上田周院長の独自取材記事

荻窪上田クリニック

(杉並区／荻窪駅)

最終更新日：2021/10/12

荻窪駅から徒歩約7分の「荻窪上田クリニック」は、住宅街の一角にあるアットホームな病院だ。上田周院長がもっともこだわったという円形の待合室は、おしゃれでやさしい雰囲気をかもし出している。上田院長は、おだやかにそして丁寧にインタビューに応じてくれた。アトピー性皮膚炎、腫瘍、脱毛やしみとりなどのレーザー施術など、皮膚科全般に渡って診療しているが、患者の来院理由でもっとも多いものは巻き爪。他院で治らなかった巻き爪の治療に訪れる患者もいるという。月曜日・火曜日は日本皮膚科学会皮膚科専門医の奥様が診療を担当しており、「女医さんのほうが相談しやすい」という方にも対応。セカンド・オピニオンも歓迎だという。日曜・祝日も診療しているので、皮膚疾患で悩んでいる方は一度相談してみよう。

（取材日2012年12月13日）

ポリシーは、病気を診るのではなく患者を診ること
巻き爪、アトピー性皮膚炎、悪性腫瘍など症状に合わせた治療と的確なアドバイスを
肌は健康のバロメーター。日々の生活を大切にしてほしい

ポリシーは、病気を診るのではなく患者を診ること

診療の際のポリシーを教えてください。

ポリシーは、親切丁寧な診療と常に新しい情報を吸収するということです。症状だけを診るのは簡単ですが、病気によっては症状だけ診ていても解決につながらないことがあります。病気を診るのではなく患者さんを診ること、そして一人ひとりを大切にした診療を心がけています。また、医学の情報はどんどん新しくなっていきます。学会に参加、その発行物を読んだり、製薬会社の方の話を聞く、週2日は大きい病院に勤務するなど、できる限り新しい情報に接し、経験を積んでいきたいと考えています。週2回勤務している病院では、より多くの症例を診ることができますし、個人病院ではできない検査や治療に携わることもできます。そこで得た知識や経験を、私の医院の患者さんにフィードバックしていかれたら、と思っています。

地域性、年齢、性別など、患者さんの特徴はありますか？

杉並区荻窪は生まれ育った土地で、知り合いも多く、親しみのある場所です。開業した当初も、ご近所の方から「あの坊やがお医者さんになったのね」と、喜んでいただきました。昔からの住宅街で、住人の入れ替わりも比較的少ない場所ですから、お世話になった方々や地域に貢献していきたいですね。患者さんは0歳から100歳まで、老若男女問わずご来院いただいています。日曜祝日も診療しているので、「日曜祝日　皮膚科」で検索していらっしゃる方、杉並区の休日診療所案内を見ていらっしゃる方も多いです。

患者さんの主訴はどのようなものが多いですか？

虫刺され、やけど、ほくろのケアなどさまざまですが、もっとも多いのは巻き爪の症状です。また、エステも行っていますが、こちらは遠方からの患者さんよりはご近所の方が、「水虫の治療をしたついでに美顔も頼みたい」といったケースで来院されることが多いですね。アトピー性皮膚炎をお持ちの方が、ひげがあるとかみそり負けしてただれてしまう、ということで脱毛に来院されることもあります。ただし、男性の脱毛は、お金と時間と痛みが伴うのですけれど。私自身も試してみましたが1回でやめました（笑）。

巻き爪、アトピー性皮膚炎、悪性腫瘍など症状に合わせた治療と的確なアドバイスを

巻き爪の治療がお得意とのことですが、どのような治療をされているのですか？

巻き爪の治療は、手術と矯正4種類が主な方法ですが、この5種類すべてを行っている皮膚科は意外と少ないのです。当院では、この5種類の治療法を組み合わせ、患者さんの症状やご希望に沿って治療を進めています。痛くてもいいから早く治したい人と、時間がかかってもいいから痛くない方法を望む人とでは、選択する治療法が異なりますし、ひとりの人でも来院時の患部の症状によって、選択すべき方法が異なる場合もあります。その方のご要望、症状に合わせた治療法をご提案しています。また、巻き爪は生活習慣病のひとつであると考えています。一番の原因は筋力の低下ですから、若い方より年配の方のほうが多いですし、ヒールの高い靴を履く方も発症しやすいです。畳に素足、ぞうりや下駄という生活は、足の指の筋肉を使うので、昔の日本では巻き爪という症状はほとんどなかったと思います。巻き爪の予防、再発防止のためには、つま先をしっかり使うこと、ヒールのある靴を選ぶときは、足の甲がしっかりホールドされるタイプを選ぶことが大切です。靴の中で足が前後にすべってしまうような靴は、巻き爪になる危険が高いかと思います。

