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板橋 家頭夫 院長の独自取材記事

昭和大学病院

(品川区/旗の台駅)

最終更新日:2019/08/28

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旗の台駅から徒歩5分の場所にある「昭和大学病院」は、815床の病床を有し、高度医療の提供を主な目的とする特定機能病院の役割を担っている。1928年に開院した同病院を2016年4月から率いるのは、同大学の卒業生でもある板橋家頭夫院長。新生児集中治療を中心に周産期母子医療などに尽力してきた板橋院長は、同院に子ども夜間救急室も開設するなど、小児分野で改革を主導してきた。とても優しい笑顔とユーモアを交えた語り口が印象的な板橋院長に、「大学病院は非日常」と話す理由や同院が重視している地域連携などについて聞いた。
(取材日2016年6月2日)

「非日常」な存在であることで大学病院の役割を果たす

同院の歴史と特長を教えてください。

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1928年に昭和医学専門学校の附属病院としてスタートした昭和大学病院は、まもなく開院90年になります。この間、専門学校は薬学部を開設して昭和大学となり、その後歯学部、そして保健医療学部を開設し医系総合大学として現在の昭和大学となりました。同院は、特定の診療科目に重きを置くのではなく、あらゆる科を設けています。その理由は、地域全体で医療を完結させることを目標としているから。そのため、地域の医療機関との連携に力を入れていることが特長です。大学で導入した新しい高度医療の紹介や地域の課題提供を行うクリニカルセミナーを年1回実施したり、各診療科の医師が地域の医師会に顔を出したりしながら、近隣の医療機関との連携を強化しています。

地域連携を実現するためには、顔を知ることも大事ということですね。

とても大事ですね。大学病院が患者さんに地域のクリニックを紹介することを逆紹介といいますが、逆紹介をすると患者さんは放り出されたような気持ちになることがあります。でも、「このクリニックの先生を私も知っていましてね」と言った上で逆紹介すれば、患者さんも少しは安心してくれるでしょう。患者さんには身近な場所にかかりつけ医を見つけ、日常生活の中で診療を受けてもらうことが大事なのです。それは、患者さんのためにもなりますし、難しい病気やがんなど専門的な治療を行う大学病院が本来の役割を果たすためにも大切なこと。大学病院はあくまでも「非日常」なのです。

同院で大切にしている理念について教えてください。

2

「患者さん本位の医療」「高度な医療の推進」「医療人の育成」という既存の3つの理念に加え、2016年は「プロフェッショナリズム」を掲げています。これは1年で達成できるものではありませんが、本当のプロフェッショナリズムとは何かを考える機会となればと思っています。単に高い医療スキルだけでなく、また「病気」ではなく「患者さん」を診る姿勢、安全な医療を提供するための信念を持たねばプロフェッショナルとはいえません。例えば、院内で耐性菌が出ることは大問題。早急に取り組む必要があります。その過程では、現場と感染管理の担当者が時にはけんか腰になることもあるでしょうが、大事なのは「患者さんの安全のために取り組んでいる」という目的を共有しながら努力すること。その目的のために惜しみない努力を続けることができるかどうかもプロフェッショナルの要件だと考えています。

職種間を超えた連携が強み

幅広い科がある中で、需要が高まっている診療科目はありますか?

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乳腺外科や婦人科に来院する患者さんは増えていますね。早期に発見できれば、治癒率が格段に高まりますので良い傾向だと思います。また、女性外科病棟を有する点も安心材料になっているのでしょう。産婦人科として一括するのではなく、産科病棟と分けて女性外科病棟が存在することは、患者さんにとってメリットがあると感じています。

院長のご経歴を教えてください。

本学を卒業後に大学病院に勤務した後、一度退職してさいたま市立病院の周産期母子医療センターや埼玉医科大学総合医療センターの総合周産期母子医療センター新生児部門の立ち上げに携わりました。その後昭和大学横浜市北部病院小児科を経て再び当院に戻ってからは、品川区子ども夜間救急室の設置に尽力しました。地元の夜間診療所ではなく、当院に直接来院していただくことができるものです。すでに近隣の他大学が開設していたものを見習わせていただいたのですが、新しいものを作り出すのは大変な一方、達成感があるから好きですね。自分一人ではできないので周りに相談しながら進めるのも楽しい。本院も、この病院のことを好きな人たちが「こうなればいいな」と思いながら新しいことを展開しできるような組織にしたいと願っています。

昭和大学のご出身ということですが、同大学および同院のいい点はどんな時に感じられますか?

