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山本 勇人 院長の独自取材記事

山本歯科医院

(中央区/銀座駅)

最終更新日:2023/04/20

山本勇人院長 山本歯科医院 main

東京メトロ丸ノ内線銀座駅から徒歩3分。外堀通りに面した一角のビル7階に、2023年で創業105年という長い歴史を持つ「山本歯科医院」がある。3代目となる山本勇人院長の祖父が米国で創設し、帰国後に改めて開院して以来、現在まで診療を続けている。山本院長は東京歯科大学を卒業後、口腔外科でがん患者を診た経験から、人間を全体的な視点で捉えるホリスティック医学の中のアントロポゾフィー医学を学んできた。また歯科医師には美的感覚も必要だという見解から、院内にはクラシック音楽やヒーリング・ミュージックが流れ、患者から贈られた絵画や院長が収集した調度品などが飾られている。穏やかな笑顔が印象的な山本院長に、現在までの経緯や診療への思いを話してもらった。

(取材日2023年3月20日)

4世代で通う患者もいる歴史の長い歯科医院

こちらの歯科医院は、創業から100年以上の歴史があるとお聞きしました。

山本勇人院長 山本歯科医院1

私の祖父が1918年に米国のオレゴン州で歯科医院を始めたのが最初です。祖父は1922年に帰国し、現在の京橋で改めて開院しました。1945年に父が祖父の後を継ぎ、1997年に私が院長に就任しました。祖父と父が第二次世界大戦で疎開していた時期を除き、ずっと銀座の近くで診療を行っています。銀座はどこから来るにも便利な場所なので、当院に限らず患者さんに地域的な傾向がないことが特徴です。当院でも近所の方よりも少し離れた場所から来られる患者さんが多いようです。

歯科医師を志したのは、おじいさまとお父さまの影響がありましたか?

もちろんです。小さい頃から診療所に遊びに来ていたので、この場に親しんでいるというのもありました。もともと生物が大好きで、高校生の頃は漠然と生物学の研究者になりたいと思っていました。でも父は自分の後を継いでほしいという思いがあったのでしょう。進路を決める時「歯学部でも生物学の基礎研究はできるから」と言われて(笑)。父の気持ちをくみ、自分のやりたいこともできるかなと思って、東京歯科大学に進学しました。卒業後は国立東京第二病院(現・国立病院機構東京医療センター)の口腔外科に勤めた後、当院の院長に就任しました。研究者の道には進みませんでしたが、開業後しばらくしてから社会人大学院に再入学して、念願だった微生物学の研究も行い、博士課程を修了しました。

同じ地域でずっと診察されていると、長く通う患者さんもいらっしゃるのでは?

山本勇人院長 山本歯科医院2

長く通われている患者さんの中には、祖父の代からお付き合いがある方もいらっしゃいます。家族や親戚の方のご紹介で来られる方が多く、4代で通ってくださるご家族もいらっしゃいます。例えば、ご両親やごきょうだいも診させていただくと、そのお子さんの骨格がどなたに似ていて、将来どのような歯並びになるのか、かなり予想できるものです。矯正治療は大人になったときの骨格や歯並びが予想できたほうが治療しやすく、始めるタイミングがとても重要なので、お子さんの矯正治療をするときは、参考のためにご両親の歯も見せてもらい、成長後に自然な歯並びになるように治療を進めます。

現代医学ではカバーしきれない領域にも取り組む

先生が取り入れているというホリスティック医学、アントロポゾフィー医学について教えてください。

山本勇人院長 山本歯科医院3

ホリスティック医学は「人の体や精神、環境はお互いに影響し合っている」という考え方です。一本の歯が全身に、全身の状態が口の中にどのような影響を及ぼすのか。生活環境が病気としてどのように現れるのか。例えば普通、虫歯は治療しておしまいという場合が多いですが、その後の変化まで考えて治療するという考え方です。自分は口腔外科に勤めていた時、口腔がんで大変な思いをされている患者さんをたくさん診てきて、どうしたらがんにならない生活ができるかと考えるようになり、ホリスティック医学について学び始めました。その過程で出会ったのが、人間を「体、心、精神」の統合した存在として捉えたアントロポゾフィー医学でした。以来ずっと勉強を続けてきましたね。

そういった考え方が必要なのはどのような患者さんと接する時ですか?

