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村松 いづみ 院長の独自取材記事

あおい歯科診療室

(台東区/鶯谷駅)

最終更新日:2020/06/10

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歯が痛い、歯茎に違和感があるなど、なんらかの異常を感じて歯科医院へ行く人は多い。むしろ、今の日本においては、いわゆる「起きてしまったこと」への対処が歯科医院に求められる役割の大半を占めているといっても過言ではないだろう。「あおい歯科診療室」の村松いづみ院長は、そうした現状に警鐘を鳴らす。「どんなに優れた腕を持つ歯科医師でも、神様が与えてくれた以上に良い状態を作り出すことはできません。もともとあるものを守るために歯科医院に行く、歯科医師はそれに伴走する。それこそが本来の歯科医療のあるべき姿ではないでしょうか」と語り、何もないときにこそ受診して予防につなげてほしいという強い思いを持つ。そんな村松院長に、さまざまな話を聞いた。
(取材日2020年4月17日)

歯科は「何もないときに受診してほしい」診療科

はじめに、先生がお考えになる歯科医院の役割からお聞かせください。

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歯科医院は、何の症状もない段階で受診することができ、かつその時点で症状が出ないようにさまざまな方法で予防することができる珍しい診療科だと思います。ところが、国内の歯科医院の多くが、虫歯や歯周病などで傷んだ歯や失った歯、落ちてしまった口腔機能の回復といった「起きてしまったことへの対処」に奔走しているのが現状です。患者さんのほうも、歯科医院は何らかの症状が出てから行くところだと考えている人がほとんどでしょう。こうした日本の歯科医療の在り方、そして歯科に対する意識は、グローバルスタンダードからはかけ離れていると考えます。現代の歯科知識を持ってすれば、生涯健康な歯を保ったままでいることも不可能ではありません。それが「予防」というコンセプトであり、歯科医院の本来の役割だと考えています。

何かあったときだけ会いに行くのではなく、いつでも隣にいてくれるイメージですね。

私がよく思うのは、ブラインドマラソンでランナーのそばについて一緒に走る伴走者のようだということです。ブラインドマラソンでは、走者とランナーが輪になった1本の紐を持ち、同じコースをともに走ります。伴走者の役割は、レースの主人公であるランナーの目になって進むべき方向を教えたり、道を遮る障害物をどかして危険を回避したりすること。歯科医療も同じように、患者さんのレースを隣で見守り、適切なサポートをしていくというスタイルが理想ですね。

信頼できる歯科医院を見つけることが大事だということでしょうか。

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ぜひそうしていただきたいと思います。ふだんあまり意識することはないかもしれませんが、実は歯科で診る疾患の多くは口腔の感染症なんですよ。ただし、感染が広がるスピードは緩やかで、じわじわとダメージが蓄積されていくので、気づいたときには手遅れということが少なくありません。自覚症状なく生活していていた方が、高齢期に差しかかったとたんさまざまな症状に襲われて、結果的に歯を失ってしまうというのは典型的なケースですね。

ライフステージに沿った継続的なリスク管理が重要

理想とする歯科医療のために、どんな工夫をしていらっしゃいますか。

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口腔内のリスクは、その方の生活背景、生活の指向性、社会経済的な環境、ライフステージなどによって異なります。重要なのは、個別の「今」の状況をしっかり把握して、その時々のリスクをもれなく拾い上げること。そして、適切に管理していくことです。例えば、女性ならホルモンの増減によっても口腔内のリスクが変動しますから、年齢によっても注意しなければならないポイントが違ってきます。1回の診療で将来的なリスク要因まで見極めることはできませんから、しっかりコミュニケーションを取って、継続的な関係性の中で特定していくことを心がけています。

先ほどのお話からすると、受診する側の意識改革も重要なのでしょうね。

そのとおりです。私たちのコンセプトを理解していただくには、従来の歯科医院に対する認識を一度リセットしていただかなくてはなりません。「銀歯が外れてしまった」「歯が痛い」といった症状で受診される患者さんには、不快感や不便さ、つらさを取り除く目的の治療をした上で、継続的な治療の中で少しずつ「予防をしていれば、治療をせずに済むんだ」という事実に気づいていただけるよう働きかけています。自分の口腔内の状態が良くなっていくのを実感できると、自然と「この治療が終わったら、健康な歯を維持するために頑張りたい」という気持ちになってくれますよ。その後は、3ヵ月に1度、美容院に行くのと同じ感覚で受診してお掃除をするという習慣をつけていただければ、ほかの患者さんと同じように予防のルートに乗ることができます。

初診の場合、どのような流れで診療が行われるのでしょう。

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初診でいらした方には、最初に歯科衛生士が生活背景、食習慣まで細かく伺い、受診のきっかけとなった症状の原因を分析します。当院の歯科衛生士は、保育士やスポーツインストラクターといった仕事から転身してきたせいか、患者さんの良いところを伸ばすような声かけが自然とできて、信頼関係を築ける人が多いんですよ。日本には、歯科衛生士を一人のプロフェッショナルとして教育する風土が乏しいと感じていますが、当院では毎月新しい知識の習得を目的とした勉強会を行い、改善点の話し合いを一緒にするなど、一人ひとりを尊重した教育をした上で仕事をお任せしています。安心してご相談いただきたいですね。

メンテナンス受診は、親から子へのプレゼント

歯科衛生士さんは、担当制でついてくださるそうですね。

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患者さんの口腔内の状態を時間軸で管理するには、同じ歯科衛生士がずっと診続ける担当制がベストです。ご家族で受診してくださっている場合は、生活習慣や食習慣が似ているので、家族単位で一人の歯科衛生士が担当するようにしています。おばあちゃんに直接言いにくいことをご家族を通して伝えたり、最近来ていないお子さんがいればご両親に様子を聞いたりと、コミュニケーションの面でも担当制にはメリットがあると感じますね。お父さん、お母さんに言いづらいことを歯科衛生士に打ち明けるお子さんもいらっしゃるんです。好きなアニメの話やキャラクターの話で盛り上がっているのを見かけると、ほほえましいですよ。

お子さんの受診も多いのですね。歯科医院に通い始める目安となる年齢があれば教えてください。

赤ちゃんの下の前歯が生え始めたら、ケアを始めましょう。小学校3年生くらいまでの子どもの歯の健康は、自宅での環境づくりにかかっていると言っても過言ではありませんから、保護者の方にケアの仕方を丁寧にお教えします。よく、「ケアの仕方が悪いと言われるのではないか」「お菓子をあげていることを叱られるのではないか」と子どもを歯医者へ連れて行くのをためらう方がいますが、私も人の親。甘いものをあげてしまう気持ちもわかりますから、安心してください。小さい頃にメンテナンスの習慣をプレゼントしてもらったお子さんは、年齢が上がるにつれてその価値を実感するでしょう。健康を守るという信念を持って診療にあたるクリニックを見つけて、歯が生え始めたら受診する。このことの重要性を、これから親になる方にはぜひ知っていただきたいと思います。

最後に、読者にメッセージをいただけますか。

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10年後、20年後、30年後のあなたの歯の本数や口の中の状態は、そのようなかかりつけ医をもっているかどうかで大きく変わるでしょう。ぜひ、メンテナンス受診を日常生活の一部に取り入れてください。特に、未来を支える子どもたちには、歯のことで悩むことなく、もっている力を発揮してもらいたいと思います。ご家族全員が、ご両親と神様からもらった自分の歯で一生食べ、話をし、笑えるように…。皆さんに、生涯を通してずっと通える、健康を守ってくれるかかりつけ医を見つけていただけたらうれしいです。

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