山嵜 武 院長の独自取材記事
中野通りやまさきクリニック
(中野区/中野駅)
最終更新日:2025/12/29
中野駅から徒歩5分、若者から年配者まで多くの人が行き交う中野通り沿いに「中野通りやまさきクリニック」がある。長年この地で診療していた前田クリニックの前田院長から、2025年4月に診療を引き継いだのは、山嵜武先生。心理療法やカウンセリングを専門に学びながら、精神科救急や訪問診療、保健所相談など幅広い現場経験を積んできた。「薬や診断だけでなく、多様な方法で生きづらさに寄り添いたい」という想いから留学も経験。また、保険診療を中心に、カウンセリングのエッセンスを取り入れた診療を行い、心と体の不調を気軽に相談できる場づくりをめざしている。「世代や性別を問わず、すべての患者さんにとって安心できる存在でありたい」と笑顔で語る山嵜先生に、クリニックについて話を聴いた。
(取材日2025年9月30日)
患者に寄り添う診療を保険診療の枠の中で最大限に
こちらのクリニックは、前任の前田先生から引き継いだそうですね。

はい。前田先生とは、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)医局の先輩後輩という関係で、偶然にも出身地や出身高校も同じでした。私自身、このまま勤務医を続けていくか、自分のクリニックを開くか迷っているタイミングでお話をいただき、相談を重ね、この春に継承しました。私たちが専門にしていたのは心理療法やサイコセラピー、精神分析の分野で、短時間診療かつ薬物療法が根づいている日本ではニッチな分野でした。実際、医学部の精神科で学ぶのは、薬の出し方や診断のつけ方が主で、学べる環境も少なかったというのもあります。そういった意味でも前田先生と私は同じ分野を専門にする同志とも言えます。
なぜ心理療法やサイコセラピーを専門に学ばれたのでしょうか。
大学病院での勤務時代に担当した摂食障害の患者さんとの出会いがきっかけでした。生きづらさを感じている方にどのように寄り添っていけば良いかと考えたときに、薬や診断以外にももっと多様な方法が必要だと思ったのです。その一つが、心理療法やサイコセラピーでした。ただ、申し上げた通り、当時日本では学ぶ環境が少なかったので、自ら外に学びに行かなければならないと思い、ニューヨークへ留学もしました。また、映画や音楽が好きで、映画監督やミュージシャンで気が病んでしまう人が多いのを知って支えになりたいと思い、当初はカウンセラーを志していたのもきっかけの一つですね。さまざまなきっかけや出会いを重ねて今の私につながっています。
精神科救急の現場から保健所相談まで幅広い経験もお持ちですよね。

はい。心理療法の重要性に気づき専門的に学んだものの、それだけにはしたくありませんでした。ですから、国立精神・神経センターや東京都立広尾病院などで精神科救急を経験したのち、勤務していた精神科病院で訪問診療を立ち上げたり、保健所の相談業務に携わるなど、精神科医として役立てる現場をいろいろ経験してきました。精神科医として求められることは何でもやりたいという想いが根底にあったので、偏らずバランスよくすべてにおいて対応できるよう研鑽を積みました。その想いは開業した今も変わらず、カウンセリングのエッセンスを保険診療の10分の間にどう生かしていけるか、「10分しかないからできない」というのではなくどうすれば自分の経験と知識を結集して患者さんに還元できるかを常に考えて診療にあたっています。
「人と人」として向き合う精神科医療
継承されて変化したところはどのようなところでしょうか。

