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進行大腸がんにも腹腔鏡手術が適応
熟練のチーム医療で根治めざす

東京大学医科学研究所附属病院

(港区/目黒駅)

最終更新日:2020/12/29

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男女ともに40歳以上になると増えてくる大腸がん。日本人のがん死亡率第2位とされ、一度かかると治癒が困難な印象を持つ人は少なくない。実際は、リンパ節転移のあるステージ3や、別の臓器に転移したステージ4でも根治をめざせるという。さらに近年、低侵襲の腹腔鏡手術を積極的に行う施設が増加している。しかし「東京大学医科学研究所附属病院」の志田大先生は「一つの術式にこだわらず、患者さんにとって最善の治療を」と語る。志田先生は国立がん研究センター中央病院などで多くの大腸がん手術を手がけ、筆頭著者として書いた複数の論文が国内外の大腸がん治療ガイドラインに引用されるなど、大腸がんの分野で活躍している医師だ。腹腔鏡手術のメリットや適応範囲のほか、同院の強みについても語ってもらった。(取材日2020年11月26日)

習熟度の高い手術チームによる腹腔鏡手術と多職種によるERASで早期回復・早期退院をめざす

Q大腸がんに対する腹腔鏡手術とはどのような手術ですか?
A
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▲大腸がんの腹腔鏡手術を専門とする志田先生

日本では2000年頃から普及し始めた術式で、2009年の大腸がん治療ガイドラインにおいて、進行がんに対しても条件つきで適応、つまり「習熟度を十分に考慮して適応を決定」と明言されました。具体的な方法については、まず炭酸ガスをおなかに注入して膨らませ、手術を行うスペースをつくります。そして腹部に小さな穴を数ヵ所開けて、そこからカメラや鉗子と呼ばれる器具を入れて手術を行います。術者はモニターに映し出された腹腔内の映像を見ながら、がんを切除していきます。おなかを切開して行う開腹手術とアプローチの仕方は異なるものの、腫瘍のある腸管を切除して、残った腸管を縫合してつなぐ、という一連の流れは変わりません。

Q腹腔鏡手術のメリットは何ですか?
A
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▲患者の体への負担を少ない治療を心がける

一番のメリットは傷が小さくて済むことです。開腹手術ではおなかを20~30cmほど切開する必要がありますが、腹腔鏡手術では1~3cmほどの小さな穴を4~5ヵ所開けるだけ。術後の見た目が大きく異なり、傷痕を気にされる方にお勧めです。傷が小さいことで術後の癒着が起こりにくいのも大きな利点ですね。癒着は、将来的に腸閉塞が起こるリスクになります。実際、腹部の手術をした人が腸閉塞のために入院治療や、場合によっては手術が必要になる方もいます。術後の腸閉塞は外科医にとって今後克服すべき課題のひとつ。それが腹腔鏡手術だとそのリスクを抑えられるというのは、医学的メリットといえます。

Q体の負担が少ないということは、入院期間も短くなりますか?
A
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▲手術室の様子。感染対策も徹底している

基本的に、開腹手術も腹腔鏡手術も術後7日をめどに退院できて、退院後の生活にも違いはありません。異なるのは立ち上がりの早さですね。開腹手術は傷口が大きい分、術後2~3日は歩くのが大変ですが、腹腔鏡手術を受けた患者さんは翌日でもそこまで無理なく歩いて、ERAS(イーラス)が推奨する術後早期離床につなげられる方が多いです。ERASとは、術前から術後までに行う早期回復をめざすプログラムであり、当院が力を入れている取り組みの一つです。早期離床、絶飲食期間の短縮といった20近い項目を、執刀医、麻酔科医、看護師、薬剤師、栄養士ら多職種が実践することで、術後の早期回復、早期退院、早期社会復帰につなげています。

Q腹腔鏡手術を採用するための基準はありますか?
A
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▲患者の力になりたいという思いで日々診療にあたる

大腸がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の長期成績の比較で、開腹手術も腹腔鏡手術も治療成績はほぼ同等ということがわかってきました。ただし肥満や腹腔内に癒着の見られる症例では、個々の手術チームの習熟度を十分に考慮して適応を決定すべきです。また局所進行がんや、膀胱や子宮など他の臓器も一緒に取るべき症例などは、無理に腹腔鏡で手術を進めることがかえって患者さんの負担になることも考えられます。当院では、基本的には低侵襲の腹腔鏡手術を採用していますが、あくまで「がんを治癒できる可能性の高い術式」にこだわり、医学的状況に応じては開腹手術で行うというスタンスを貫いています。

Q先生方が心がけていることはありますか?
A
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▲術前から術後までチーム一丸となって取り組んでいる

病気の治療についてわかりやすく説明して、理解してもらい、一緒に病気に立ち向かうことを心がけています。手術では、転移の可能性がある領域を大腸20~30cmとともに丸ごと切除します。そう聞くと大半の患者さんが心配されますが、どの領域のリンパ節に転移している可能性があるかは、過去の膨大なデータから導き出すことができます。また、大腸は水分などの吸収以外に大きな働きがないため、それだけ切除しても生活に大きな支障が出ることはないとされます。このように患者さんには事前にしっかりと説明をして、ご納得いただけるよう努めています。あとはやっぱり笑顔ですね。スタッフ一同、笑顔で診療にあたることを大切にしています。

ドクターからのメッセージ

志田 大先生

手術において大事なことは、出血が起きたり、予期せぬくらいがんが広がっていたり、イレギュラーが起こったときにどう対処するか。つまり問題解決能力です。その点、私は国立がん研究センター時代から数多くの手術を経験し、不測の事態を何度も切り抜けてきました。また、大腸がんの治療ガイドラインを自分が書き換えるつもりで、常に知識をアップデートしており、何かあったときの「引き出しの豊富さ」を自負しています。ご紹介いただいた患者さんは、必ず紹介の翌日に私が診察をし、私が責任術者として手術に入り、術後の方針も私が責任を持って、他のメンバーと決めていきます。ですから、安心して当院にご相談いただきたいと思います。

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