歯を残すために
歯科用CTとマイクロスコープを用いた根管治療
武内歯科医院
(横浜市磯子区/磯子駅)
最終更新日:2024/01/23
- 自由診療
最大20倍となる視野を明るい状態で確認し、肉眼では見えにくい部分まで精密に処置していくために有用な歯科用マイクロスコープと、複雑な歯根の形態を三次元的に把握することのできる歯科用CT。歯科治療の中でも特に精密さが求められる根管治療において、その特徴を発揮する頼れる存在だ。「患者さんの中には『マイクロスコープさえ使えば何でも治る』と勘違いされる方もいらっしゃいますが、あくまで視野を拡大するための道具の一つ。ただし、上手に活用することで、根管治療の精度を向上させていくことは望めます」と語るのは、長年マイクロスコープを根管治療をはじめとするさまざまな歯科診療に活用してきた「武内歯科医院」の武内清隆院長。今回、マイクロスコープと歯科用CTを用いた根管治療について解説してもらった。
(取材日2023年12月5日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q根管治療とはどのようなものなのでしょうか?
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A
根管治療は歯内療法とも呼ばれ、深くまで進行した虫歯や外傷などによって、歯の根の中にある歯髄の炎症や感染が起こった場合に行う治療のことです。歯髄の炎症や感染を放置してしまうと、歯の痛みや歯肉の腫れが起こったり、炎症が周囲の組織にも広がったりして、歯を失ってしまう場合もあります。以前は「悪い歯は抜くべき」という考え方が浸透していた時期もありましたが、現在では「残せる歯は残すべき」というのが、歯科医療の主流の考え方です。根管治療により、歯の根の中の細菌をできる限り除去することをめざし、新たに根管内に細菌が侵入することを防ぐための処置を行うことで、ご自身の歯が長く保てるようにめざしていくのです。
- Qマイクロスコープを導入しようと考えた経緯は何ですか?
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A
マイクロスコープを用いることで、肉眼では見ることができない歯や口腔内のとても細かな部分まで実際に見て確認することが可能となります。「歯科治療は精度がすべて」と言っても過言ではなく、マイクロスコープを導入する前から当院では歯科用ルーペを用いるなどして精密に治療していくことを心がけてきました。マイクロスコープであれば、視野を最大20倍まで拡大し、かつ明るくして見ることができます。肉眼では見えないような歯の凹凸や補綴物と歯の隙間、細い根管の奥まで実際に見ながら処置を施すことができるのです。
- Qどのような場面にマイクロスコープを用いていますか?
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A
当院では根管治療を中心に、虫歯治療や審美歯科から口腔外科、インプラント治療などさまざまな場面でマイクロスコープを活用します。マイクロスコープにはCCDカメラが搭載されていますので、患部の状態を撮影し、動画や画像をモニターに映し出して、患者さんと一緒に確認しながら治療を進めたり、ご説明をしたりできます。とはいえ、マイクロスコープさえ使えばどんな症状も直ちに治療できるという機器なわけではありません。その力を盲信することなく、眼鏡と同様に「見る道具」としてのマイクロスコープを上手に活用することで、治療の精密性を高めていき、再発防止につなげることがめざせるのです。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1精密な検査と診断
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エックス線検査と歯科用CTを用いて口腔内の状態を確認し、歯髄が汚染されて、神経が死んだ状態の歯が見つかった場合、根管治療が必要と判断。患部が絞られたら、マイクロスコープを用いて精密に状態を確認して、治療計画を立てていく。
- 2治療計画の説明
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診断に基づいて立てた、今後の治療計画を患者に伝える。同院では、エックス線やCTによる画像、マイクロスコープに搭載されたカメラで撮影した画像、動画などを見せながら説明することで、患部の状態や治療の流れなどを患者が理解しやすいように工夫しているとのこと。ビジュアルで患部の状態を確認することで、治療の必要性をより深く実感できることも多いと考えられ、治療に対する納得感につなげていくのだという。
- 3マイクロスコープとラバーダムを用いた根管治療
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細菌感染を防ぐために、根管治療ではすべての症例においてラバーダムを使用。ラバーダムとは薄いゴム製のシートのことで、穴を開けて治療をする歯にかぶせて術野を見やすくすると同時に、唾液などの細菌が患部に侵入するのを防ぐ目的で使われる。この後に、マイクロスコープを用いて患部を確認しながら、歯髄の除去を図り、根管を消毒していく。同院では通常、視野を広く保つために10倍程度の拡大倍率で作業を行うとのこと。
- 4薬剤と詰め物を詰める
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マイクロスコープで確認しながら歯髄を取っていき、薬剤を使って洗浄と消毒を行う。歯の根の先まで薬を充填した状態で仮詰めして数日置き、消毒が完了したら樹脂などを根の先まで緊密に詰め込んで根管治療は完了する。充填物を隙間なく詰め込むことで新たな細菌の侵入を防いでいくそうだ。一度の作業時間は通常1時間から1時間半程度。仮詰めの状態で放置することは非常に危険なので、指示に従って受診をするようにしよう。
- 5定期的なメンテナンスで口腔の健康を維持
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根管治療終了後は、かぶせ物を装着する補綴治療を行う。治療後は、3〜4ヵ月から半年に1回程度の間隔で、定期的な検診とメンテナンスが必要。かみ合わせでかぶせ物が壊れることもあるので、その確認も検診で行う。同院では、歯周治療やバイオフィルムの除去に加えて、かみ合わせのチェックも行い、トータルな口腔の健康を維持することをめざしているという。
自由診療費用の目安
自由診療とはマイクロスコープを用いた根管治療/3万円~、セラミック/9万9000円~、ジルコニア/12万円~、インプラント/49万7500円~(税込)
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。