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小川 仁史 院長の独自取材記事

小川医院

(品川区/中延駅)

最終更新日:2024/01/17

小川仁史院長 小川医院 main

中延駅、荏原町駅、馬込駅の3駅からいずれも徒歩5〜8分圏内にある「小川医院」は、1948年に開業した歴史あるクリニックだ。2016年より3代目院長を務める小川仁史先生は、地域の人々から厚い信頼を集める祖父、父の背中を見て育ち、医学の道へ。13年間にわたって聖マリアンナ医科大学でリウマチ・膠原病・アレルギー疾患の研究や治療に取り組んできた。新型コロナウイルス感染症の流行下では、易感染性の高い関節リウマチ・膠原病患者や高齢者を守りつつ、発熱専門の外来を設置して地域医療を支えた。超高齢社会に備えて訪問診療や看取りにも取り組むなど、地域住民の健康を支える小川院長に、同院の特徴や診療方針、専門のリウマチ治療について聞いた。

(取材日2023年10月4日)

75年にわたりプライマリケアの要として役割を果たす

こちらは、とても歴史のあるクリニックとのことですね。

小川仁史院長 小川医院1

1948年に内科医師であった祖父が薬剤師の祖母とともに開業しました。当院のすぐ後ろが祖母の実家で、祖母の父親も薬剤師だったそうです。院内は2度ほどリニューアルをしています。私は3代目ですが、物心ついた頃には、将来は医師になるものだと思っていたので他の職業を考えたことはなく、ごく自然に医師になっていたという感じです。大学病院では、リウマチ・膠原病・アレルギー疾患の診療を13年間行い、2012年に当院の副院長に、2016年からは院長に就任しました。当初は父と二診制でしたが、新型コロナウイルス感染症が流行し、父も高齢で感染が心配ですので、私が1人で診療することが増えました。

新型コロナウイルス感染症の影響が大きかったのですね。

はい。当初から、発熱専門の外来を設けて対応を行い、5類感染症になってからも、外来で対応しています。高齢者や関節リウマチ・膠原病で生物学的製剤等を使って免疫の抑制を図っている患者さんなど、易感染性の高い方が多いので、慎重に感染症対策を心がけてきました。待合室の座る向きや換気も工夫し、超音波検査室を隔離室として利用しています。幸いクラスターも起こらず、かかりつけの患者さんも、感染症の患者さんも多く診ることができる体制になっています。近年、このエリアはファミリー向けマンションが増え、当院も若い世代や子育て世代の患者さんが増加しましたので、ネット予約システムを導入しました。しかし現在は、感染症対策の面から電話予約と併用して、発熱の有無などを確認するようにしています。

普段はどのような患者さんが多いのですか。

小川仁史院長 小川医院2

子どもから高齢の方までの一般的な内科、生活習慣病、そして、私の専門のリウマチや膠原病の患者さんですね。75年も診療していますから「医者といえば小川医院。とりあえず来ました」とおっしゃる方が多いのです。地域住民の健康管理を引き受けるプライマリケアの要として「とりあえず小川医院に行けば大丈夫」と言ってもらえる存在でありたいと思っています。また、生活習慣病や、リウマチ・膠原病などは薬を飲めばすぐに治ることが望めるという病気ではありません。一生うまく付き合っていかなければならない病気ですから、患者さんとよく話し合って、めざすゴールを設定し、そこに向かって一緒に治療をしていくことがかかりつけ医の大事な役割と考えています。そして専門的な治療が必要な場合は、大学病院など大規模な医療施設に速やかに紹介できるよう連携体制も整えています。

関節リウマチや膠原病に高い専門性を生かした診療を

診療方針について聞かせてください。

小川仁史院長 小川医院3

「何かあったらとりあえず小川医院へ」と言っていただけるように幅広い診療をしながらも、私の専門であるリウマチ・膠原病治療といったエキスパート性も高めていきたいと思っています。基本的に「医師が病気を治す」のではなく、治すのは患者さんご自身で、私はそのお手伝いをさせていただいていると思っています。そして、患者さんが何を求めているかを正しく理解した上で、治療をすることを大切にしています。もちろん、患者さんの求めるものが間違っていれば、訂正してしっかりと話をします。患者さんとよく話し合って相談しながら、治療方針やゴールを決めていく。これが私の診療方針です。また新型コロナウイルス感染症の流行を経て、患者さんに正しい情報を伝え、よく理解してもらうこと、正しい啓発の重要性をより一層感じています。

