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兒野喜穂 院長の独自取材記事

ちごの歯科

(中野区/新江古田駅)

最終更新日:2020/04/01

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亀をシンボルマークとする「ちごの歯科」は都営大江戸線・新江古田駅から徒歩7分ほど。落ち着いた住宅街の一角、個性的な造りのデザイナーズマンションの1階にある。庭には池があり、亀がいることから医院のシンボルマークに。受付には患者から贈られた亀グッズがずらり。それとともに「兒野歯科医院」と書かれた風格のある木曽ひのきの看板が目を引く。この看板は長野県で開業していた先代から引き継いだという。兒野喜穂院長は1941年生まれ。二つの大学病院で合わせて40年近く勤務医を務め、定年退職した後、2008年に同院を開業した。陽光が注ぐ池に面した診療室には治療用の椅子が1台。リラックスした明るい雰囲気の中で30分に1人ずつ丁寧に患者と向き合う兒野院長は、歯や口内の状態を通して全身の疾患を検知。時に重病も発見する。長きにわたる臨床経験を生かした診療内容などの中心にお話を伺った。
(取材日2012年12月21日)

口の中を診ればいろいろな病気を発見できる「何でも診られる医師」

玄関のひのきの看板の由来についてお聞かせ下さい。

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私の実家は長野県木曽福島で、母がずっと歯科医院をやっていました。玄関の看板はその医院のものです。勤務医を定年退職した後、私はその医院を継いで故郷で開業しようとしたのですが、事情があってそれが叶わず、結局閉めることになりました。そこでこちらで開業する際に、その意志を継ごうと看板だけ持ってきたのです。

開業された動機についてお聞かせ下さい。

私がこれまで医師として働けているのは大勢の患者さんに育てていただいたおかげ。そういう思いがあるので、世の中に恩返しをしたいと思ったのです。母が歯科医師だったのでその影響はあったと思いますが、学生時代は歯科医師としてやっていこうという気持ちは薄かった。考えがガラリと変わったのは学卒業後、東京大学の病院に勤務し始めてからですね。そこで病棟の患者さん、そのほとんどはがんなどの深刻な病気を抱えた人たちを診るようになってから、これは非常にやりがいのある仕事だなと思い始めました。その後、帝京大学の病院に移ったのですが、そちらでも同様の経験をしました。ですから私は普通の歯医者さんとは少し違う経歴を持っていると思いますよ。それが開業した今、とても役に立っています。

どう役立っているか具体的に伺えますか?

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がんや骨折の治療もたくさんしてきましたし、虫歯、歯周病、義歯の歯科三大疾患はもちろん口内炎など口の中の病気も診てきました。要するに一般的な歯科医師と違って、総合的な医師として患者さんを診られるわけです。長年にわたる勤務医時代に自分が得てきたものを、ここで患者さんに還元できるわけです。例えば歯が痛いと言って来た患者さんを診たら実はがんだったとか、そういう重病の発見もあります。で普通とはちょっと違う歯医者さんだよ、というのは、そうした「何でも診られる医師」という意味です。今、歯科医師は街中に溢れているけれど、こうした総合的な歯科医師はすっかり減ってしまいましたよね。当初、長野で開業しようと思ったのは、大きな総合病院がたくさんある東京と違って田舎ではそういう医療を受ける機会が少ないからです。それが叶わなかったので、せめてこの街で、と思って始めたわけです。

窓越しに水面を望めるリラックスは患者への熱き思いから

重病を発見した際はどのように患者に伝えますか?

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こういう病気の可能性がありますよ、ということはきちんと伝えます。それが医師の仕事であると思うからです。そして大学病院などの総合病院を紹介し精密検査を受けることをすすめます。今はがんでも小さいうちなら取ってしまえばきれいに治せます。患者さんも落ち着いて話を聞いてくれますよ。

専門化の弊害について、どう考えておられますか?