前田クリニックのときはカウンセリングによる治療がメインだったのですが、継承してからは8~9割が保険診療、残り1割はカウンセリングといった割合に変わりました。心療内科や精神科への受診は以前よりハードルが下がってきましたが、カウンセリングや心理療法に対しては、依然として抵抗感が残っているのが現状です。費用面の問題に加え、「話すだけで本当に良くなるのか?」という懐疑的な意識が根強く残っていることも一因だと考えられます。そういったことも踏まえて現在は、カウンセリングを核としつつも、保険診療内でできる最大限の治療を患者さんに提供できるように努めています。もちろん、希望する方にはカウンセリングの枠も設けていますので、気軽にご相談ください。
診察の中で心がけていることは何でしょうか。
保険診療では、1回の診察時間が10分程度と限られています。その中で「しっかり話を聞いてもらえた」と感じてもらうのは簡単ではありません。だからこそ、会話の量だけでなく、話しやすい雰囲気づくりや、「きちんと聞いています」「理解しています」という気持ちが伝わるように意識しています。留学時代に学んだことですが、医師と患者という立場はあっても、基本は「人と人」です。ふたりの人間が一緒に悩みや問題に向き合い、解決の糸口を探していく。その考え方を大切にしながら、カウンセリングや心理療法のエッセンスを取り入れた診療を行っています。
実際の診察はどのように進めていくのでしょうか。

基本的には患者さんのお話を聴くことが主体です。ですから、まずは話しやすい、話したいと思っていただけるような環境づくりをしますね。「どんなことを聞かれるんだろう」や「本当は行きたくないのに」と思って来院される方もいると思います。そんな患者さんの緊張や不安をほぐすことをいろんな側面で意識しています。例えば、院内の内装は無機質な雰囲気ではなく、木目調の温かみを基調にした落ち着いた空間づくりを心がけています。さらに、アロマの香りを感じられるようにして、リラックスできる雰囲気をつくっています。また、服装もカジュアルな服装のほうが患者さんも話しやすいかと思い、意識していますね。診察には形式的な決まりはありませんので、どうぞ構えず、気軽な気持ちでお話にいらしてください。
心身のバランスを保ち地域に開かれた場をめざす
今の時代、悩みも多様化していると思います。

情報があふれかえっているからこそ、選択肢が多すぎてその中で自分が何を選択すべきか見失っている人が多いような気がします。だからこそ解決の方法は一つではなく、さまざまな方法をかけ合わせていかなければなりません。私自身の力にも限界はあると思っています。だからこそ、カウンセリングや心理療法、薬物治療などいくつもの手段を使いながら、患者さんにとって最適な方法を見つけています。また、私自身も心と体のバランスを取るためにトレイルランニングなど自然の中で運動するようにしているのですが、その過程で日本在住の外国人の方とも交流する機会があるんです。自分と異なるバックグラウンドを持つ方と話すことで、新たな発見もあり視野も広がります。私の今までの経験や知識を含め、あらゆる手を尽くして患者さんに還元できるよう、日々の診療に努めています。
今後の展望をお聞かせください。
心の不調と合わせて体の不調がある場合も、気兼ねなく相談できるクリニックをめざしています。カウンセリングは私にとって大切なサブスペシャリティーですが、理論や分析に偏りすぎるのではなく、幅広い課題を柔軟に受け止められる精神科医でありたいと常に思っています。当院での診療はもちろんですが、他科との連携も大切にしていますので、どんなお悩みでも安心して頼っていただければと思います。より専門的な治療や社会的資源が必要な場合は、信頼できる仲間や地域のネットワークに適切につなぎます。中野という場所は、学生から働き世代、年配の方々まで、すべての世代が集うエリアです。だからこそ、当院を世代や性別を問わず、気軽に相談できる場所にしていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

一人で抱え込まず、「こんなことも相談してもいいのかな」と思うようなことも気軽に話しに来てください。昨今はAIチャットなどで悩み相談をする方もいると聞きますが、「人対人」でしかつくり出せない空間、時間があります。診療という限られた時間の中でも困っていることに全力で向き合っていきます。一人で考えこんでしまうことこそ話して、一緒に解決の道へ歩んでいけたらと思います。当院にお越しいただいて、少しでも気持ちが楽になった、心が軽くなったと思ってもらえるような場所でありたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはカウンセリング/1万円(1回45分)

