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福田一典 院長の独自取材記事

銀座東京クリニック

(中央区/東銀座駅)

最終更新日:2021/10/12

福田一典院長 銀座東京クリニック main

銀座歌舞伎座向かいにあるビル群の一角。オフィスのようにシンプルな院内に、生薬(しょうやく)独特の香りが漂う「銀座東京クリニック」は、漢方治療を中心に副作用の少ないがん治療を行う専門の医院だ。「内装にお金をかけるより、患者さん本位で診療したいと思ったからですね。ふだんはネクタイもしていませんし(笑)」とほほえむ福田一典院長は、医学部卒業後、がん治療に長年携わってきた医師であり研究者だ。同院を開業したのは医療現場や研究施設を経験して、「大学病院はがんの最先端医療。がん治療に伴う副作用の低減、再発予防などの解決は、私のような医院で」という役割分担が必要だからと語る。大学病院、製薬企業の研究所、国立がんセンター研究所などを歴任し、銀座にクリニックを開いて10年以上。「ようやく腰を落ち着けて診療できる場所、やり方が見つかった」という福田院長に、がん治療の最前線について聞いた。

(取材日2013年6月6日)

漢方を中心に、確かな実績を持つがん治療を行う

こちらのがん治療の特色を教えてください。

福田一典院長 銀座東京クリニック1

このクリニックは開業以来、がんの「標準治療」を補う「補完療法」「代替療法」、なかでも漢方に力を入れてきました。治癒力を高めて病気の進行を抑制し、再発予防に役立てる」といった、体に優しいがん治療をめざすのが当院の特色です。

先生はどんなお気持ちで診療されていますか?

当院を頼ってお見えになる患者さんは、1日に2、3人ほどです。それだけに患者さん一人ひとりと時間をかけてお話しして、今の気持ちや症状、これまで受けた治療についてなど、さまざまなことをお聞きできます。代替医療は単に免疫力を上げるといった効果が目的ではありません。がんという本人の生死を決めるような病気に対して、どう向き合い、そのためにどのような治療が必要か?これらを患者さんと共有し、その方に合った治療法を一緒に選ぶことから始まるのです。「子どもが生まれたばかり。少しでも長く生きたい」という切実な願いなら、治療のためさまざまな手段を考えます。「がんとの闘いで疲れ果てるより、残りの人生を豊かに過ごしたい」と考える方で、本当の治療のめどが立たない場合、痛みや不快感の改善を目的にした治療も行います。標準治療はガイドラインに沿ってマニュアル化されているため、このような個別対応は不得意なのです。

どのような患者さんがお見えになりますか?

福田一典院長 銀座東京クリニック2

患者さんの1/3はほかの治療を受けてもがんが進行して、「手の施しようがない」と告げられたような方。また1/3の方は抗がん剤や放射線などの標準治療を受けながら、副作用の軽減や体力維持を考えて来院されています。さらに残り1/3は、治療を終えて再発予防を目的とされる方です。西洋医学では、がんがある程度進行してしまうと、比較的早く治療をあきらめる傾向にあると思います。しかし、それは西洋医学の範囲での治療が限界であるということであって、実際には漢方をはじめ副作用が少ないとされる治療法が数多く残されているのです。このように治療困難とされた患者さんに対して、その方の価値観や希望に応じた治療機会を提供し、納得のいく生き方のお手伝いをすることが当院の治療方針の一つなのです。

現代のがん治療の問題点を補うために始めたクリニック

現在のがん治療に問題があるのですか?

福田一典院長 銀座東京クリニック3

医師も患者さんも、がんに対して認識不足だと感じています。私は医学部卒業後、大学病院や総合病院で、がん治療の実践、研究を続けてきました。そうした経験から、がん治療は標準治療も補完医療も含めて、その方の体質や症状に合った方法を使えば、治療の可能性は高まるとわかってきました。治療後は定期検診に加え、自己治癒力を高める指導で再発を予防することも大切です。同時に患者さんも、医師におまかせでなく、ご自分で積極的に治癒力を高める努力も必要になります。しかしがん治療の成果は、数十年前からさほど向上したように見えません。早期発見によって治りやすい時期のがんが多く見つかり、治療率(5年生存率)は高くなりました。しかし、がんによる死亡者数が劇的に減ったという結果は出ていないのです。

副作用軽減や再発予防はどう対策するのですか?

