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小山 富久 院長の独自取材記事

梅里歯科医院

(杉並区/新高円寺駅)

最終更新日:2024/03/06

小山富久院長 梅里歯科医院 main

歯科医療や予防に対する世間の認識や意識の有りようを、時に優しく、時に強い口調で叱咤激励するかのように熱く語ってくれたのは「梅里歯科医院」の小山富久院長。それはすべて、患者の現在、そして将来の健康を真剣に思うがゆえのこと。同院は地域に根差し、長くホームデンティストとしての役割を担ってきたが、「予防歯科」の定着はまだまだ道半ば。「むし歯や歯周病の予防は豊かな人生を送るためには欠かせないのです。だからこそ、歯科の定期検診が当たり前になってほしい」と説く小山院長に、定期検診の重要性や予防歯科に対する思いを語ってもらった。

(取材日2024年1月11日)

時代は予防歯科の普及から浸透へ

初めに、先生の「歯科医療」に対するお考えについて伺ってもよろしいでしょうか?

小山富久院長 梅里歯科医院1

「すてきな笑顔で楽しく語らいながら生涯自分の歯で食事をすること」、これが歯科医療のめざすべきところだと思っています。治療の前には予防があります。歯科医院は治療をするところでもありますが、その前に患者さん自身のお口の中の状況を伝えて、予防に誘う場所でもあります。お口の中に問題があると生活の質の低下につながりますが、多くの患者さんは「忙しい」の言い訳で健康を失っていると感じています。予防の主人公は患者さん自身なのですから。毎日の丁寧な歯磨き、そして、数ヵ月ごとに1時間程の検診、この余裕があなたの生活を素晴らしいものに変えるのです。

時代とともに変化する「予防歯科」への認識。この変化をどのように見ていますか?

国や自治体、そして歯科医師らの啓発活動が実りつつあり、やっと「予防歯科」について世間の認知度が上がってきたような気がしています。少し前までは、歯科医院というと「痛みが生じた時に行くところ」といった認識だったでしょう。残念ながら今もそう思っている方はいらっしゃいますが、「症状がなくても定期的に通う場所」へと意識が変わってきたような気がします。歯科医療に携わる人たちの草の根運動のおかげですね。私も予防の大切さを伝え続けていくことしかできませんが、何年か後には定期検診に通うことが当たり前の時代が来ると信じて頑張っています。

歯科の定期検診は、健康診断ほど世の中の目が向けられていない印象です。

小山富久院長 梅里歯科医院2

会社の健康診断は毎年受診することが義務づけられていますよね。しかし、歯科検診を対象にしている企業は少ないのが今の実態。多くの企業では、歯科検診の場合、有休や仕事中の時間で受けられない風潮があるようです。家族を食べさせるために必死に働いているのに、会社は生きる原動力となる口の健康を管理しないのは愚の骨頂ではないでしょうか。社会全体が、「家族全員、定期的に歯科検診を受けることが当たり前」と認識を変えてほしいと切に願っています。

定期的に検診に行くような、かかりつけの歯科医院を見つけるのが理想なのでしょうか。

東京は歯科医院がコンビニよりも多い都市です。夜間診療、土日の診療も当たり前。世界の大都市と比べ、恵まれていると思います。これだけ通いやすい環境なのに、検診率が低いのは、患者さん側や会社などの努力や意識づけが十分ではないからだと思います。多くの歯科医院は、ホームページなどでポリシーや独自の情報を掲載しています。自宅の近くに1軒、会社の近くに1軒、子ども用の小児歯科医院1軒と、別に1ヵ所に決めなくたっていいのです。ネットで歯科医院を探し、自分に合った歯科医院が見つかったら、長くお付き合いをすればいいと思います。

親から子、祖父母から孫へ。家庭内での意識改革が急務

家庭内での歯科との向き合い方についてはいかがでしょう。

小山富久院長 梅里歯科医院3

家庭内でのコミュニケーションはとても大事で、お子さんは親御さんの姿を見て育ちます。歯磨きの大切さを話し、親御さん自身がきちんとケアしている姿を見せてあげましょう。ただし、その時決して急ぐことを教えてはいけません。余裕をもってしっかり磨く習慣をつけてあげてください。また、声を大にしてお子さんに「病院は痛いところだよ」と“ネガティブキャンペーン”をしないでください。この言葉は生涯、お子さんの心に残ります。そうなると予防への道も遠のいてしまいます。小児歯科を専門に研鑽を積んでいる先生がいる歯科医院もありますので、そういう所をうまく頼ってみるのも一つです。子どもの頃から家族全員で検診を受け、正しい歯磨きを身につけていれば、予防はもちろん、白い歯のすてきな笑顔が映えます。大人になってホワイトニングなんて必要ありません。万一検診でむし歯が見つかっても、早期発見・治療をすれば、大事に至らないでしょう。