リウマチ・膠原病についてはどのような診療を行っていますか。

開業後も大学で先端の治療法などを学び、専門性を生かして、関節リウマチや膠原病については大学病院と同様の治療を提供できるように尽力しています。関節リウマチは生物学的製剤という薬によって、関節の変形を起こさせない治療が期待できるようになり、さらに最近は低分子標的製剤などもできて、治療の幅が広がっていますし、点滴だけでなく、自身で注射できるタイプの薬剤や内服薬も登場しています。治療の選択肢が増えることで、患者さんがかなり病気のコントロールを図れるようになってきていると思います。ただ、まだ歴史の浅い治療なので、薬は慎重に使う必要があります。例えば、免疫を抑制し過ぎると、結核や、低免疫の人がかかりやすいニューモシスチス肺炎などを起こすこともありますからね。多くの診療経験から、専門家でないとわからないコツも会得しているところが、私の強みかなと思っています。

専門的な治療が受けられるのですね。

小川仁史院長 小川医院4

大学病院から症状が落ち着いている患者さんを紹介されることも多いですし、最近はホームページなどを見て、専門的な治療を受けたいと直接来られる患者さんも増えました。また、大学病院で治療を受けている方が、ちょっと体調が悪いときなどの相談に乗ることもできます。風邪でわざわざ大学病院に行くのは患者さんの負担が大きいですからね。昭和大学などと連携体制も取っていますので、小回りの利くクリニックとして利用していただければと思います。また膠原病の治療ではステロイド剤を使うことが多く、ステロイド性の骨粗しょう症が起きやすいことから、DEXA法による骨密度検査を導入しており、高齢の方の骨折予防にも活用しています。

超高齢社会に備えて、地域の看取りを担う体制へ

今後の展望について聞かせてください。

小川仁史院長 小川医院5

このエリアも高齢化が進み、独居の高齢者や、老老介護が増えています。当院でも、徒歩圏内のかかりつけ患者さんへの訪問診療を行い、自宅や近隣の高齢者施設で看取りに対応できるようにしています。今後はさらに高齢者が増加して、終末期医療を受けられる医療機関が不足する事態もあり得ると思います。すると当院のような町のクリニックが、訪問診療や高齢者施設での看取りをすることが求められるでしょう。すべての医療機関が看取りに対応できるとは限らないので、当院のようなクリニックが頑張っていくべきだと使命を感じています。超高齢社会に備えて、地域のクリニックとしてできることを考えていきたいですね。またリウマチや膠原病診療にもさらに注力したいので、専門の外来の設置も考えていますが、しばらくは感染症の方とかかりつけの易感染性の方の両方を安全に診ていくことに徹していきます。

専門の立場から気になることなどはありますか。

新型コロナウイルス感染症の流行で感じたのは、正しい情報提供や、啓発が大切ということです。重症化することもありますから、特にハイリスクの方やそのご家族は自制して感染予防を続けていただく必要があります。とは言え、家にこもることはできないので、要は3密を避けて風邪をひいたと思ったら早めに受診してほしいですね。ただし、感染初日では検査結果が出ないので、発症後24時間から48時間後ぐらいまでの間に受診してもらって、感染しているかどうかの検査を受けることが大切だと思います。適切な時期に受診してもらいたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

小川仁史院長 小川医院6

当院は小さいお子さんからお年寄りまで、家族で通っていただけるファミリークリニックです。風邪などの急性期の症状から生活習慣病まで、幅広く対応する総合内科に加え、リウマチ・膠原病に対して専門性の高い医療を提供しています。小児科では予防接種にも力を入れています。より専門的な治療が必要であれば、地域の適切な医療機関にご紹介します。医師として、目の届く範囲の地域の皆さんの健康を守れるように、気軽に来られてなんでも安心して相談していただけるクリニックとして、さらに頑張っていきたいと思います。リウマチ・膠原病も、看取りも対応できるクリニックは少ないでしょうからね。お困りの方はどうぞご相談ください。

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