全国のドクター9,182人の想いを取材
クリニック・病院 158,625件の情報を掲載(2024年4月25日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 板橋区
  4. 本蓮沼駅
  5. 医療法人社団 友晃会 藤田医院
  6. 藤田 雅巳 院長

藤田 雅巳 院長の独自取材記事

藤田医院

(板橋区/本蓮沼駅)

最終更新日:2023/08/31

藤田雅巳院長 藤田医院 main

60年以上にわたり地域に根差したかかりつけ医として、近隣住民の健康を守ってきた「藤田医院」。3代目院長の藤田雅巳先生は、穏やかな口調とやわらかな笑顔が印象的なドクターだ。これまでの豊富な経験を生かして地域が求める診療の提供に努めながら、自身の専門である循環器では血圧に関する相談や心筋梗塞の手術を受けた患者の経過観察にも対応している。生活習慣病の管理にも力を入れているが、新型コロナウイルス感染症流行や記録的猛暑などによる受診控えにより新たな問題が生じていると警鐘を鳴らす。「地域の皆さんのニーズに柔軟に対応したい」と語る藤田院長に、クリニックの特色や生活習慣病の治療、訪問診療について話を聞いた。

(取材日2023年7月31日)

60年以上、地域の健康を守り続けてきたクリニック

おじいさまの代から診療されている、歴史あるクリニックと伺いました。

藤田雅巳院長 藤田医院1

当院は、地方で医院を営んでいた祖父が上京して1959年に開業したのが始まりです。父が2代目を継ぎ、私は大学卒業後、大学病院の循環器内科やクリニックに勤務した後、2000年にこちらに戻り、2009年に院長を継承しました。私の代になった頃から近所の古い住宅や工場が次々とマンションに変わり、患者さんも若い家族が増えたようにも思います。とはいえ、今も父の頃を知る50年以上のお付き合いになる方も少なくありません。残念ながら父は2012年に他界しましたが、父の存在はとても大きく、その経験からもっといろいろ学びたかったですね。私が医師をめざした理由は、24時間営業のように働く父を見て育ち「大変な仕事だ」と感じながらも、患者さんに信頼され感謝される様子に憧れたからです。

こちらのクリニックの特色を教えてください。

地域のニーズを受け止め、総合的な医療サービスの提供に努めつつ、専門の循環器の診療をメインに幅広い年代、病気を診ている点でしょうか。私の専門である循環器では、血圧に関する相談のほか、心筋梗塞の手術を受けた方の経過観察にも対応しています。設備面では、超音波検査、血管年齢や硬さなどを調べる血管の検査、骨粗しょう症検査などができる機器があり、健康診断で要再検査となった方にも対応できるため、大きな病院に行く手間が省けると思います。また、地域のかかりつけ医という位置づけで、心のケアにも対応していますので「物忘れが増えている」「気持ちが落ち込みがち」など、心配なことがあれば気軽に相談に来ていただければと思います。

現在の診療体制についてお聞かせください。

藤田雅巳院長 藤田医院2

大学病院に勤務する息子が週2回手伝ってくれているのですが、専門が感染症なのでこのような時代の中で頼もしいですね。2診体制の日はメインの診療は息子で、私はこちらの第二診察室で専門の診療や認知症の相談などを細々と担当しています。彼は患者さんにとても優しい医師なので、いつかバトンタッチする時にも安心して任せられそうです。また、ご依頼をいただいた患者さんには訪問診療も行っていますが、これは私が担当しています。年齢を重ねてそろそろ通うのが難しそうな患者さんに訪問診療に切り替えるか声かけしたりもしていますが、新型コロナウイルス感染症流行で通院が途絶えたままの方にはそれもできず心配しています。

受診控えによる高齢者の健康問題解決に注力

新型コロナウイルス感染症流行による受診控えが高齢者の健康に与えた打撃は小さくないのですね。

藤田雅巳院長 藤田医院3

新型コロナウイルス感染症流行で通院が途絶えていたご高齢の方々がようやく戻ってきてくれていたのですが、久しぶりに診させていただくと、だいたい糖尿病などの生活習慣病が悪化しているんです。心疾患などの手術が必要になっている方などもいますが、それはまだ軟着陸できたほうといえるでしょう。自宅に閉じこもったまま病状は悪化するばかりなのに、治療どころではなく生活するのに精いっぱいという方もいます。新型コロナウイルス感染症が一段落したと思ったら、今度はこの記録的猛暑です。腎臓を悪くしていたり、栄養失調からフレイルに陥っている人もいますが、暑さから通院できずにいる人がまた増えています。衰えを自覚にするまでに時間がかかるのも高齢者の特徴です。このエリアは一人暮らしの高齢者も多いのですが、ご家族や近所の方など誰かが気づいて連れてきてくれたらと願わずにはいられません。特に75歳以上の方には注意してあげてください。

高齢者の診療ではどのような点に注意していますか?

