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井原 厚 院長の独自取材記事

浅草病院

(台東区/浅草駅)

最終更新日:2019/08/28

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浅草駅から車で8分、隅田川沿いの、見晴らしに恵まれた立地に移転を果たしたばかりの「浅草病院」は、1961年から浅草で地域医療に貢献してきた。救急病院として136床を有し、うち46床は回復期リハ病棟として自宅に帰るまでの架け橋となり、また手厚い訪問リハビリ体制で、在宅復帰の支援にも注力してきた。今回の移転による新たな医療体制について、着任して6年になる井原厚院長に聞いた。
(取材日2016年6月30日)

設備やスタッフの充実で、より地域に根差した体制に

こちらの建物は移転されたばかりだそうですね。

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ゴールデンウィーク中に、隅田川沿いのこの新病院に移りました。500mほどの移動ですが、入院中の患者さんのご負担も少なく済んだかと思います。当院は1961年に、以前の場所に産科の哺育会病院として開設されたのが始まりです。その後は内科、外科、眼科などを拡充し、二次救急も行う136床の病院としてやってまいりました。私自身は2010年に院長として入職しましたが、それまでは北里大学病院の消化器外科に長く勤め、大学での移転プロジェクトにも加わり、特に手術室のプランニングなどに参加していました。そうしたところ、北里大学の派遣先であった上尾中央総合病院と同じAMGグループである当院で、移転プロジェクトを推進していく院長職を探しているとのことで、白羽の矢が立ったのです。

新病院では、どのように変わりましたか?

耳鼻咽喉科、婦人科、皮膚科、健診センターを新たに設けました。なかでも健診センターは、マンモグラフィーも導入して乳がん検診や子宮がん検診にも対応でき、一通りのがん検診が、できる体制となりました。立地としては、隅田川を見晴らす眺望を得たことで、入院中は少しでも気持ちよく過ごしていただけるようになったのではと思います。エントランスはエレベーターとエスカレーターの2つの動線を設けました。車いすの方などはエレベーターが便利ですし、エスカレーターもゆっくりしたスピードのものを採用しましたので、体調の悪い方にも安心してお使いいただけるかと思います。2階に上がると、隅田川とスカイツリーを全面ガラス窓で臨む広々とした待合ロビーになっています。病院の顔になる場所として親しんでいただけると良いですね。

設備面も充実されましたね?

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設備としては、手術室を1室から3室に、内視鏡治療室も1室から3室にしてセンター化し、がんの化学療法室も5ベッド新設いたしました。移転と同時にMRIも導入しましたので、CTでは判別しづらかった、できたばかりの脳梗塞の診断もより迅速、確実に行えます。実は設備以上に大切なのはスタッフで、この移転を目安にだいぶ充実してきました。まず、救急の専門医が常駐するようになりましたので、受け入れ体制がだいぶ整ってきました。また、眼科は高齢の方をはじめ、患者さんからのニーズが高い科ですので、順天堂大学から専門医を常勤でお迎えすることができました。そのため、順天堂大学の眼科と連携して白内障手術、硝子体手術なども行ってまいります。これで医師も私が院長就任時の10名から15名に増えましたし、病院自体が新しくなったことで全職員の士気も上がっているようです。

情の厚い地域柄に合わせ、訪問医療・介護も充実を

この台東区は、医療的にはどのようなエリアですか?

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高齢化率は23.4%と、東京都が20.4%であるのに比べて、この辺りは全国平均に近い状況です。顕著なのはやはり、何代もこの地に暮らしてきて地域への愛着がたいへん強いということでしょう。例え、歳をとって一人住まいでも、ずっと暮らしてきた家で、それが2階であっても段差が多くても、そこを離れたくないという思いの強さを感じます。情の深さも大きく、最近はどこでも子どもが親の世話をできないのが現状と思われますけれど、このあたりでは甥御さん、姪御さんが叔父・叔母の面倒をご自分の親に代わってされたりして、入退院手続きなどを行ってくれたりもするんです。また、友人関係も厚いですね。入院中に朝、洗濯物をご友人が取りにきたりされています。おそらく元気なときからずっと手助けし合う関係が続いておられるのでしょう。下町のかけがえのない良さだと感じます。

