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前立腺がん、腎臓がんの新しい治療法
ロボット手術の特色

東京大学医科学研究所附属病院

(港区/目黒駅)

最終更新日:2021/01/08

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  • 保険診療

近年、がんをはじめとするさまざまな疾患において、患者の体に負担の少ない、低侵襲治療といわれる手法が主流となりつつある。その一つが腹腔鏡下手術だ。腹腔鏡下で行う手術自体、切開の必要がないなどメリットは多いが、手術用ロボットの登場によってさらに精度と安全性を追求していけるようになってきた。そこで今回は「東京大学医科学研究所附属病院」の高橋さゆり先生に、ロボット支援下手術と他の術式の違い、メリット・デメリットなどを解説してもらった。高橋先生は、東京大学大学院医学系研究科にて前立腺がんの基礎研究に従事し、先進のロボット手術で知られる南カリフォルニア大学でも研鑽を積んできた、泌尿器科領域におけるロボット手術のエキスパートだ。同院の特色についても紹介してもらった。(取材日2020年12月12日)

体の奥深くまで行き届く内視鏡、巧みな動きが可能なロボットアームが前立腺全摘除術の精度向上に大きく貢献

Qロボット支援下手術とはどんな手術なのですか?
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▲穏やかな笑顔が印象的な高橋先生

腹部に1cm弱の穴を開けトロッカーと呼ばれる器具を固定しポートを作成した後、おなかの中に炭酸ガスを入れて膨らませます。これは手術に必要な視野を確保するために行う「気腹」という処置です。鉗子を入れるポートも作成しロボットのアームを接続します。アームに接続されたポートを通してカメラや鉗子類をおなかに挿入します。操作台にいる執刀医が3D映像を見ながら遠隔でロボットをコントロールします。前立腺がんの手術では、腸が邪魔にならないよう頭を約25度下げた状態で手術を行うのが特徴です。この体位では眼圧が上がる可能性がありますので、緑内障の発作などを起こさないよう事前に眼科の診察を行い、リスクを調べておきます。

Q泌尿器科では、どんな症例に対して行われるのでしょうか?
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▲広々とした清潔感のある手術室

最も多いのは前立腺全摘除術です。骨など他の臓器への転移がない「限局性前立腺がん」に対する手術として、ロボット支援下で行う内視鏡手術が保険適用となります。当院では一律に患者さんの年齢で判断せず、全身状態や患者さんご本人の希望などを考慮して治療方針を決定します。腎臓がんに対する腎部分切除術もよく行われます。ロボット手術の登場によって腎臓摘除を回避できる症例が増えました。ただし、腫瘍の部位によっては部分切除が難しいことがあります。また、腎臓全体にがんが広がっているときは、腹腔鏡手術による腎臓摘除によって根治をめざします。その他、浸潤性膀胱がんや骨盤臓器脱の手術、腎盂形成術など保険適用があります。

Qロボット手術を行うメリット・デメリットは何ですか?
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▲定期的に検診を受けることが大事だという

執刀医が直接器具を握るのではないため触覚が得られません。しかしそのデメリット以上に、精度にこだわった手術を行える点が一番のメリットです。腹腔鏡手術では鉗子やハサミの開閉の動きのみで可動に制限がありますが、ロボット手術では手首に相当する関節があり自在に操作できるので、狭いおなかの中でも複雑な動きが可能です。前立腺を摘出した後に行う膀胱と尿道の縫合も、開腹手術に比べより精密に行えるようになりました。また、開腹手術よりも傷が小さく出血も少ないのも特徴です。腎臓の開腹手術では、筋肉を大きく切ることになりますが、ロボット手術ではその必要がありません。術後の回復が早く術後短期間で社会復帰をめざせます。

Qさまざまな機能温存にも一役買っていると伺いました。
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▲4つのアームを使い、より精度の高い動きが可能となった

前立腺は骨盤の奥深くの開腹手術では見えづらい場所にあるのですが、内視鏡はそこまで入り込んで、立体的かつ拡大した映像を得ることができます。腫瘍はもちろん神経や血管もクリアに見えるので、神経を残しながら前立腺を摘除できるケースが格段に増えました。それが術後の失禁や性機能障害の軽減につながっています。腎部分切除術においても、切除・縫合の操作が容易なため、術中に腎臓の血流を一時的に止める阻血の時間が短縮でき、腎機能障害を減らすことにつながっています。腎臓は1つになってしまっても日常生活は送れますが、部分切除術により腎臓を温存できることは大きなメリットです。

Qこちらの泌尿器科で提供している治療の特徴を教えてください。
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▲患者一人ひとりに合った治療を提供している

ロボット手術の熟練技術を有する医師、臨床工学技士、手術室看護師、麻酔科医による専門性の高いチーム医療を実践していることに加え、指導実績のある医師が手術全件の監修に入ることで、安全性と根治性を追求した手術を提供しております。また、私自身が創薬の研究をライフワークとしており、先端の知見を生かした薬物治療も得意とするところです。また、東京大学医学部附属病院と連携しており、各分野のエキスパートが多数集まる合同カンファレンスで新鋭の治療方針を提供しているというのも特色です。前立腺がん、腎臓がんでお困りの方は、まずはご相談ください。

ドクターからのメッセージ

高橋 さゆり先生

前立腺がんは死亡率が低く比較的進行が遅いため放置してよいといった誤った風潮もありますが、一部のがんは急速に進行し、他の臓器に転移し死に至ります。50歳を過ぎたら腫瘍マーカーであるPSA検査を受けましょう。当院は港区前立腺がん検診にも対応しております。がんの疑いがある方には前立腺生検を実施しております。生検は針を刺し組織を取る検査ですが、当院では麻酔科医師による麻酔で痛みを抑え安全性に配慮しながら行います。また、感染と出血のリスクが低い経会陰式を採用し、常に患者さんの満足度を重視しています。その他、がん以外の治療では過活動膀胱に対するボツリヌス毒素製剤膀胱壁内注入療法などにも力を入れております。
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