基本的に75歳以上には35日以上の長期処方はしていません。季節に応じて必要になる薬も変わってきますし、常に薬に過不足がないかチェックしたいので、1ヵ月に1回は通っていただければと思っています。ここに来ることが運動にもなりますし、人との関わりも保たれますしね。それに、栄養の管理もしっかりとできます。年齢に伴って筋肉量が落ちるサルコペニアから運動機能障害が起こり虚弱体質になる人が増えていますが、これを防ぐには食事管理が重要です。まずは食事内容をヒアリングするのですが、だいたいタンパク質が足りていません。血液中のアルブミンを測定してもタンパク質不足は明らかです。お年寄りの方はお米を食べればそれで十分な食事ができていると誤解しがちなんですね。「三度の食事ごとに必ずタンパク質を取りましょう」「お肉とお魚をもっと取りましょう」と、お話しするようにしています。

働き盛り世代ではどのような相談が目立ちますか?

藤田雅巳院長 藤田医院4

働き盛り世代もまた生活習慣病とは無縁ではありません。気づかない間に進行していることも多く、ご高齢の方と同様に薬だけではなく生活習慣を見直して食事や運動からの改善をめざします。また、生活習慣病とも密接な関係がある睡眠時無呼吸症候群を心配して受診される方もいますね。「家族から大きないびきを指摘される」「日中に耐え難い眠気に襲われる」といようなお悩みをきっかけにいらっしゃいます。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、ご自宅で使える簡易検査装置を貸し出すことも可能です。検査結果次第では当院でCPAP治療をただちに開始することもできますし、中等症以上の場合は大学病院を紹介できるように病診連携も密に行っています。

患者との距離の近さを大切に丁寧に対応していきたい

これまで診療で大切にしてきたこと、今後の展望についてお聞かせください。

藤田雅巳院長 藤田医院5

長年にわたる診療の中で実感しているのは、教科書どおりの症例はほぼないということです。個性が豊かな患者さんごとに、画一的ではない対応をするように心がけてきました。現在、当院の理事長は息子に交代しましたが、これからも患者さん一人ひとりに丁寧に向き合ってもらえればと思っています。組織の力を治療に生かす「病院」と、自分自身が責任者となる「クリニック」の違いにとまどった経験は私もありますが、それぞれに魅力的ですし、これから彼なりに新しい取り組みをしていってほしいです。一方、私は新薬開発に携わる医療法人の理事長を務めるようになりました。実は、以前より別のクリニックで治験にも力を入れてきましたが、今後とも安全に配慮し、質の高い治験を実践できるよう技術を向上させ、新しい薬を患者さんの手元にお届けできるよう、医療の向上に貢献したいと思っています。

お忙しい毎日をお過ごしですがリフレッシュ法はありますか?

愛犬のハナコちゃんと過ごすことでしょうか(笑)。白柴の女の子なんですよ。白柴というとアルビノと誤解されがちですが、実は違います。柴犬の正式な毛色の一種で10頭に1頭ほどは自然に生まれます。涼しい時間帯に散歩していますが、もう少し暑さが和らいだらまたドッグランにも行きたいです。やはり、日課として1日に10分程度は体を動かすのは大事ですよね。以前、ヘルニアを患った経験からも運動不足がいかに問題か実感しています。患者さんにも運動を勧めていますし、私自身、腹筋や背筋運動、腕立て伏せ、ストレッチなど簡単なエクササイズを日々続けています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

藤田雅巳院長 藤田医院6

ご高齢の方はとにかく歩くのが大事です。外出するチャンスが減ってしまうと、運動機能が衰えてロコモティブ症候群にもなりかねません。コンピューターを介した遠隔診療もできる時代かもしれませんが、病院に足を運んでもらうだけでも運動になりますから、やはりこれまでどおりの「距離の近い診療」も欠かせないと思っています。介護のお悩みなどもご相談ください。これからも、地域の皆さんのニーズに柔軟に対応していきたいです。

Access