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輿石 義彦 院長の独自取材記事

巣鴨こし石クリニック

(豊島区/巣鴨駅)

最終更新日:2023/08/31

輿石義彦院長 巣鴨こし石クリニック main

巣鴨駅から徒歩2分、巣鴨地蔵通り商店街のすぐそばに構える「巣鴨こし石クリニック」を訪ねた。前身である「緒方医院」の時代からこの地に根差し、100年以上続く歴史あるクリニックで診療にあたるのは、呼吸器を専門とする輿石義彦院長。長年にわたって大学病院で研鑽を積んだベテランドクターで、「一人ひとりの患者さんにもっと寄り添った診療をやっていきたい」との思いから、地域の中で幅広い疾患に対応するかかりつけ医に転身した。入り口ドアに描かれた似顔絵のとおり、朗らかで親しみやすい雰囲気の輿石院長のもとには、乳幼児からそのパパママ世代、中高年層まで幅広い世代の患者が訪れている。インタビューで、クリニックの特徴や自身のこれまでの歩み、地域の患者への思いなど、じっくり話を聞いた。

(取材日2018年6月6日/再取材日2023年6月16日)

地域の中で患者に長く寄り添う医療を届けたい

こちらは100年以上続くクリニックだそうですね。

輿石義彦院長 巣鴨こし石クリニック1

私の母方の祖父が昭和の初め頃に開業したと聞いています。その後、私の伯父が2代目院長として診療にあたり、2013年4月に私が3代目の院長に就任しました。私はそれまで大学病院に勤務していたのですが、専門の呼吸器を中心に、勤務医として多忙な生活を続ける中で「もっと広い領域を診ていきたい」「一人ひとりの患者さんにもっと長く寄り添った医療を届けたい」といった思いが芽生えたことがきっかけで、伯父からクリニックを継承しました。代替わりを契機に院内外をリニューアルし、入り口ドアは中の雰囲気がうかがえるように半分素通しにし、娘が描いてくれた私の似顔絵をあしらいました。待合室には、家内と娘の意見を取り入れてキッズコーナーを設置するなど、患者さんがリラックスできる空間になっていると思います。

こちらではどんな診療が受けられますか?

内科、呼吸器内科のほか、小児科とアレルギー科を診療しています。お子さんの場合は季節ごとの感染症がメインで、すべての年代を通じて咳に関するご相談が多いのが当院の特徴だと思います。中でも目立つのは、咳が2週間以上治まらないという方。アレルギー反応で気道が炎症を起こして狭くなる気管支喘息の方のほか、咳だけが長く続く咳喘息の患者さんが毎日のように複数来院されています。他にも糖尿病や高血圧といった生活習慣病の患者さんのフォロー、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や禁煙相談などにも幅広く対応しています。

診療にあたって心がけていることは?

輿石義彦院長 巣鴨こし石クリニック2

病気を重症化させないために早期発見・早期治療を重視し、可能な限り当日中に診断をつけ、治療方針を立てるところまで完結させるように意識しています。院内に血液検査の専用機器を導入したのもその一環ですが、例えば尿検査など検体検査を委託する外注先に対しても、午前中に渡したらその日の夕方、午後に渡したら翌日の午前中には結果を出してもらうようお願いしています。検査を受けてから結果が出るまで、患者さんは不安でモヤモヤした時間を過ごすわけですから、そうした時間をできるだけ短くしたいという思いがあります。また、1年ほど前に当院から徒歩2分ほどの場所に画像診断専門クリニックが開設されたこともあり、同院との連携で呼吸器疾患の診断に有用なCT検査なども利用しやすく、診療の幅が格段に広がりました。

内科と外科双方の診療経験を生かし、幅広い疾患に対応

先生が呼吸器を専門に選ばれたのはなぜですか?

輿石義彦院長 巣鴨こし石クリニック3

最初は全身を診察する内科医をめざしていましたが、私が大学を卒業した当時は内科よりも外科の技術進歩が目覚ましかった時代。そのスピード感に心惹かれたこともあり、内科医として3年間学び終えた後に外科の道に転向しました。呼吸器を専門分野に選んだ理由は、ご縁のあった先輩や恩師の所属する教室が呼吸器だったからというシンプルなものですが、私が所属していた呼吸器外科の教室は、手術以外にも診断から感染症検査、看取りのプロセスに至るまですべて自分で手がける方針だったことも奏功し、多角的な視点で患者さんを診ることができるようになりました。こうして内科から外科まで幅広く診療してきた経験が、開業医となった今の診療にも大いに役立っています。

患者さんと接する上で、どんなことを大切にされていますか?

