニック」の大利隆行院長は言う。現在、行われている気管支喘息治療の実態を、日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医でもある大利院長に解説してもらった。(取材日2014年10月27日/更新日2019年8月9日)

喘息の再発防止に大切なのは治療を続ける根気。薬の必要量も通院期間も医師の指示に従うべし

気管支喘息とはどのような病気ですか?

33270 mt 1 q1 1415596436 ▲肺構造を知ることも治療の一環。人体図を用いて細かく説明 慢性アレルギー疾患の一つです。人は呼吸をする時、鼻や口から空気を取り入れ、その空気は喉、気管、気管支、さらに細い気管支と、だんだん細く枝分かれして肺まで届きます。その空気の通り道を「気道」と呼び、その気道が、冷たい空気や埃など異物を吸い込んだ時に過敏に反応して収縮し、発作的に咳や息苦しさ、喘鳴(ぜんめい)が出る、それが「気管支喘息」です。体が認識した異物を体外へ排除しようとする反応が免疫システムですが、それが必要以上に過剰に働いてしまう状態をアレルギーといいます。気管支喘息の基本病態は気道の炎症で、咳や呼吸困難といった症状が起こっていない時にも目には見えませんが炎症が続いています。

喘息は大人になってから新たに発症することもあるのですか?

20190806 2 ▲成人の気管支喘息にはストレスや寝不足なども大きく影響 一昔前は「喘息=子どもの病気」というイメージがありましたね。子どもの頃にかかった気管支喘息(小児喘息)の大半は、体の成長とともに症状が消えていきますが、残念なことに、症状が消えたはずの喘息患者さんの約3割は、大人になってからまた喘息症状が出るといわれています。最近の気管支喘息の患者さん全体を見ますと、子どもの頃にアレルギー体質でもなく、喘息でもなかった方が大人になって発症する「成人発症」が増えています。風邪などの気道感染症の繰り返し、受動喫煙も含めたタバコ、ストレス、大気汚染などが関係すると考えられています。診断は、問診や胸部エックス線、呼吸機能、呼気中一酸化窒素検査の結果をもとに判断します。

気管支喘息ではどのような治療が行われるのですか?

20190806 3 ▲こまやかな説明を信条とする大利院長はアレルギー疾患の専門家 気管支喘息の治療では、「原因回避」が最重要ですが、アレルゲンや気象条件、ストレスなどは回避困難なものが多く、原因を回避するだけで治すことは不可能です。そこで用いるのが吸入ステロイド剤です。喘息は気道のアレルギー性慢性疾患なので、抗炎症作用が強く、局所にのみ作用し、なおかつ副作用も少ない吸入ステロイド剤は、この疾患の第一選択薬となっています。また近年はステロイド吸入に加え、生物学的製剤による治療も選択肢に。こちらも副作用が起きる可能性が低く、重症例にも適用可能です。一方、小児の患者さんには、ロイコトリエン受容体拮抗薬を用いますが、症状によっては小児でも吸入ステロイド剤を使用することがあります。

ステロイドは副作用が怖いという人も多いのでは?

33270 mt 1 q4 1418087129 ▲より使いやすいよう日夜改良されている喘息治療薬の数々 吸入ステロイド剤は気道の炎症を抑えることを目的とした抗炎症剤で、世界的にも喘息治療の第一選択薬として位置づけられています。点滴や飲み薬で使用されるステロイド薬はmg単位ですが、気管支喘息で使用する薬はmgの1000分の1単位とごく少量。副作用も軽度です。また、吸入剤は気道から肺に入れるので、呼吸器以外の臓器への影響はほとんどありませんし、女性の場合、妊娠、出産、授乳中でも継続して使用されています。声がれや口の渇きなどの副作用が出る場合もありますが一時的とお考えください。ステロイドと聞いて身構える方は多いですが、ステロイドを正しく知って、喘息治療に必要な薬剤であるとご理解いただければと思います。

喘息の治療中、患者が心がけることはありますか?

33270 mt 1 q5 1415596436 ▲医師の指示を守ることが、症状の改善につながる 患者さんの中には、症状が良くなると自分の判断で吸入ステロイド剤の吸入をやめ、通院しなくなる患者さんがいます。その結果、逆に治療が長引くことになるので、医師がもういいと判断するまで治療を続けることが大事です。また喘息治療中は、風邪にかからない生活を心がけ、室内を清潔に保ちましょう。そして患者さんご本人はもちろん、同居家族も喫煙は厳禁です。重要なのは喘息発作のきっかけをできるだけ排除すること。日々のストレスや睡眠不足、アルコールも発作のきっかけになります。1日の気温の変動が5℃以上あると発作が出やすいといわれていますので、これも注意が必要です。

ドクターからのメッセージ

大利隆行院長

喘息治療を受ける場合、アレルギーの専門家に診てもらうことが重要です。ですので、受診する場合は「内科、アレルギー科」あるいは「呼吸器、アレルギー科」を掲げているクリニックを選ぶと良いと思います。また最近「咳喘息」の方がかなり増えています。長引く「から咳」が3週間以上続くと疑わなければならない病気の一つで、冷気、会話により突然咳が誘発されることが多々あります。咳喘息のうち、およそ3割は気管支喘息に移行するといわれています。治療は気管支喘息と同じ吸入ステロイド剤が中心です。もし、風邪が長引いて治療を受けても症状が治まらない場合は、一度アレルギー専門の先生のもとへ足を運んでいただきたいと思います。

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