全国のドクター9,103人の想いを取材
クリニック・病院 158,819件の情報を掲載(2024年3月29日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 港区
  4. 外苑前駅
  5. 大塚歯科医院
  6. 大塚 仁 院長

大塚 仁 院長の独自取材記事

大塚歯科医院

(港区/外苑前駅)

最終更新日:2021/10/12

大塚仁院長 大塚歯科医院 main

外苑前駅・表参道駅からともに徒歩7分ほど、街中の喧噪から少し離れた場所に位置する「大塚歯科医院」。大正12年に大塚仁院長の祖父がこの地で開業して以来、院長で3代目となる歴史あるクリニックだ。アットホームな雰囲気の医院には、取材中にも「予約を取りたい」と2人も患者さんがふらりと立ち寄って来られた。院長の気さくな雰囲気からも、地域の患者に愛されている一面が垣間見えてくる。多忙なスケジュールのなか、診療に対する思いや趣味などまで院長にお話を伺った。

(取材日2013年6月10日)

工作少年から、クラブに明け暮れた大学時代

こちらのクリニックは90年も歴史があるのですね。

大塚仁院長 大塚歯科医院1

祖父が大正12年にこの地で歯科医院を開業したのがはじまりで、私で3代目になります。医療が身近にある環境で育ちましたので、将来は跡を継ぐのかな……と子どもの頃から意識はしていました。しかし父が院長だった時代は歯科の数が少なく、青山にも数軒しかありませんでした。そのぶん患者さんはあふれていて、毎日朝食をとってすぐに診察に向かい、夜中まで休まずに診察をして帰ってくる父の姿を見ていてると、意義のある仕事だなと思う一方、生半可な気持ちでは務まらないことも理解していました。また医科への興味もあったので、大学は医科・歯科ともに受験しました。なんとか現役で合格できたのですが、合格した医科は地方の大学だったんです。両親からは「自宅から通える医科に行くなら浪人しても良い」という条件がつき、浪人して医学部をめざすか、合格した歯科大学に行くかで非常に悩みました。最終的には歯科大学を選択しましたが、実際に勉強を始めてみると非常に自分に向いていると感じるようになったんです。

どのような部分でそれを感じられたのですか?

技工物を作ったり、細かい作業がとても得意でした。もう時効ですから申し上げますが、実習で友人の技工物をこっそり作ってあげたりもしましたね(笑)。思い返してみると、私は小さい頃から時計やラジオを解体したり、工作や絵を描いて遊ぶのが好きな子どもでした。歯科医師は手先がある程度動かないとできませんし、また審美的なセンスも欠かせませんから、そういった部分も持ち合わせていたのだと思います。大学の医局にいた頃も、教授が論文や学会発表の時に使う、シェーマという医学的なイラストのようなものを頼まれて描いたりもしていました。

現在もご趣味で絵を描かれるのですか?

大塚仁院長 大塚歯科医院2

最近は自分で描く時間がないので、もっぱら鑑賞です。子どもが小さい頃はよく旅行にも出かけていて、パリに1週間行った時などは、朝ホテルを出たら妻子とは別行動で、私は1日中いろんな美術館を巡るという、家族旅行だか何だかわからない旅もしました(笑)。今も散歩がてら都内の美術館に行ったり、観たい展覧会があれば名古屋あたりまでなら日帰りで出かけることもあります。また大学時代は美術部のほか、馬術部にも入っていました。もともと動物好きでしたし、馬術部がある大学も少なかったので、せっかくだからと入部したら、いつのまにか主将や全国の医科歯科薬科リーグの幹事長になっていて、クラブに明け暮れる毎日でした。馬術部は花形のような印象があるかもしれませんが、実際は馬のお世話が8割くらい。朝は夜明けとともに馬小屋を掃除し、馬の手入れをして……とずっと馬と一緒に過ごした6年間でしたね。しかし馬術部時代に出会った全国各地の医師たちとは、よき友として今でも交流がありとても良い思い出です。

たくさん診るより、ひとりひとりにじっくりと向き合いたい

患者さんはどのような方が多いのですか?

