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吉田勝俊 理事長の独自取材記事

慈愛病院

(文京区/春日駅)

最終更新日:2019/08/28

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周辺に大学病院がひしめく文京区本郷で、高齢者を支える医療と介護に特化して地域に貢献する「慈愛病院」。高齢者人口急増による医療・介護の受け皿不足が懸念されている東京にあって、極めて重要な役割を果たしている。患者やスタッフに「ありがとうござます」、「大丈夫ですか」と優しく話しかける吉田勝俊先生は、病院の理事長という肩書からは想像できないほど物腰が柔らかく、温かい人柄だ。「経営者として苦労が絶えない」という一方で、臨床の現場で、さまざまな病気や障害のある高齢者の人生を見つめ、支えることができて、「毎日がドラマチックで、医師としてやりがいがある」と力強く話す。病院のコンセプトや特徴を存分に語っていただいた。
(取材日2015年6月5日)

東京23区内では貴重な存在、高齢者を支える介護療養型病院

病院の成り立ちと歴史についてお話しください。

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当院は慈愛会保育園の附属診療所として1952年に設立され、翌年、41床の病床を持つ病院となりました。今も、病院の2階には保育園を併設しています。その後、建物の新築や診療科の充実が図られ、昭和40年代の終わり頃には、小さいながら総合病院として形が整いました。平成に入って介護保険制度がスタートし、病院は重い疾患を手術などで治療する急性期病院と、手術後の回復や機能維持、介護を担当する慢性期病院に分かれていきます。当院は、2000年から介護保険が適用される介護療養病床となりました。主に高齢者を対象に慢性期医療を提供する病院です。要介護度の高い高齢の患者さんが大勢、入院されています。また、神経難病や意識障害が高度の患者さんが入院する病棟もあります。現在は、全部で47床あり、慢性期医療を提供しています。

そういった介護療養型の病院の多くは郊外にありますが、貴院は都心のとても便利な場所にありますね。

東京では八王子市周辺に多くの介護療養型病院がありますが、23区内には少ないのです。文京区には超急性期医療を行う大学病院が4つ、都立病院が1つありますが、療養病床を持つ病院は2つだけです。東京都はこれから急激に高齢化が進んでいきます。大きな病院で手術を受けても、すぐに家に戻れない患者さんが大勢いらしゃいます。家庭の事情などで在宅療養に移れない患者さんや、在宅療養中に状態が悪化して再入院が必要となる患者さんも多いので、要介護度や医療必要度の高い高齢者をお預かりできる当院の役割は重要だと考えています。

昔は救急医療や手術も行う病院だったと伺いましたが、高齢者医療に転換された理由は何でしょうか。

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病院は地域のニーズに合った医療を提供しなければなりません。今の時代は、患者さんは重い急性期疾患にかかれば高度医療を受けられる病院に行きます。私は元々は消化器外科医で、当院に赴任した当初は手術をしていましたが、小規模病院ではスタッフ数や設備に限界があり、そこまで高度な医療は提供できないと感じました。一方、病棟を見渡すと、寝たきりの高齢者がたくさん入院されていました。ただ、寝たきりにしておくのではなくて、質の高い看護と介護やリハビリを提供し、患者さん本人とご家族に安心していただくことが重要だと考えました。例えば、最後まで口から食事が食べられるように努力するとか、常に清潔で快適な環境を保つとか、患者さんの幸福につながる看護や介護があります。その意味では、私自身も外科医から高齢者医療の専門医へと考え方を変えていきました。例えば、脳卒中で倒れても、急性期治療が終われば、まだ、その先に長い人生があります。認知症の人たちもそうです。そうした患者さんの人生を見つめる医療を行いながら、「いかにして生を全うしていただくか」を常に考えています。

外来では、かかりつけ医として何でも診療し、住民の健康を守る

看護師などスタッフの考え方も、急性期病院のスタッフとは違っていますか。

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当院の看護師や介護職員は、最後は患者さんを看取ることまで含め、 長い入院生活を支える看護や介護を提供することを第一に考えています。それは、決して高度に専門的知識が必要とされる看護ではありませんが、例えば、「身体抑制をしない」、「褥瘡をつくらない」、「摂食嚥下障害があっても安全にご飯を食べていただく」など、入院中の生活の質(QOL)を高めるための大切な看護と介護です。10数年かけて、皆がこうした考えで動く組織風土にしてきました。当院では、看護師、介護職、栄養士など全職員を対象に高齢者医療やケアについての勉強会を定期的に開いています。例えば、食べることの意義や仕組み、認知症や胃ろうの問題について、入浴や排せつケアの大切さ、さらには人間の尊厳や倫理についてなど、高齢者をお世話する上で知らなければならないことを、基本から学んでいます。

