専門的な治療で不快症状の緩和をめざす
肛門疾患は早めの受診を
平塚胃腸病院
(豊島区/池袋駅)
最終更新日:2022/04/08


- 保険診療
「排便時にお尻が痛い」「痔が悪化してきた」「肛門がかゆい」などと悩んでいる人は多いのではないだろうか。場所が場所だけに、つらい症状があっても病院には行きづらいのも事実。そんな悩みを抱えた人々に応えようと「平塚胃腸病院」では大腸・肛門外科を設け、さまざまな肛門疾患の治療に対応している。日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医の星野敏彦先生は、「肛門の疾患は痔が代表的ですが、ほかにも多くの疾患があります。当院ではどんな肛門の疾患に対しても何らかの手立てを講じられますので、些細な症状でも相談してください」と早期受診を促す。肛門エコーも導入し精密な診査診断を行っている同院肛門外科の診療内容について、星野先生に詳しく話を聞いた。
(取材日2021年4月20日)
目次
痔核をはじめとする3大肛門疾患のほか多様な疾患に対応。肛門エコー検査による診断で適切な治療を提供
- Q相談の多い疾患や女性患者の割合などについて教えてください。
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A
▲これまで多くの研鑽を積んできたベテラン医師の星野先生
下血や肛門痛、肛門の脱出の相談が多いですが、便失禁、肛門の周りのおできといった相談もあります。便失禁は各世代7%程度の潜在的患者がいるといわれています。肛門痛の方の中には原因がわからず、複数の病院にかかった後に当院に来られるケースもあります。排便の力が伝わらない、臓器が下がる気がするなど特殊な症状の方も来られます。女性の患者さんから、次の妊娠との間に痔核(いぼ痔)の治療をするか相談を受ける場合もあります。当院の場合、痔核は3分の1、裂肛(きれ痔)は半数が女性です。痔ろう(あな痔)は圧倒的に男性が多いです。肛門外科は受診しにくいと思いますが、気になる症状がある時はできるだけ早めにご相談ください。
- Qこちらで対応している疾患や治療法について教えてください。
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A
▲消化器はもちろん、肛門疾患の治療も積極的に行っている
3大肛門疾患の痔核、裂肛、痔ろうに対しガイドラインにある治療法はすべて対応しています。例えば痔核に対しては内痔核を切らずに注射によって治療するALTA療法、痔核結紮切除術、外痔核切除・内痔核ALTA併用術を症状に応じて行っています。肛門周辺の皮膚が化膿する膿皮症や、尾骨近くの皮膚に膿のトンネルができる毛巣洞(もうそうどう)、直腸脱、尖圭コンジローマと呼ばれるイボのほか、便失禁、原因不明の肛門痛、肛門のかゆみ、息んでも便が出ないといった症状にも対応します。出血や腫れの原因が直腸がんというケースも多く、胃腸専門病院の特質を生かし、迅速に内視鏡治療などガイドラインに沿った標準治療を提供しています。
- Q診療や治療における特徴は何でしょう。
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A
▲肛門エコーも導入し、より精密な診査診断をめざす
肛門エコーによる診断を行っている点が大きな特徴です。エコー検査は表面からでは判断できない臀部深部の腫瘍(膿のたまり)や括約筋の断裂の有無、肛門周辺の血流の状態確認、臓器脱の診断にも有用です。また、当院は入院設備が整っていますので、術後に万が一合併症が起きても24時間対応可能ですし、麻酔の目覚めが悪い場合でも入院して経過を追えますので、麻酔の範囲や量の制約が少なく、手術時間も適宜対応できます。肛門疾患は大腸の病気とも深い関連がありますが、当院では大腸疾患に対しても専門的に対応できます。今後は、肛門領域の専門的な検査をさらに充実させ、スタッフの技術向上を図っていきたいと考えています。
- Q先生はこれまでどのような研鑽を積んでこられたのでしょうか。
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A
▲半数以上は女性患者とのこと。スタッフも女性が多く、安心だ
千葉大学医学部を卒業後、同大学の第2外科(現・食道胃腸科)や関連病院で消化器外科手術や消化器内視鏡検査・治療に携わってきました。その後、9年間、大腸肛門病の専門病院である辻仲病院で大腸内視鏡検査や大腸がんの治療、3大肛門疾患に加えて直腸脱、特発性肛門痛、排便機能障害、便失禁など特殊な肛門疾患の治療を数多く経験してきました。肛門エコーも専門的に行い、診断・治療における数多くのノウハウを積んできましたので、肛門から大腸までを幅広くカバーするキャリアや専門性を当院でも役立てています。ほかにも当院には肛門疾患を専門とする医師が2人在籍し、ともに専門的な診療を行っています。
- Q診療の際、心がけているのはどんなことですか?
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A
▲一人ひとりの患者に配慮し、診療を行う
大腸・肛門外科は非常にデリケートな診療科ですので、意を決して受診された患者さんが不安に感じたり落胆されたりすることのないよう、診療の進め方や声のかけ方に気をつけています。当院の診察台は完全にカーテンで覆う形で、診察時の体位も恥ずかしさを感じることのないよう横になる形を採用しています。肛門疾患にはまれなものもあり、他院で問題なしとされて多数の病院を受診している方も少なくありません。このようなケースでも手がかりをつかめるよう肛門エコー検査に力を入れています。肛門エコーを導入している施設はまだ少なく、よく見えない肛門部分の診断に役立ちますので、さらに注力したいと思います。