小早川潔院長の独自取材記事

鹿沼台こばやかわ歯科

(相模原市中央区／淵野辺駅)

最終更新日：2025/10/31

鹿沼公園のそばに立つビルの1階で、白とブルーグリーンの清潔な空間が患者を迎える「鹿沼台こばやかわ歯科」。小早川潔院長は座間での長年の診療経験を経て、2025年にこの鹿沼台の地で新たなスタートを切った。「患者さんの表情をよく見て、納得されているか確認しながら説明するようにしています」と穏やかに語る小早川院長。遠く座間から通い続ける患者がいることからも、その誠実な診療姿勢がうかがえる。保険診療を基本に据え、押しつけのない患者中心の診療を心がけながら、メンテナンスを通じた予防歯科へとかじを切る。移転を機に診療を見直し、新たな挑戦を始めた小早川院長に、診療への思いや今後の展望について話を聞いた。

（取材日2025年10月9日）

患者との絆を守り、新天地で再出発
保険診療を基本に、押しつけない治療を
地域の口腔の健康を長く支える存在に

患者との絆を守り、新天地で再出発

座間から鹿沼台への移転開業を決意された経緯を教えてください。

座間で長く開業医として診療を続けていましたが、正直なところ一人で同じようなことをずっと続けてきていたので、前に進む必要があるだろうなという思いがありました。そんな気持ちを持ち続けていたものの、変化を嫌うところもあってなかなか腰が重くて。しかし建物の老朽化の問題もあり、これ以上継続するのは難しいと切羽詰まった状況になったんです。そこで、「今しかない！」と、自分がめざす診療をしたいという思いで移転を決意しました。ありがたいことに、座間からも、今なお通ってくださっている患者さんもいらっしゃいます。移転初日に、だいぶ離れた場所なのにわざわざ電話をくれて来院してくださった方もいました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

他院での勤務経験から学んだことはありますか？

開業後も他の歯科医院で働いていた時期があり、いろんな歯科医院の診療スタイルを見る機会に恵まれました。技術的なことは自分一人でやっていた内容と大きく変わらなかったのですが、歯科医院の運営や経営面では学ぶことが多かったですね。特にメンテナンス中心の診療に移行していく重要性に気づきました。一度治療して終わりではなく、その状態を維持していくことの大切さを実感したんです。患者説明ツールの必要性も感じ、今回はタブレットを使った説明システムを導入しています。口腔内写真やエックス線をすぐに見せながら説明できるようになりました。患者さんもどういう状態なのか、どんな治療をしていくのかなど、興味を持って見てくださっています。

こちらのクリニックの特徴や強みを教えてください。

私も年齢を重ねましたから、無理に大きくなろうという気がないところが逆に強みだと思っています。本当に必要なことをお話しして、それをただ実直にやっていく。だからこそ、患者さんに合わせた適切な治療を提供できます。設備は必要十分な物を選び、診療台も機能と価格のバランスを考えて導入しました。内装は清潔感と居心地の良さを大切に、明るいブルーグリーンを取り入れています。前の歯科医院でメンテナンスを続けていた方が多く来院されているのも特徴です。比較的デンタルIQの高い方が多い印象ですね。しっかり時間を取って診療できる環境なので、一人ひとりの患者さんと向き合えることが何よりの強みです。

保険診療を基本に、押しつけない治療を

診療で大切にされていることを教えてください。

基本的には患者さんの話をしっかり聞いて理解することを最も大切にしています。こちらの思いを押しつけるのではなく、患者さんが何を求めているのかを問診などでできる限り把握し、それに近い治療を提供するよう心がけています。説明の際は表情をよく見て、納得された時とそうでない時の表情の違いを見極めるようにしています。また、口腔内の状態がかなり崩壊してしまった方でも決して怒ったりしません。受診するというのは、そもそも勇気を伴うことだと思うので、来てくれたことにまずはよく来てくれましたねと伝えたいです。そして、もしそういった方の口腔機能を治療し、喜んでいただけたとしたら、この仕事をやって良かったと心から思うでしょう。当院を訪れた患者さんが優しいと言ってくださることもあります。安心して通えるクリニックでありたいと思っています。

