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鎌田 徹 院長の独自取材記事

築地ふたばクリニック

(中央区/築地駅)

最終更新日:2022/12/06

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古くより魚市場でにぎわってきた築地駅。たくさんのビジネスマンが行き交う大通りから路地に入り、2分ほど歩いた医療ビルの6階に「築地ふたばクリニック」はある。「この辺りの皆さんは働きすぎで、なかなか病院に行けない方が多い。遅い時間の診療や休診日であっても、できるだけ対応してあげたい」と自身も休みなく診療を続けている鎌田徹院長は、取材陣を気さくな笑顔で歓迎してくれた。院内はややこぢんまりとした印象だが、どこもきれいに整頓されていてまったく圧迫感を覚えない。また、診療に来た患者にペットボトルの水を提供するサービスや、何台も置かれた空気清浄機など、院長独自の配慮がそこかしこに見られる。自身が重度のアトピー性皮膚炎であった経験から、患者の立場に立って考える、本来あるべき医療の姿を問う。免疫学や診療内科の分野で研究者としても研鑽を積んで蓄積してきた豊富な知識は、疑問をぶつけるほどに目からうろこの情報がどんどんあふれてくる。どんな質問にも嫌な顔一つせず答えてくれる人柄は、不安を抱えた患者にとって心強い味方となるだろう。「説明と同意だけの医療ではなく、患者さんにも選択肢と選択権を持っていただきたい」と意気込む鎌田院長に、診療の根幹にある「協調医療」の全貌を語ってもらった。

(取材日2014年3月20日)

「協調医療」とは「患者と医師の信頼関係」と「さまざまな医療手段」の融合

法人名「ひこばえ」とクリニック名「ふたば」は、どちらも新たな芽吹きを表す言葉ですね。

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そうなんです。これらの言葉には、僕のめざす医療のすべてが表されています。切り株から出てくる新しい芽のことを「ひこばえ」といいますが、それは僕の提供する医療が患者さんにとって“一休みできる場所”であり、“再生できる場所”であるよう思いを込めました。そして、そこから芽吹く命は“人と支え合っていく新しい一歩”であってほしいと願い、「ふたば」と命名したんです。病気を治すだけの医師ではなく、患者さん一人ひとりが楽しく生きるためのお手伝いができれば最高ですね。

医師になったきっかけを教えてください。

最初のきっかけは、重度のアトピー性皮膚炎だった僕の主治医で、補完代替医療の分野で知られる馬淵通夫先生への憧れでした。僕は小学校低学年の頃から症状がひどくなっていき、いろんな病院に行ったけれど良くならなかったんです。「もう誰も僕の病気を治してくれない」そんなふうに思っていた時、馬淵先生に出会いました。先生は皮膚科的なアレルギー治療ではなく、症状の改善や健康状態の維持をどうやったらできるか、ということを教えてくれる方だったんです。生活習慣の見直しなどを指導していただき、母の全面的な協力のもとで先生の言うとおりに生活していました。その後、「これまで受けてきた治療法は何だったのだろう」という疑問が浮かんできたんです。それを知るためには自分が医師になるしかないと思い、本格的に医師になる道をめざすようになりました。

「協調医療」を大切にされていると伺いました。どのようなものか詳しく教えてください。

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「協調医療」とは、僕が一番大事にしている診療スタンスのこと。僕は医療の中でよくいわれるインフォームドコンセント(十分な説明があり、納得した上での同意)という言葉が好きになれず、代わりにこの概念を独自に提唱しています。病気でつらいのは患者さんですから、選択権は患者さんにあってしかるべきですよね。だから、医療に大事なのは説明と選択だと思っています。例えばアトピーの治療を進める上でも、軟膏や内服薬、抗アレルギー薬、保湿剤を使っていく西洋医学的な治療法もあれば、食事や睡眠など生活習慣の改善からアプローチしていくなどさまざまな方法があります。僕は幸い、生活習慣からアプローチする馬淵先生や自然食品業界のエキスパートである母のもとで育ったので、医学的な考え方と、いわゆる代替医療的な考え方のどちらにも反発がありません。どの分野にも垣根を作らず、有用だと思える方法はすべて取り入れ、患者さんに選択していただくようにしています。その上で、医師は患者さんの気持ちに寄り添っていかなければなりません。「垣根を越えた幅広い選択肢」と「医師と患者の気持ち」、そのすべてが協調し合ってこそいい医療が生まれる。それが僕の思う「協調医療」です。

皮膚科難民もここでストップ。治療時大切なのは体質改善ではなく体調管理

ご専門の診療科について教えてください。

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専門はアレルギー内科ですね。自分のアトピー性皮膚炎を治せなかった医師がどんな勉強をしているのか、という最初の疑問を払拭したかったんです。そのため信州大学卒業後、千葉大学大学院の「免疫発生学教室」に入りました。免疫学に注力しているところだったので、ここでなら答えを見つけられると思ったんですね。そこで最初に理解できたのは、研究者や医師というものがどれだけ一生懸命に勉強しているかということ。そして、研究者たちが寝る間も惜しんで365日必死になった結果が、今のアレルギー治療であると理解できたんです。当時は教室に残るお話もいただきましたが、やはり僕は研究してきた経験や知識を生かして、少しでも患者さんが良くなる手助けをしたい。そう思って、現場の医師になることを選びました。

どんな患者さんがいらっしゃいますか?