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横の連携があり、職種間の壁が低いと感じます。昭和大学に入学したすべての1年生が1年間過ごす寮生活も、よい影響を与えているのかもしれません。病院は患者を中心に多職種が連携して診療する所ですから、お互いをリスペクトすることは非常に大事。お互いに意見を言い合えるようになると、時に医師は痛いところを突かれたと感じることもあるでしょうが、医師にそれを指摘する職員にだって勇気が必要。患者さんから「医師によって、あるいは医師と看護師で言うことが違う」と言われてしまうのは良くない。それは患者さんを不安にさせていることになりますからね。ですから、スタッフがディスカッションできる雰囲気作りが大切なのです。患者さんが残念ながら亡くなったり障害を残して退院したりすることになっても、「この病院に入院あるいは通院して良かった」と思っていただけるような病院にするためにも、スタッフは連携していかねばなりません。

すべては患者のため、安全な医療に全力を尽くす

院長が医師をめざした理由をお聞かせください。

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能登半島のへんぴな町で銀行員の父と豆腐屋を自営する母のもとで育った私は、小さい頃から本が好きでした。母のリヤカーに乗せてもらって一緒に豆腐を売りに行っていたのですが、本屋の前を通るたびに絵本を買ってもらえるのが楽しみでした。小学校の頃は、毎晩7時頃には布団に入って文学全集を読んでいました。だから大学も文学部を受けたのですが、当時は医学部ブームということもあり、昭和大学も受けてみたんです。そうしたら合格した上に、学費も安かったので医学部に入ることにしました(笑)。現在の専門の新生児集中治療が好きになったのは、2年目になって新生児の処置が上手にできるようになってから。小さく生まれた赤ちゃんを、お母さんや看護師と協力しながら一緒に育てていくプロセスがとても好きです。全員に元気に退院してもらえるわけではないのですが、患者さんがスタッフに「ありがとうございます」と言っている姿を見るのがうれしいです。

一人のドクターとして、治療ではどのようなことを大切にしていますか?

万が一、赤ちゃんに障害があった時、お母さんやお父さんにどう寄り添うかを常に考えています。最初はお母さんも現実を受け入れがたいのですが、だんだんと受け入れてくれるようになります。そうなるまでは、できるだけ話を聞いてあげるように心がけています。「こうしなさい」と言うのではなく、ストレスのはけ口になってあげたいと思っています。また、最近は日本の赤ちゃんの平均体重が下がっているのですが、小さく生まれた子は糖尿病など生活習慣病のリスクが高いという傾向がみられます。今も外来の診察を担当していますが、お子さんのフォローアップを続けていくことも大切にしていきたいと思っています。

最後に、院長としての今後の展望をお聞かせください。

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患者さんに安全な医療を提供するためには、厚生労働省が課す特定機能病院の新たな承認要件をクリアする方法を検討せねばならないなど、プレッシャーは感じています。また、無駄のない経営をして収益を確保することも、名実ともに質の高い医療を提供する大学病院として生き残っていくために大事なことだと考えています。こうした課題を解決するためには、多くの話し合いが必要になりますが、最終的には患者さんのためという意識を忘れずに「目標を明確にして、計画を実行し、その評価をきちんと行う」といったプロセスをしっかり実行していきます。また、これまで以上に院長のガバナンスが求められている時期です。「安心で安全な医療」を提供すべく、目に見える形でガバナンスを発揮するとともに、職員全員で協力しできる限りの努力をしていきます。

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