基礎疾患があって治療に不安を抱えている、体質や年齢などの理由で薬を使いたくない、といった患者さんです。当院に長く通っている患者さんから聞いたり、ホームページで知った、という方も来られますね。例えば、アントロポゾフィー医学の、「子どもは体だけでなく心や精神も成長していくので、それに応じて治療の仕方を変えていく」という考え方は、子どもの成長に合わせた噛み合わせや歯並びの治療などに活用します。

インプラント治療は行わないそうですが、それはどんな理由からですか?

山本勇人院長 山本歯科医院4

症例によっては素晴らしい技術なのですが、治療後も適切に管理する必要があります。しかし年を取って体が不自由になると、ケアができなくなってしまうことが多いのです。超高齢社会になり、自分の歯で一生を過ごす人が増えた現代において、患者さんがどんな状態になっても管理できるような治療が必要だと思います。ただ治療するだけではなく機能的に持続させることが大切です。そこで当院では、義歯やブリッジを第一の選択肢としてご提案し、どうしてもインプラントにしたいという方には、他院をご紹介するようにしています。

歯を大切にする文化を次の世代に伝えるのが使命

今までに出会った患者さんの中で印象に残っている方は?

山本勇人院長 山本歯科医院5

以前、95歳頃まで車いすで通ってくださっていた患者さんがいました。本当によく通ってくださいます、といつも頭が下がる思いでした。ある日その方がお帰りになるとき、急に大声で「先生、歯は命です!」とおっしゃったのです。私自身も歯の大切さはわかっていましたが、「命」と断言できるほどの確信はなかったのです。それを、はっきりと言われてたいへん驚きました。それがこの患者さんにお会いした最後の言葉だったこともあり、特に印象に残っています。自分の責任の大きさに改めて気づかされた出来事でした。

音楽や絵画に囲まれた癒やされる空間ですね。

先代から音楽好きで、父はトランペット、自分はバイオリンを演奏し、大学ではオーケストラに所属していました。音楽好きな患者さんもいらっしゃって、待ち時間にキーボードを弾いてもらうこともあります。美術も好きで、患者さんに描いていただいたものもあります。歯科というのは、機能の回復だけをめざすというものではなく、見た目の良さを求められることも多い分野です。そのため自分も普段から芸術に接することで、美的感覚を養うように心がけています。それもただ華美にすれば良いのではなく、調和とバランス、自然に見える美しさを求めたいと思っています。

最後に院長の思いを伝えるためにメッセージをお願いします。

山本勇人院長 山本歯科医院6

歯というのは、痛くなったり失ったりして初めてその大切さに気づくものなので、何も問題がない頃から、歯の大切さに対する意識を持ってほしいですね。口腔内の状態は、全身の健康につながっています。口の中は、子どもが自分の健康について自己管理できる最初の場所なんです。親がそれを教えてあげることが、その人の一生の健康に関わっていきます。歯を大切にするということは、その家庭の「文化」のような一面があります。予防をしっかり行う習慣は、親子代々受け継がれていく非常に重要なことです。患者さんに予防歯科の大切さを知ってもらい、それを次の世代へと伝えていくことが当院の使命なのかな、と感じていますね。来てくださる患者さんも数世代にわたるご家族やご紹介の方が多く、「健康なお口のつながり」というものを強く意識しています。これからも患者さんとともに、たくさんのことを学ばせていただきたいと思っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

矯正治療(一次)/27万円~、矯正治療(二次)/55万円~

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