「食事」に関しても、気をつけたほうが良いことがありそうですね。

お子さんの食事において、多くの親御さんが、子どもに栄養を取らせることを意識するあまり、食材を小さく切って食べさせています。すると、お子さんは食事を飲み込むようになり、「噛む」機能が低下してしまいます。奥歯だけに頼った食べ方もダメです。食材を前歯で噛み切り、小臼歯で砕き、大臼歯で磨り潰して食べる。そうすれば、栄養だけでなく顎や舌、顔の表情をつくる筋肉など運動機能と発育に良い影響を及ぼすでしょう。また、お子さんの食事の際、「早く食べなさい」と言ってはいけません。「食べる、話す、笑う」という一家だんらんを大切にし、よく噛んで食事をする。そんなゆとりのある食事を楽しんだ後は、みんなで歯磨きをしましょう。

妊活時から歯科検診は重要なのですか。

小山富久院長 梅里歯科医院4

妊活の時点から予防は始まっています。医科歯科関わらず体のメンテナンスをしておくことで、妊娠中や出産直後に治療が必要となる事態が回避できるのです。また、妊娠前からお子さん用の小児歯科を探したり、妊活歯科検診を受けた際には育児での口腔ケアについて、事前に知識を得ておくと良いでしょう。そして出産後は、歯科検診を受けながら口内ケアを徹底することが大切です。

豊かな人生を送るために大切なこと

先生は、治療や定期検診の主役は患者さんであるというお考えだとか。

小山富久院長 梅里歯科医院5

ネット社会では、さまざまな情報を瞬時に入手できます。つまり患者さんは、すでに予防の重要性を認識しているはずです。それにも関わらず、「何回も通院したくない、忙しい、痛いのは嫌だ」と言い訳をして、むし歯や歯周病を悪化させてしまう。そして結局、痛い治療のための通院が重なり、膨大な費用がかかるのです。むし歯や歯周病で失われた組織は、二度と元に戻りません。治療が完了しても、再発しないようメンテナンスを兼ねた予防が必要となります。今や患者さんが病気に対して向き合っていく時代ですよね。歯科の場合は、自身のお口の中の状況を理解し判断していかねばなりません。そのためにも、定期検診を受けて口内環境をアップデートしていくことが大切なのです。いずれにしても、予防や治療に向き合うのは患者さんであり、そこには患者さん自身の意志と判断が求められます。歯科医院側ができることは、患者さんに寄り添うことだと思っています。

お口の健康を守るためのアドバイスなどはありますか?

「むし歯はありません。歯肉の状態も良く、お口の中はきれいですよ」。その瞬間、緊張した患者さんが笑顔に戻られる。この最高の場面を多くの患者さんと共有したいです。むし歯や歯周病の主な原因は歯垢です。歯垢に対するワクチンや特効薬はありませんが、日々の歯磨きでコントロールできれば、むし歯や歯周病を予防することができます。ただ、毎日お口の中をケアすることはとても大変で、どうしても雑になることもありますよね。だから、定期的に専門的なチェックを受ける必要があるのです。検診は落第をさせる試験ではありません。磨き残しに気がついてもらえればいい、たったこれだけのことですから、もっと意識的に検診を受けましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

小山富久院長 梅里歯科医院6

予防は、気がついた時から始めて良いのです。80歳、90歳からでも遅すぎるなんてことはありません。生きるために食べる、息をする、会話や喜怒哀楽や愛情を表現するなど、お口は生活に密接した大切な器官です。食べること、それは歯で噛むことから始まるのですから、こんな重要な場所を軽視していい訳がありません。少子化と長寿社会の現代、子どもの頃からの予防と検診によって、すてきな笑顔でおいしい食事を楽しめれば、元気ハツラツ、きっと平均寿命100歳の時代が到来するでしょう。一番大事なことは、祖父母や両親から子どもたちへ予防と検診の大切さを伝え続け、理解すること。その際、歯科医院というパートナーがすぐ近くにいることを忘れないでください。

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