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渡邉一征 院長の独自取材記事

渡邉医院

(板橋区/ときわ台駅)

最終更新日:2020/01/27

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東武東上線のときわ台駅北口から、徒歩5分ほどの場所に立地する渡邉医院。遠くから見ても分かりやすい赤いレンガ造りの建物が目印だ。院内に入ると、広い待合室が目に入る。待合室にある大きな窓の外には内庭が見え、リラックスできる空間が広がっている。院長の渡邉一征先生は戦前に両親が開いた医院を引継ぎ、ずっとこの地で産婦人科と分娩を行ってきた。10年ほど前から分娩をやめ、産婦人科、婦人科を中心とした診療を行っており、その中でも特に血液検査の結果を元にした栄養指導に力を入れているという。指導を行うにあたり患者のために有益な説明がしたいと、NR(栄養情報担当者)の資格を自ら取得したほど治療に日々向き合っている。妊婦のみならず、様々な世代の悩みを受け止めてきた渡邉院長に、診療にかける思いを聞いた。
(取材日2015年3月9日)

両親、兄妹ともに産婦人科の医師の家系に育つ

先生は2代目でいらっしゃるのですね。医院はずっとときわ台にあるのですか?

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両親ともに産婦人科の医師でした。戦前からふたりとも医師として働いていました。父は軍医でもあったので、広島の呉という場所に出征していた際に、私が生まれたそうです。確か34週の早産だったそうで、体重も千数百グラムしかなく、今であれば保育器に入れられる大きさです。柳ごうりに真綿を詰めて、湯たんぽを入れてずっと温めながら育てたと後から聞きました。その頃は病院というと歯科医院があったくらいで、他は当院だけでした。

小さい頃から将来の夢は医師だったのでしょうか?

両親から医者になるように言われた記憶はありません。けれども結局、姉、私、弟ともに全員が産婦人科の医師になりました。親が働いている姿を見て育ってきていますので、進路として自然に選択したような気がします。ほとんど悩むこともありませんでしたね。通っていた日本医科大学では軽音楽クラブに入っていて、その時の先輩はほとんどが精神科の医師になりました。音楽を指導してくれていた先生も精神科の医師だったので、精神科に関しては少しだけ候補にあがったこともありましたね。

栄養指導に力を入れられているそうですね。

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一般的な産婦人科、婦人科診療はもちろんですが、特に栄養指導に力を入れています。妊婦栄養をメインテーマとしていますね。元々、特に栄養指導に力を入れているというわけではなかったのですが、今から15年ほど前にサプリメントを使って体を整えることを研究するグループの先生と知り合ったのがきっかけで、力を入れるようになりました。具体的には、血液検査のデータをもとに何が足りないかをアドバイスするようにしています。例えば、早産は感染症が原因で引き起こされるとされていますが、感染症になる人とならない人の差はどこにあるのだろうと血液検査をした人のデータを見ていたところ、貧血がひどくて低タンパク傾向にある患者さんに多いことがわかりました。女性の体は妊娠すると自己犠牲をしてでも赤ちゃんを育てようとする仕組みがあるのですが、それでも自分自身が生きていくための最低限の栄養も必要なんですね。その限界を超えてしまった場合、母親自身の体に危険を及ぼしてしまうため、早産を引き起こしてしまうんだろうと考えました。当院では、妊娠検査の段階でまず血液検査を行います。データを見た上で、具体的にどの栄養が不足しているかわかりますので、まずは食事で具体的に摂取するように指導をしています。妊娠中期にも再度血液検査を行います。その際に前回の数値と照らし合わせながら確認するのですが、数値がそれほど上がっていない場合もあります。患者さん自身も頑張って摂取しようとしたと思うのですが、赤ちゃんのためにはもっと食事をとらないといけません。ただ、量的に限界はあると思いますので、だったらサプリメントの力を少しだけ借りて、補充してあげた方が良いのではないか。そう考えるようになり、サプリメントのアドバイスを行うようになりました。

妊娠中の栄養指導もサポート

妊娠中は特に栄養に気を配らないといけないということですね。

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特に大切な栄養はタンパク質と鉄分ですね。人間の体の大元はタンパク質でできていますし、母乳の材料もタンパク質なんです。よく母乳が出ないという方がいらっしゃいますが、体質的なものではなく、タンパク質が足りないから作りたくても作れないという場合もあるんですよ。また、出産時、母親は半端じゃないエネルギーを使って赤ちゃんを産みます。それだけの力を使って生み出しますので、赤ちゃんが産まれた後は皆さんほっとされます。エネルギーを使い切りますので、身体もぐたっとなってしまい動くこともできません。最近では赤ちゃんが産まれてすぐに母子同室や母乳を与える時間を取るようになっているので、出産後もタンパク質が不足していると、体力が戻らず産後の回復が遅くなります。体が回復しないまま育児に突入するとマタニティーブルーになりやすいと考えられるんです。