保険診療を基本とされている理由をお聞かせください。

「歯を治療する」ということに関しては、保険診療で十分だと考えています。自由診療を否定するわけではありませんが、押しつけは良くないと思っています。基本は保険診療で、自由診療は希望される方にだけという方針です。ホームページやチラシにも「保険診療で治療いたします」としっかり書いています。これは、ハードルを下げたいという思いもあります。歯科医院に行くのはハードルが高いと感じる方も多いと思いますが、口腔に関することであれば、どのようなお悩みでも相談に乗ります。気軽に来ていただきたいですね。保険診療でも自由診療でも、すべての治療に対し当院でできる最善を尽くすことに変わりはありません。

メンテナンス中心の予防歯科について教えてください。

一度治療したものを維持することの重要性を強く感じています。削って埋めたらいいという考えの方もまだ多いなと感じるのですが、口腔内の健康が体全体の健康に直結していることをもっと知ってもらいたいんです。歯周病も自覚のない病気で、見落とされたり軽視されたりする傾向があります。チラシには「歯を残すための治療」「残った歯を守るための治療」「歯ぐきを守るための治療」といったことを書いています。これは現状を治療して健康を維持するという歯科の基本です。座間では高齢の方が多く義歯の治療が中心でしたが、こちらの地域はメンテナンス中心にしやすい環境だと感じています。歯科医師としてはやはり、診療を通して患者さんの健康維持に貢献できることが重要です。今後はこの方向性を確立していきたいと思っています。

地域の口腔の健康を長く支える存在に

口腔機能低下症への取り組みについてお聞かせください。

高齢の方が増えてきて、口腔機能が低下している方が増えているというのはよくいわれています。舌の機能が落ちたり、唾液が出なくなったりといった症状があります。これらに対してはリハビリテーションで改善を図る必要があります。今まであまり取り扱っていなかったのですが、移転を機に少しずつ取り入れていこうと考えています。現在診ている患者さんが将来的に必要になる可能性もありますし、既に必要な方も来るかもしれません。できれば訪問診療も始めたいと思っています。大きな施設は難しいでしょうが、近所の個人宅で需要があれば対応していきたいですね。訪問診療をやる場合においては、口腔機能低下症の治療は必須になってくると思います。

今後の展望と地域への思いをお聞かせください。

トータルで地域の方の口腔の健康に貢献できるような歯科医院でありたいと思っています。どこまでできるかわかりませんが、できるだけ長く根づいて貢献していきたいですね。特別な宣伝活動は考えていません。来られる方はこの地域の方だと思うので、そういった方の情報をしっかり入手して、できるだけ深く関わっていきたい。そして、その方々のクチコミで少しずつ輪を広めていければと思います。ハードな治療よりも、治療したものを維持する方向性を確立したいですね。患者さんの10年後、20年後を見据えた人生設計をサポートする診療を心がけています。地域の皆さんの口腔と全身の健康を守っていければと考えています。

読者へのメッセージをお願いします。

口腔に関することであれば、どのようなお悩みでも大丈夫です。歯科医院に行くのはハードルが高いと思われるかもしれませんが、どんなお悩みでもご相談に乗ります。気軽にご連絡ください。口腔内がひどい状態でも怒りませんし、絶対にこれでなければいけないという押しつけはしません。患者さんに合わせた治療をできるだけしていきます。JR横浜線淵野辺駅から徒歩3分、鹿沼公園のすぐそばというわかりやすい場所にあります。お困りのことがあればぜひいらしてください。少しでも気持ちが楽になった、心が軽くなったと思ってもらえるよう、これからも地域の皆さんの口腔の健康を支えていきたいと思います。