東京慈恵会医科大学附属病院

丸毛 啓史病院長

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特定機能病院として、さまざまな先進的取り組みを進める「東京慈恵会医科大学附属病院」。診療科目の域を超え、患者本意の姿勢から病院の構造を考えるなど、常に患者の目線に立ち、患者を第一に考える姿勢を貫いてきた。そうした風土は、建学の祖である高木兼寛氏が唱えた「病気を診ずして病人を診よ」との言葉から生まれるもの。時代を経て医療の世界は革新的に技術が進化しても、高木氏が提唱したこの基本理念と、慈恵が積み重ねてきた文化は現在も脈々と受け継がれているという。医師と看護師の密な連携が築き上げるチーム医療は世界的にも知られており、近年では不幸な医療事故を防ぐべく、医療の安全確保にも尽力。さらに、医師の品格やマナー向上のための取り組みを実施するなど、ハードとソフトの両面で高レベルの医療をめざしている。医師であり、同院の元病院長でもある父親の後を受け継ぎ、2013年に就任した丸毛啓史病院長。現在の心境と、今後の展開についてじっくりと語ってもらった。
(取材日2016年5月24日)

確かな安全を基盤に患者本位の医療を徹底

―病院長に至るまでの経緯を伺います。

父から「医師になりなさい」と指示されたことはありませんでしたが、私が長男ということもあり、知らず知らずのうちに跡を継ぐことを考えていました。父が当院の病院長を務めていた当時、私は慈恵会医科大学の学生でした。自宅での食事の際は、病院経営や医師としてのあり方について、よく論争していたものです。実際に自分が病院長になった今となっては、父の苦労がわかりますね。現在、東京慈恵会は当院に加え、葛飾医療センターと狛江の第三病院、千葉県の柏病院、慈恵医大晴海トリトンクリニックという4つの系列病院を有しています。その中で当院は、特定機能病院として各種医療・検査機器の導入や、治験の実施・サポートを行う施設による先進の薬物治療、および先進的医療の開発に注力。系列病院と密に連携し、互いの強みを生かしながら日本の医療界を牽引していきたいと考えています。

―長い歴史がある病院だと聞きました。

当院の前身は1881年、高木兼寛氏により開設された成医会講習所です。当時、日本はドイツ医学を模範とする研究至上主義が一般的でしたが、高木氏は、留学していたイギリスの影響から「病者を病に悩む人間とみる医風に転換すべきだ」と主張。優れた医療技術はもちろん、豊かな人間性と倫理観を備えた医療人の育成により、患者さんとご家族に心から満足していただける全人的医療の実践を唱えたのです。また高木氏は留学時、ロンドンのセント・トーマス病院医学校にて、医師と看護師が協力して治療にあたる様子を目にし、看護師教育の重要性を実感。帰国後の1885年、日本で先駆けて看護婦教育所を設立しました。「医師と看護師は車の両輪の如し」と、両者が対等の立場で連携しあう大切さを説いたのです。このチーム医療の精神は現在も我々に生きており、医師と看護師、コメディカルスタッフが連携することで患者さんが本当に望む医療の実現に努めています。

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