アトピー性皮膚炎も多いそうですね。治療に特色はありますか？

アトピー性皮膚炎は、遺伝素因も関係しますが、ストレス病であるとも考えられます。もともと肌の弱い方が、子どもの頃にアトピーを発症し、中学生・高校生の頃は落ち着いていたのに、社会人になって再発するというケースは非常に多いです。現代は、うつ病患者も多く、ストレス社会と言われますが、もともと肌が弱い方にストレスがかかるとアトピー性皮膚炎を発症しやすくなるのです。最近の日本皮膚科学会のガイドラインにも、アトピー性皮膚炎の患者に積極的に精神安定剤を処方するよう書かれています。実際、当院でも、精神安定剤を処方するケースは多いですね。初診の患者さんには、20分程度時間を割いてじっくり話しを聞き、ストレスの度合いなどをチェックしますし、必要に応じてメンタルクリニックをご紹介することもあります。

皮膚疾患で、気をつけたい病気にはどんなものがありますか？

腫瘍ですね。悪性腫瘍であっても痛みや痒みが伴わないため、見過ごされることが多いのです。一見、ほくろのようなもの、赤くかさかさした湿疹のようなものが、実は悪性腫瘍であることも多いのです。先日も、「半年前から、カサカサして赤くなってるんですけど、これなんでしょう？」という患者さんがいらっしゃいました。一目で悪性腫瘍だとわかったので、「すぐ入院して手術しないと手遅れになるかもしれません」と申し上げました。痛みや痒みがない分、それくらい脅かさないと手術を受けてくれないことが多いですから。もちろん、相手の人柄や性格を見て、ショックを受けそうな方なら言葉を選びますけれどね。悪性腫瘍は、紫外線の刺激や外傷を受けやすい部分、ひじ下、ひざ下、顔面にできることが多いです。「これ、なんだろう？」と、少しでも異常を感じたら、なるべく早く皮膚科の診察を受けてください。

肌は健康のバロメーター。日々の生活を大切にしてほしい

医師を志したきっかけを教えてください。

医師になろうと決めたのは、高校3年で進路を決める時です。父が内科医師、母が皮膚科医師と、医師という職業が身近だったので、他の職業がピンときませんでした。高校生の頃は、夏はサーフィン、ヨットなどのマリンスポーツ、冬はスキー、そして夜遊びもちょこっとという感じで遊びほうけていたんです。進路を決めるときになって、両親に「浪人して医学部を受験させてください」と頼みました。皮膚科を選んだのは、兄が内科系に進んだので、それなら自分は皮膚科かな、という自然な感じでしたね。

休日はどのようにリフレッシュされていますか？

基本的に休日はなく、週7日間働いています。月曜日・火曜日は埼玉の病院に勤務し、当院の診察は皮膚科医師の妻に任せています。対外的には金曜日が休診日ですが、その日は巻き爪治療、腫瘍の手術、レーザー治療などを完全予約制で行っています。学生時代に遊んだので、今は、仕事に没頭しようかな、と（笑）。診療時間後は、家族でのんびりすることが多いですね。夏休みや年末年始などの長期休暇は、家族でマリンスポーツやスキーを楽しんでいます。

今後の展望をお聞かせください。

子供が大きくなったので、週に1〜2日は診療時間を延ばそうかと検討中です。「仕事帰りに通院したい」という患者さんからのご要望が多いので、少しでも患者さんのニーズにお答えしたいと思いました。また、巻き爪に関しては、皮膚科の医師がきちんと治療方法をわかっていないことも多く、かわいそうな患者さんが多いことが気になっています。患者さんと皮膚科医師に情報提供すべく、書籍の執筆を検討しており、現在出版社と打ち合わせを重ねています。きちんとした治療ができないのに患者を抱え込む医師には、自分自身が勉強するか、早めに他院を紹介するようにしていただきたいです。辛いのは患者さんですからね……。

読者へのメッセージをお願いします。

皮膚疾患にも美容にもセカンドオピニオンの存在が大切です。「先生に悪い」という遠慮は不要です。よりよい方法はないか、自分で探して積極的に行動してください。そして、美容に関しては、基礎化粧品で保湿をしっかりする、睡眠をしっかりとる、寝る前の暴飲暴食を避けるといった、簡単なことで調子を整えることができます。ダイエットより苦労が少ないと思いますよ（笑）。肌は健康のバロメーターですから、健康な生活をしている人は肌もきれいです。女性は肌がきれいだと気分も明るくなると思いますから、日々の生活を大切にしていただきたいですね。