こちらはリハビリにも力を入れておられますね。

はい。土日祝日もスタッフが交代で勤務していますので、365日リハビリが行えます。入院中だけでなく、外来や訪問でもリハビリを提供していますので、特に入院された方がご自宅に帰られるときには、当院スタッフが家屋調査などにも入らせていただいて、必要な改修や福祉用具のご提案なども行うことができます。患者さんの状態や回復の過程を切れ目なく把握できることで、退院されてからもしっかりとしたサポートが可能です。自転車で30分くらいのエリアまでは訪問しておりますが、退院後も以前のような暮らしを続けたいというニーズが根強いので、私どもとしてもさらに力をいれていきたいですね。リハビリだけでなく、内科の本田徹医師が看護師を伴って簡易宿泊所などに往診に行ってくださっていますが、社会のニーズを考えると、今後は訪問診療、訪問看護のさらなる必要も感じています。

地域の医師会からの要請などもあるのでしょうか?

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お困りのことがあれば協力をということで、今年からは特別養護老人ホームの健診を訪問で行うお手伝いをしています。特養では年1回の健康診断が義務付けられていますが、これまではご入居者を特養の職員が介助して、健診のために病院にお連れしていて、毎回大事になっていたそうです。そのため今年は、当院で対策を考えて、採血・心電図・レントゲンまでを訪問で行うことにいたしました。開業医の先生方は特養や老健に嘱託医として協力されているので、当院としても救急や今回の健診など、できる限りの支援体制をとっていくことで、地域のお役にたてればと考えています。

救急・手術・リハビリ・検診を柱に、地域の健康を守る

地域の中での立ち位置はどのように考えられていますか?

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台東区には大病院がなく、救急については区南部を永寿総合病院が、区北部を当院が担っています。基幹病院としては他に台東区立病院と浅草寺病院があり、これら100床以上の4病院で会合などを定期的に行い、顔の見える連携関係を実現しています。ネットワークの構築はこれからですが、患者情報の書式を統一できるよう進めているところです。独居の方が多い地域ですから、例えば救急隊が来たときに本人がしゃべれない状態であっても、統一した書式があって、それで既往症や処方薬の情報などのほか、延命措置への希望などの背景が分かるようになっていれば、対応もスムーズになるでしょう。地域包括支援センターとも連動して進めていきます。また、新病院建設にあたり、消防署からの依頼で防災用のタンクを地下に設けました。こういったことも含め、地域への貢献は惜しまず行っていきたいですね。

上尾中央医科グループに属されていますね。

ええ。埼玉県をはじめとする1都6県に27病院、9クリニック、21介護老人保健施設を有し、グループとしてのノウハウも十分にあります。そこでの経験も生かしながら当院は、この浅草で求められる医療に応えられるよう、救急、手術、リハビリ、健診の4つを柱として考えています。救急から手術、リハビリの流れは、移転での拡充も含め、かなりできてきていると感じますが、健診については地域での認知度もまだこれからというところでしょう。いらした方にレントゲンなども提示しながら丁寧な説明を心がけています。それによって、何も異常なく来てよかったと思っていただければ、そしてその後もご不安があればいつでも気軽に相談に来ていただければと思います。

先生が医師を志されたのは、どうしてですか?

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目の前に倒れている人がいたら、自分でまず手を差し伸べたいと思っていました。その時に、何でもできる、というのは外科だろうと思い、医師になるというよりも外科医師になるのだと決めていましたね。最近の大学病院では専門が細分化していますが、私は例えば同じレントゲン写真を見たときに、心臓は診られるけれど肺はわからない、というのは嫌で、医師としては自分の担当分野の臓器だけ診るのではなく、「患者さん」を診るのだというスタンスが絶対に必要だと思うのです。その訓練には、外科というのは向いていますし、進路に悩んでいる医学生がいれば、ぜひ外科にと自信をもって言ってあげたいですね。

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