大塚仁院長 大塚歯科医院3

先代から親子3代にわたって来ていただいたり、今は引っ越されたのに隣県から来てくださる方もいらっしゃって、ありがたいなと思います。また会社やお店も多いエリアなので、周辺に勤務される方も多いですね。私が院長に就任したのは15年前ですが、大学院を卒業した頃は父も現役でしたから、大学の医局に残り17年間勤務しました。専門は保存修復学で、3年目からは講師として授業もしておりました。保存修復学は簡単にいうと、歯を抜かずに悪い部分を削って詰め物をしたり被せ物をする、医科でいうと内科的なイメージの分野です。しかし私は外科的な部分にも興味がありましたので、大学病院では専門だけではなく様々な分野を勉強させていただき、臨床にも携わりました。

それでこちらの診療科目も幅広いのですね。

インプラントも大学病院時代からですと30年近く、1500例ほどの症例を手がけています。初期の頃こそレントゲンでしたが、症例数を重ねるにつれて歯科用CTの必要性を感じ、当院でも導入しました。歯科用CTでは骨の厚み、高さ、形態までわかるので的確な治療計画が立てられますし、それゆえ安全性も高まります。現在はインプラントができる医院も珍しくありませんし、ネットの時代ですからホームページで丁寧に説明されているところも多いと思います。当院もホームページはありますが、通り一遍の説明のみと言いますか、あまり宣伝みたいなことはしたくないのが本音なんです。医療って結局は患者さんとドクターとの信頼関係だと思っています。設備が立派だとかいうよりは、やはりで中身で勝負したい。ですから専門性の高い矯正治療と、がんなどの重篤な場合以外は、一通りの診察ができるよう日々努めています。古くからの患者さんはもちろん、私を信頼して来てくださる方、またそのご紹介の方も多いので、ひとりひとりにしっかりと向き合うことが地域医療に携わる私の役目であると思っています。大きく宣伝しなくても口コミで来院くださる方が多くいることは自信につながりますし、強みだとも考えています。

お隣に「南青山おおつかクリニック」という医科がありますが、こちらは関連病院ですか?

大塚仁院長 大塚歯科医院4

弟が開業している内科医院です。関連病院ではありませんが、近年は高齢化が進み、歩いて来られなくなったという患者さんも増えてきました。当院は昼休みを長めにとっていますが、それは往診に行くためなんです。弟は内科ですからよりご高齢の患者さんも多いので、ご希望があれば往診に同行したり、また歯周病は糖尿病などの疾患を悪化させることも近年明らかになってきましたので、医療面で連携を取り合うこともあります。医科の意見を聞きたい場合も兄弟ですから気軽ですし、こういった環境があることはお互いメリットになっていると思います。

これからも地域住民のお口の健康を守り続ける

先ほど入口でポスターを拝見したのですが、口腔がんの無料検診を行っているのですね。

大塚仁院長 大塚歯科医院5

口腔がんの無料検診は、6年ほど前から港区の歯科医師会で独自に始めたものです。口腔がんそのものは、がん発症率のパーセンテージ的には低いのですが、圧倒的に歯科医院での発見が多く、痛みもあまりないので重症化して見つかることが多いんです。また外科切除をすると審美的にも深刻な影響を及ぼす場所ですし、咀嚼や摂食、発音といった機能面にも影響が大きい。ですからなるべく早期に発見を、という歯科医師会の願いで始められました。この事業を始めてから、みなさん幸いにも早期でしたが、当院だけで4例見つかりました。検診には舌にできものができた、口内炎が治らないと心配されて来られる方が多いですね。我々開業医も皆が口腔がん専門というわけではありませんので、しょっちゅう勉強会を開き、歯科医師会でも年4回講習会を行っています。的確な診断を下すためには我々がしっかりとした知識や能力を持っていないといけませんから、これからも地域の先生方と協力し合い、邁進して参りたいと思います。また港区では、在住の20歳以上の方なら誰でも無料で歯科検診を受けられます。歯科医師会に入っている医院であればどこでも可能ですので、お口の健康が気になる場合は気軽に受診して欲しいと思います。

先生が患者さんを診察する時に、最も大切にされていることは何でしょう。

当院のポリシーでもあり、若い先生方にもよくお伝えしていますが、目先のことだけに捕われず、患者さんの10年後20年後を考えた治療していくことが最も大切だと考えています。先ほども申し上げたように最近は歯科の数が増え、経営も厳しいとは思います。しかし何より患者さんを第一に、そして患者さんの未来を見据えた治療を提供することが、必ず信頼として帰ってくると私は信じています。父の代からの患者さんは、きっと父が良い治療をしたから今でも来てくださるのだと思いますから。

今後についてお聞かせ下さい。

大塚仁院長 大塚歯科医院6

そろそろ年齢も上がってきましたが、元気なうちは患者さんに愛される医院をめざし続けていきたいです。私には娘が2人おりますが、次の代まで世襲にする必要はないかなと思っています。もちろんやりたいと言ってくれれば嬉しいですが、こればかりはわかりません。また本当に好きでないと務まらない仕事ですし、好きな仕事じゃないと人生も楽しくないですから、彼女たちにも天職だと思える仕事を見つけて輝いて欲しいと思っています。ですから今後も変わらず、今まで培ってきた経験を活かしながら地域の方々のお役に立っていきたいと思います。

Access