現在のように分担だとか専門だとかに分かれ過ぎてしまうと、専門の部分は分かるけどそれ以外の部分は知らないので他へ行ってくださいということになりますね。そうこうしているうちに重症化してしまうこともあるわけです。最初は口内炎だよと言っていたけど本当はがんで、そのまま3ヶ月経過してしまってもう手遅れ、ということだって起こってくるでしょう。それは困りますよね。私みたいに何でも診られる医師をめざすという人もめっきり少なくなっています。どうしても時間と経験を要するからです。何かの専門医なら5〜6年で資格が取れますが、看板だけで患者さんはそれが上手か下手かは全然分かりません。歯科医師に限らず、近年は医療に関わる人たちを教育する環境が非常に悪くなっていると思います。専門医志向が強すぎる弊害も出てきている様にもおもいます。

普段の診療はどのようにやっておられますか?

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私自身は特にこの新江古田駅付近の地域に縁が深いわけではなく、このマンションも業者の人に頼んで見つけてもらったのですが、いい地域で開業することができたと感謝しています。庭に大きな岩と池があって、そこに亀や金魚やザリガニがいて、……こんな医院は他にあまりないのではないでしょうか。患者さんは1日10人から多くて15人くらいいらっしゃいます。予約制なのでその時間どおりに来ていただければ、お待たせすることもほとんどありません。この診療室は30分間その患者さん1人の占有ですから治療台も1台きりです。窓越しに水の音を聞きながら、水面に光がキラキラ反射する、そんな風景を見ながらの治療なら患者さんもリラックスできるし、こちらにとっても気分がいいことです。新しく開業する人は駅からの距離にこだわる人が多いようですが、あまり駅に近いと患者さんが多過ぎてじっくりを診られないのです。歯科医師を何人か雇えばいいのでしょうけど、そうすると私の目が行き届かない。そういうことをすごく懸念します。

日々の診療をとおし患者に喜んでもらえることを求めて

小児歯科もされておられますね。

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小児歯科は小児歯科専門医の娘が担当をしています。普段は勤務医として働いていますが、毎週木曜日の午後はここで子どもたちの歯を診ているんです。ちなみにここは近くの幼稚園や保育園の散歩コースになっていて、亀のいる池として子どもたちの目印にもなっているようですよ。そんなこともあって親しまれるよう亀を当院のシンボルにしたんです。でも亀だけ見て看板は見ていかない人たちも大勢います(笑)。

お休みの日はどう過ごされていますか?

ピアノ、仏像の彫刻、スイミングをやっています。還暦をとりましたので、まだ10歳そこそこなので小学生の塾通いと同じだね(笑)。ピアノは何か1つ楽器が弾けてもいいかなと思って65歳から始めました。仏像の彫刻は勤務医時代からやっています。別に心を落ち着けるとか、そういった目的ではなく、やったことが形になって残るということが気に入っているんです。ただ、作品は全部人にあげてしまうので自分の手元にはまったく残りませんが。スイミングは週1回、健康維持のためにやっています。ですので結構忙しく飛び回っています。家でゆっくりしているのは月に1回あるかないかというところです。おかげで体力に自信があるというわけではありませんが、特に大きな病気をすることもなく、元気にしていますよ。

今後、どのように医院を展開されていくか、お聞かせ下さい。

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今後のことは特に考えていません。行けるところまで行くだけです。私は今年(2012年)で71歳になりますが、長野の母は90歳を過ぎても歯科医師をやっていたのでもそんなに早くは辞めないし、辞められないですね。あと、もしどこかでもう1つ医院を手伝ってほしいといった話があったら、ここと同様の環境で診られるのであればやってもいいかなとは思っていますね。同様と言うのはリラックスして患者さんを丁寧に診られる環境のことです。患者さんの健康の役に立ち、少しでも喜んでもらえること、診てもらってよかったと思っていただけることが私の求めていることですから。

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