このエリアには古い住宅がたくさんあり、何代にもわたってお住まいの方が多い一方、ここ十数年で次々とマンション建設が進み、新たに転居してくる若いファミリー層も目立つようになりました。年代に応じて求められる医療が異なってきますから、一人ひとりの患者さんのニーズにマッチした満足度の高い診療になるように努めています。疾患について的確な説明で患者さんに伝え、治療そのものをしっかり提供することはもちろん、症状に付随するメンタル面のつらさにも対応できるよう、患者さんの話をじっくりお聞きすることにも重きを置いて接しています。

治療では、漢方薬も積極的に取り入れているそうですね。

輿石義彦院長 巣鴨こし石クリニック4

西洋医学の薬では対応しにくい疾患のときに、処方を検討します。そもそも大学病院の勤務医時代から、抗がん剤の副作用を緩和するために漢方薬を使っていたので、漢方とはもう15年以上の付き合いになるんですよ。漢方薬が役立つと考えられるのは、症状がいくつも出ているといったケース。例えば更年期障害では、おなかが痛む、体がほてる、倦怠感などさまざまな症状がいっぺんに現れてくることがあります。西洋薬なら一つ一つの症状に対応したお薬を出すところですが、漢方には1種類でそれらすべての症状を網羅できるものもありますから、薬の処方量を減らすことにもつながるわけです。

診療科目以外の不調や悩みにも広く対応。気軽に相談を

新型コロナウイルス感染症の流行によって、咳に対して過敏になる風潮が続きましたね。

輿石義彦院長 巣鴨こし石クリニック5

軽くコホンと咳をしても周囲の目が気になる時期が長かったため、喘息の患者さんなどは「コロナと間違われないように早くどうにかこの咳を止めたい」と、かなり多くのご相談をお受けしました。呼吸器症状を数多く診てきた経験上、呼吸器の不調は冬の寒い時期のほか、エアコンの冷気を吸い込む機会の多い夏、梅雨時や台風シーズンなどに出やすいのですが、今年に関して言うと、例年であれば閑散期であるはずの4、5月にも咳のご相談が減ることはありませんでした。咳に対するナーバスな感覚が尾を引き、以前だったら様子見していたような軽い症状の患者さんでも、咳が長引いていると感じたら早めに受診する傾向にあるのかもしれませんね。

喘息の治療薬も、近年は選択の幅が広がっているそうですね。

気管支喘息に関して言うと、吸入薬の選択肢が増え、これまで標準的だったステロイド吸入薬に加え、気管支拡張剤を含むものや長時間作用性のものなどが登場し、より適切なアプローチができるようになりました。吸入薬の使用頻度も1日1回が主流になり、使用に伴う患者さんの負担感も軽減されているのではないかと思います。また今年は都内でも2年ぶりに黄砂が観測され、その時期に喘息症状が悪化して来院された方もいらっしゃいました。お薬によるコントロールだけでなく、黄砂やPM2.5など、喘息の悪化要因になるようなものには日常的に注意を払い、必要に応じてマスクをつけたり外出を控えるなどの対策で備えることが大切です。

最後になりますが、読者に向けてメッセージをお願いします。

輿石義彦院長 巣鴨こし石クリニック6

地域にお住まいの皆さんにとって身近なかかりつけ医として、診療科目以外の不調にも幅広く対応していますので、まずは気軽に来て相談していただきたいですね。当院はスタッフも子育て経験豊富なメンバーがそろっていて、お子さんやご高齢の方への目配りなど、きめ細かくやってくれているので本当に心強く思っています。症状に関すること以外でも、例えば子育てや予防接種に関する心配事、ご家族の介護のお悩みなども、話していただければ医療の専門家の立場から何らかアドバイスして差し上げられることがあるはずです。そうした対話を通じ、地域の皆さんと一生のお付き合いができるクリニックをめざしていきたいと思います。

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