理事長・院長として多くのスタッフをまとめ、病院を経営していくのは大変なのではありませんか。

全体で80人強のスタッフがいますが、それぞれの部署は小さな所帯ですから、顔の見える関係が築けています。2カ月に1回は各部門のスタッフと問題点を話し合ったりしますので、意思の疎通はできていると思います。看護介護部は約30人の大所帯でほとんどが女性ですから、私だけでは管理や指導が行き届きませんが、そこは看護師長がしっかりとスタッフの思いをくみ取って、まとめ役を果たしてくれています。常勤の女性医師も働く女性職員たちの思いをうまく汲み取ってくれています。看護と介護が中心の病院ですから、女性のリーダーがしっかりしていることが強みだと思っています。環境が厳しくなっていますから、小さな病院の経営者としては苦労が絶えないのですが、医師としてはとてもやりがいを感じています。いろんな病気の人、いろんな人生を過ごしてきた人と出会えて、喜びも悲しみも一緒に経験します。毎日がドラマチックです。

外来では、どんな診療をされているのでしょうか?

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一言で言えば、かかりつけ医です。一般内科、消化器内科、外科、肛門外科、乳腺外科、皮膚科、アレルギー・リウマチ科など多数の診療科がありますが、一般の診療所と同じように、かかりつけ医として地域の皆様の健康管理をしています。皮膚科やアレルギー・リウマチ科は専門医が非常勤で診療していますが、私を含めて3人の常勤医師は基本的に何でも診ます。私は、もともとは消化器疾患の専門医ですが、ここへ来てから一般内科、乳腺外科など幅広く勉強しましたので、検診マンモグラフィ読影認定医などの資格も持っています。だから専門の外来が集合した総合病院とは少し違います。3人の常勤医がそれぞれの専門性を生かしながら、かかりつけ医として診療しています。もちろん、同じ病院なので互いに相談もしますし、自分たちで治療できない疾患なら急性期病院に適切に紹介します。ちなみに1929年生まれの父も週1回、外来で診療しています。この地域で約50年、医療を行ってきましたので、どうしても父に診てほしいという患者さんがいるのです。

乳がんや消化器がんの検診に注力し、早期発見に貢献する

外来診療で特に力を入れておられるのは何でしょうか?

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私と副院長の専門が消化器疾患ですから、これは大事にしています。内視鏡、超音波、CTなどで的確に診断し、専門医療が必要であれば大学病院などに紹介します。また、私は大腸肛門病専門医でもありますが、文京区内には肛門病を専門的に診る病院はありません。大学病院は通常、あまり肛門病は診療しないのです。そこで、当院できちんと診断し、手術が必要なら専門施設に紹介します。肛門病で悩んでいる人は多いのですが、最近は手術をしない治療法も進歩してきましたし、多くの人は手術しないでも治せますので、そうした治療は当院で行います。また、検診にも力を入れています。例えば、胃がん検診は、文京区の中では非常に症例数の多い施設のひとつとなっています。内視鏡検査は予約なしでも引き受けていますから、フットワークの良さも当院の特徴といえるかもしれません。

先生が医師を志した理由を教えてください。

当院は私の祖父が開設し、父や叔父も院長を務めました。私は病院の5階にあった自宅で生まれ育ちました。父は、夜でも病院に呼ばれて、緊急手術などをしていました。昼休みには父や祖父が自宅に戻り、医療の話をしていました。そんな環境で育ったものですから、人間と真正面から向きあう医師という仕事を自然にめざすようになりました。消化器外科を選んだのは、当時から当院では胃や大腸、急性虫垂炎などの消化器系の手術や内視鏡検査が多かったからで、医師としてある程度力を付けたら戻ってくるつもりでした。北海道大学医学部を出た後、診断から手術、病理検査まで一貫したトレーニングをしてくれる東京女子医科大学病院の消化器外科に入り、特に大腸肛門病の診療、研究に従事しました。今は、手術はしませんが、腹部の病気については緊急性の有る無しや、手術が必要であるかどうかは判断できますので、消化器外科医の経験はかかりつけ医としての仕事に役立っています。北大ではスキー部に所属しクロスカントリースキーに熱中しました。真っ白な雪原に敷かれたコースの上を、ゴールに向かってひたすら走ることが好きでした。同じような意味で、今はランニングが趣味ですね。

地域の方々や読者の方々にメッセージをお願いします。

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病棟では、これからも高齢者の人生を見つめ支える、良質で安心できる医療・介護を、外来ではかかりつけ医として地域住民の健康を守る医療を提供していきます。また、2人に1人ががんになる時代ですから、今後はがん検診にもっと力を入れたいと思います。特に乳がんは若いうちから発症する可能性があります。当院でも乳がん検診を行っていますが、読者の皆様も、ある程度の年齢になったら、ぜひ、がん検診を受けていただきたいと思います。

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