最近は抗がん剤や放射線治療の副作用が広く知られ、それらを使わないで治療したいというご相談も増えています。実際に多種多様な抗がん剤を用いて、副作用を抑えた適切な治療を行うには、十分な専門知識を持つ医師の診療が不可欠です。放射線治療も同じことですが、そのような専門的な治療を受ける機会が少ないことも、標準治療への不信感につながるのでしょう。当院では副作用の軽減、がん治療で衰えた体力・自然治癒力の回復に役立つ漢方やサプリメントをご紹介し、標準治療を受けている患者さんを支援しています。また標準治療の場合、治療が終わると定期検診が中心となり、再発予防を重視した対策は行われません。患者さんは「治ったようだけど、これから予防はどうするか」がわからず、不安に感じられると思います。当院では患者さん一人ひとりに合った、治癒力を高める食品選び、運動のやり方、漢方による体調コントロールなどを組み合わせて、治癒力を高めて「がんになりにくい体質」になるアドバイスをしています。

漢方治療にはどんな利点があるのでしょうか?

福田一典院長 銀座東京クリニック4

これはがん治療に限りませんが、漢方は患者さんの体質や症状に合わせてきめ細やかに処方でき、オーダーメードの医療に適しているのです。がんとの闘いで体力が落ちている、食欲がない、心身の機能が弱まって体の冷えが起きているなど、がんの患者さんも一人ひとり症状は違い、それに応じた治療が必要です。さらに当院でお渡しする漢方薬は、毎回生薬から煮出す煎じ薬です。錠剤や粉薬とは異なり、香りも含めた生薬の成分を丸ごと体に取り込むもので、漢方では長く経験的に使われてきました。そうした昔からの知識をベースに、私が続けてきた研究、当院での経験を加味して、がん患者さん向けの処方を行っています。大きな病院で最先端医療を行い、私はその治療でカバーできない副作用の軽減や再発予防などを担う。がん患者さんが増え続ける現代には、そのような役割分担がさらに重要になると考えています。

人まねせず身につけた知識を、多くの人に知らせていく

ホームページもがんについて詳しく書かれていますね。

福田一典院長 銀座東京クリニック5

私はがんへの知識不足、認識不足が「がんは怖い」と思われる大きな原因だと考えています。ですから可能な限り情報をお伝えして、患者さんの悩み解決や気づきのヒントになってほしいのです。また診療中の疑問にお答えするのは当然のこと、ホームページ上で受けた質問にも、私自身が回答しています。私は外科治療の現場から、病理学と生化学の研究、さらに留学して分子生物学の研究にも携わりました。一方で患者さん全身・全体を診るホリスティック医学の視点から、漢方などによるがん治療までさまざまな分野を網羅しています。ですからほとんどの質問に対して、的確な知識をもとにお答えできる強みがあると思います。私はいつも始発に乗り、5時台にはクリニックに到着します。その後、診療が始まる9時までの間、昨日から届いている質問メールに返信し、今日の患者さんのために漢方薬を準備します。診察中にも質問メールは次々と届きますから、私も診療の空き時間などを活用して早めに回答を送るよう心がけています。私がホームページやメールで書いたこと、診療で患者さんにお話ししたことで、がんを正しく認識して、また治療に希望を持っていただけることが、私という医師が生きている意味なのだと実感しています。

お忙しいようですが、お休みはどうなさっていますか?

休診日も質問メールに対応して、ブログを更新し、論文を読み、頼まれた原稿を書く……。そんな生活を続けているので、「この日が休み」という感覚はあまりないですね。2002年にクリニックを開業して、翌年銀座に移転したので、当院はもう10年以上になります。実はこれまで大学や研究施設など、ほぼ3年で次の勤務先に移る生活でしたから、ここで長く続いていることに知人たちも驚いていますよ(笑)。自分の理想に近いというか、きっと私にとって最後の診療所になるのだと感じています。

先生が医師になったきっかけは何でしょうか?

福田一典院長 銀座東京クリニック6

医療分野に進んだのは昔からの漠然としたあこがれですが、独自の視点で診療や研究を続けてきたことは、間違いなく父の影響です。小学生の頃、組み立て式のブロック玩具を父が買ってくれたので、喜んでサンプル写真のとおりに作り上げたんです。それを見た父はたいへん怒りました。「誰かのまねでなく、新しいものを作る力を育てるために買ったのだ」と。それ以来「人まねはしない、人と違うことをする」というのが、私のモットーになりました(笑)。いくつもの病院や研究施設で経験を積んだのも、常に次のこと、新しいことを求めていたのだと思います。今でも海外の論文など、絶えず新しい情報を探しています。そうして得た知識は皆さんにすべて伝えたい、がんのことをもっと知ってほしい、そんな思いで毎日を過ごしていますね。

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