鉄分はどのような点に気をつければよいでしょうか。

鉄分は血液を作る材料ですので、鉄分が不足するということは貧血に繋がります。女性の場合、毎月月経がありますから、その分だけ作らないといけませんが、月経の度に貧血になっても大変ですよね。そのため材料となる鉄を常にプールしているんです。それを貯蔵鉄と言います。通常、貧血の検査では、ヘモグロビン(血色素)とヘマトクリット、血液を流れている鉄分―血清鉄と言いますが、その量を調べています。しかし本当に重要なことは貯蔵鉄が十分であるかどうかということなんですね。貯蔵鉄はフェリチンの量で調べるのですが、十分にあるうちは貧血にはなりません。例えば基準値を下回り1桁となってしまった場合、潜在性鉄欠乏となります。通常でも貧血を引き起こしやすくなってしまうのですが、妊娠中にその状態になると特に赤ちゃんに影響する可能性があります。出生時の赤ちゃんの平均体重は3kgですが、3ヶ月後には倍の6kgになります。その分体内を流れる血液量も増加しますが、母乳やミルクに含まれる鉄分というのは微量なんですね。実は、赤ちゃんはお腹の中にいる時、妊娠8ヶ月後半から鉄分を肝臓に貯めていきます。お母さんから十分鉄分をもらって生まれてくるんです。そのため、特に妊娠8ヶ月ごろからは赤ちゃんに栄養をあげるため、積極的に栄養をとらないといけないんです。これは鉄分だけに限ったことではなく、ビタミンやミネラルなども肝臓に貯めています。そして、当院で生まれた赤ちゃんを見てみると、栄養が足りていない赤ちゃんはアトピーや湿疹を起こしやすいという傾向があったんですね。赤ちゃんの健康のためにも、栄養は十分にとらないといけないということになります。

妊婦さんはどのような食事で栄養を補うことが望ましいですか?

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タンパク質が足りないのであれば、お肉を取ってほしいですね。食品でいえばステーキよりも、ひき肉のようなものが摂取しやすいでしょう。この場合、私が言っているお肉とは牛肉のことです。牛肉は赤いのは、それは鉄分がたくさん入っているからなんですね。爪が伸びたり成長したりすることを医学的に、「異化と同化」という言葉で表します。体がこの異化と同化を行っていくには、体重1キロあたり1グラムのタンパク質が必要です。50キロの女性なら50グラムですね。妊婦さんは赤ちゃんのために1.5倍必要と考えています。お肉を食べることで体重増加が心配なのであれば、脂肪はゆっくり腸を流れて吸収されるので、早く流れて吸収される食物繊維を含んだ野菜を食事の最初に食べると脂肪の吸収を抑えることができます。最近では妊婦さんがダイエットをして痩せすぎてしまうことも問題になっています。あまり食べても太らない体質であればサプリメントなどで栄養の補充を行うのですが、妊娠中の無理なダイエットは控えたほうがいいですね。またつわりはビタミンB郡が足りない場合に起きます。本来あるべき栄養が足りていないともいえるので、妊娠中は栄養を取ることを常に心がけてください。

婦人科のスポーツ医学の専門家として女性を守る

NR(栄養情報担当者)という資格もとられたそうですね。

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独立行政法人国立健康・栄養研究所が認定する資格で、主に管理栄養士や管理薬剤師などが取得するそうです。アドバイスをする時や、医師仲間と話をする時、こうした資格を持っている方が説得力もあるかと思い、1996年に取得しました。講義では医学の基礎から、薬の製造過程まで学びました。学んだ内容はとても有益であったのですが、研究所が事業仕分けでなくなってしまったので資格の名称も来年でなくなってしまうそうです。学んだことは残りますが、素晴らしい内容であったので残念です。

今後の展望を教えてください。

スポーツ医学の専門家として、運動をする女性のサポートができればと考えています。ここから車ですぐのところにナショナルトレーニングセンターがあるのですが、そこは、現在、婦人科でスポーツ医学の専門家でもあるドクターが一人しかいないんです。全体的に見ても婦人科でスポーツ医学のスペシャリストはあまり多くありません。陸上などでは競技のために体重を落とすので、ひどい貧血を起こす選手が多く、骨粗しょう症などさまざまな問題を引き起こすことが以前から問題視されています。私が行くことで少しでもお手伝いになればと思っていますね。また、部活に通う女子生徒にも見られる症状であるため、早急に正しい指導が必要であると考えていますね。今後は学校の場でも色々なお話をしたいと思っています。

スポーツ医学に携わったきっかけはなんだったのでしょうか?

息子はサッカー留学をしていたのですが、その関係でサッカー関連の仕事をしています。静岡のジュニアユースの選抜チームがメキシコに遠征行くときに、医師が必要だという話になり、息子と一緒にチームドクターとして帯同したことがきっかけです。私自身も小学生の頃からフェンシングをずっとやっていました。東京オリンピックの監督だった人が近くに住んでいたこともあり、その関係で始めたんですね。残念ながら高校に進学し、医学部をめざすことになったため辞めたのですが。その関係もあり、スポーツ医学に携わるようになりました。

最後にドクターズ・ファイルの読者に対して、メッセージをお願いします。

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おなかに赤ちゃんを宿してからではなく、普段からできるだけ栄養管理をしてください。基本は3食必ず食べることが一番です。特に朝ごはんは重要で、仕事をしている人は朝ごはんを食べるべきですね。お子さんがいらっしゃる場合、特に、朝に何か食べさせてください。学校に行っても頭が動かなくなってしまいます。試験前など大事な時こそ、一口でいいから炭水化物を食べると違いますよ。最近はオレンジジュースなどの甘いジュースを朝ごはん代わりにしている方もいらっしゃいますが、糖分だけを摂ると、急にインシュリンが出て低血糖になり倒れる恐れもありますので注意が必要です。そういう際は、必ず炭水化物も一緒に取るように心がけると良いと思います。

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