当院にいらっしゃるアトピー性皮膚炎の患者さんは、「皮膚科難民」の方たちです。僕の小さい頃と同じで、どこに行っても治してもらえなくて、クチコミで足を運んでくださった方がたくさんいます。定期的に通っていた患者さんの中で一番遠方だった方は、九州からいらしていました。ただ、アトピーは体調管理が大事な病気でそれを続けるのが大変なんです。アトピーは、ちょっとしたストレスや寝不足、食生活の崩れだけで症状が悪化するもの。僕は自分が同じ病気なので、患者さんにもはっきり言います。アトピーの人は、普通の人より体のいろいろな能力において限界を感じる値が低いんです。だから、人と一緒のことができると思ってはいけません。自分の限界をしっかり見極めて管理すれば、症状のコントロールが望めます。でも、体調管理が崩れればまた悪化するでしょう。自分の体調をコントロールすることが、アトピーの治療には必要不可欠なんです。

アトピー性皮膚炎にはどのような治療をするのでしょうか?

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どこに行っても良くならなかったという患者さんがいらしたら、僕は「月に1回、1年間の治療期間をください」と言います。その1年間の指導内容の第一は、大抵の場合その人の一番好きなものをやめてもらうこと。どういうことかというと、アトピー悪化の原因はお酒や甘い物、タバコなどが多いんです。最初はつらいかもしれませんが、慣れてきてコントロールできるようになれば、1年後は少しくらい口にしても大丈夫でしょう。そうなるようお手伝いするのが僕の仕事です。当院でもステロイドを混ぜた塗り薬を使用していますが、1年使っても皮膚が薄くならないよう調整しています。「ステロイドはいつまで使わなければいけないのか?」と患者さんにもよく聞かれますが、お守り程度になる日は必ず来ますから、焦らず上手にアトピーと付き合ってほしいですね。つらい思いをしている患者さんにはうなずいてもらえないですが、僕は「アトピーはいい病気」だと思っているんです。アトピー患者さんは、誰もが「ひどくなりたくない」という思いを抱えていますから、一度良くなる経験をすれば生活習慣に気をつけるでしょう。そうなると将来、生活習慣病になる確率が下がり、結果的に人より健康な人生を送っていけると考えているんです。

めざすのは、今生きている時間を楽しくする医療

一般内科のクリニックで心療内科を標榜しているのは珍しいですね。

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そうかもしれません。僕は一時期、厚生労働省の研究班に所属していた時期があります。そこで「超過勤務労働者の過重労働によるストレス負荷に対する客観的評価法」の研究に携わり、「心拍変動解析」という技術の検証をしていました。また、研究室時代にお世話になっていた病院では、院内の精神科医と関わることも多く心療内科にも携わっていました。そんな経験から、当院でも心にストレスを抱えた人の手助けができるのではと思い、心療内科も掲げています。自分も重度の病気で精神的につらい時期を通ってきました。その経験が患者さんの手助けに役立てばうれしいですね。

今後の展望をお聞かせください。

患者さんが「人生を楽しむため」の診療をしたいといつも思っています。病気は誰だってつらいもので、僕もまた重度のアトピーが出ている時に死にたいくらいつらかった。だから、一人でも多くの患者さんに人生の楽しさを取り戻してほしいと願っています。大学病院時代、人の生死に関わる診療も多く携わってきました。医療において「救命」はたいへん重要なことですから、それに関わるドクターたちをとても尊敬しています。でも僕がやりたい道はこれではないと常々思っていました。思い描く診療をするために開業医になったので、これからも「今生きている時間を充実したものにする」というスタンスを大事にしていきたいですね。そして、緊急を要する患者さんがいらした時は、適切な病院へ行っていただく。その判断だけは絶対に間違ってはいけないと肝に銘じています。

お忙しい毎日ですが、連休が取れたら何をしたいですか?

スキーに行きたいですね。大学にいた頃にアルペンスキーをやっていたんですよ。当時はシーズンのほとんどをゲレンデで過ごしていたため、たびたび進級試験に冷や汗をかいていました(笑)。また、ドライブも大好きで学生の頃からよく車に乗っていました。好きな場所を好きなだけ走り続けていたいタイプですから、朝から晩まで運転しっぱなしでもまったく苦になりません。クリニックを休めないので今は行けませんが、昔は朝に東京を出て夜は北海道の登別にいる、なんて車旅もざらでした。基本的にスピード感のあるものが好きなのかもしれません。

読者へメッセージをお願いします。

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医療情報が世の中にあふれていて、迷うことが多いと思います。もちろん医師側も知らない情報がありますし、勉強不足の分野もあるでしょう。でも、ちまたにあふれている情報とは「いいこと」も「悪いこと」も偏っているもので、第三者的な意見はほとんどない。例えば、脱ステロイドという考え方。ステロイドは使い方を間違えたら怖い薬ですが、症状によっては絶対に必要な場合もありますし、脱ステロイドだけが正しい方法ではありません。断片的な情報だけをうのみにすると判断を誤る原因になります。気になる情報があったら、自分で判断せずにまず主治医やかかりつけの医師に相談してください。医療に精通している人の総合的な意見に耳を傾け、さらに第三者の意見も知り、自分にとって一番いい治療法を見つけていっていただきたいと思います。

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