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豊田 寛朗 院長、豊田 河清 先生、藤田 絢美 先生の独自取材記事

黄河歯科医院

(横浜市瀬谷区/三ツ境駅)

最終更新日:2024/03/22

豊田寛朗院長、豊田河清先生、藤田絢美先生 黄河歯科医院 main

相鉄本線の三ツ境駅南口から徒歩約5分の「黄河歯科医院」は、豊田河清(とよだ・かせい)先生が1980年に開院し、長きにわたり地域の歯科医療を支えてきたクリニックだ。現在は、息子の豊田寛朗(ひろあき)先生が院長を務め、娘の藤田絢美先生と3人で診療にあたっている。入れ歯や補綴治療を得意とし、歯科治療の先にある日々の喜びにも目を向ける河清先生、歯周病専門で難症例にも対応する寛朗院長、そして自身の子育て経験を生かし、0歳からの口腔ケアに力を入れる絢美先生。それぞれが知識と技術を持ち、共通の理念である「食べることは生きること」のもと、何よりも患者とのコミュニケーションを大事にした診療に努めている。河清先生が制作した切り絵アートが飾られた温かな雰囲気の院内で、朗らかな笑顔が印象的な3人に話を聞いた。

(取材日2023年11月6日)

高齢者から小児まで「治す」を超えた診療の提供を

1980年の開院から、40年を超えて診療を続けていらっしゃるのですね。

豊田寛朗院長、豊田河清先生、藤田絢美先生 黄河歯科医院1

【河清先生】当院には長く通ってくださっている患者さんが多く、30年以上通い続けてくださる患者さんもいます。初診で来られる方も高齢者が多いのですが、「こんなに先生とお話ししたのは初めてです」と言われることもあります。当院は何か特別な治療をしているわけではありませんが、よくその人の話を聞き、気持ちを理解して、その人に合った治療に努めているということで、通ってくださっているのだと思います。
【寛朗院長】僕は2013年から当院で診療に携わっています。歯周病を専門としており、最近はホームページを見て歯周病を診てほしいという30代~50代の患者さんも増えてきました。見過ごされやすい歯周病の治療にしっかりと取り組み、重症化する前に食い止めていきたいですし、重症化してしまった場合でもしっかりと対応し、可能な限り噛める歯を残せるよう治療を行っていきたいです。

院長と絢美先生はそれぞれどのような診療に注力していらっしゃるのでしょうか。

【寛朗院長】大学病院勤務時代に携わってきた歯周病治療で、専門性とスキルを生かした診療に注力しています。入れ歯やかぶせ物では父の技術を学びつつ、また患者さんとの向き合い方も引き継いでいきたいですね。長く通ってくださる方が多いので、信頼関係を築くことが大事ですし、患者さんが考えていることを理解し共感できること、話しやすい雰囲気つくることを引き続き大事にしたいと思っています。
【絢美先生】自分の子どもと仲の良いお友達を中心に始めた口腔ケアですが、今は月に3回診療しています。子どもだけの診療日と時間帯を設けていて、他の患者さんを気にせず受診できるので、気楽にいらしてほしいですね。永久歯へ生え替わる時期にお口の環境を良い状態にできるよう、一人ひとりに合わせた口腔ケアに努めています。

こちらの診療方針を教えてください。

豊田寛朗院長、豊田河清先生、藤田絢美先生 黄河歯科医院2

【河清先生】昔は、治療というのは治せば良いと思っていました。入れ歯で噛めて、飲み込んで、食事ができているかどうか、以前はそれを確認するまでには至っていなかったんですね。今は患者さんが「食べられているか」「食に喜びを感じているか」というところまで管理しています。それが歯科医療の本質だということがわかってきたんですね。入れ歯でも、何かちょっと違和感があるけれども、患者さんが言葉でうまく伝えられていないと感じることがあれば、それをこちらが感じて、察して、削る、調整するよう心がけています。がんの緩和ケアで、患者さんに寄り添うことが大事だといわれますよね。私たちは歯を治療することによって、患者さんに寄り添い、声を聞いてあげることができるのだと思います。

健康な口腔づくりを通じて、健康寿命の延伸をサポート

訪問診療にも力を入れていらっしゃいますね。

豊田寛朗院長、豊田河清先生、藤田絢美先生 黄河歯科医院3

【河清先生】外来診療で診療に満足できなければ、患者さんは以降の受診を取りやめるなど対処ができます。しかし、在宅で医療を受けている患者さんの中には、処置が痛かった時、違和感があった時、それをうまく言語化できない方もいます。合わない入れ歯を我慢して半年間以上使い続けていたというケースもあり得ます。よく噛めない状況が続くと認知力の低下にもつながります。ご家族や関わる介護スタッフも含めてしっかり連携を取り、互いになんでも言い合える関係をつくることが重要です。
【寛朗院長】地域の高齢化も進み、医療・介護に関わる多職種の連携は今後も欠かせません。われわれも瀬谷区歯科医師会とともに医師、薬剤師、ケアマネジャーの方との顔の見える関係づくりに力を入れています。普段から関係を構築しておくことで情報共有をスムーズにし、それが最終的に良質な医療・介護の提供という患者さんのメリットにつながると感じています。

訪問診療には外来とは異なる難しさがありそうですね。

【寛朗院長】訪問歯科診療では、家族のキーパーソンになっている人を見つけなければいけません。その人がどこまで患者さんにエネルギーを注げるのか。介護をしている人にも生活がありますし、ご本人の限界やご家庭の事情もありますから、ご本人が機能を維持してできるだけ自分のことを自分でできるよう、ご本人とご家族の意向や状態をくみ取った診療ができればと思います。ほとんど寝たきりの方でも、きちんと合う入れ歯を製作し、よく噛んで食べられるようになれば、体や心にもプラスに影響するかもしれません。要介護者のQOL向上のためにも口腔環境を良い状態で維持することは重要だと考えています。

歯科医療を通して健康寿命延伸を考えていらっしゃるのですね。

豊田寛朗院長、豊田河清先生、藤田絢美先生 黄河歯科医院4

【寛朗院長】お口からしっかり食べることは、孤立しない環境に身を置くことと併せて、健康寿命を保つために欠かせないものです。年齢を重ねると、嚥下に使われる筋肉も衰え、むせたり、食べこぼしたり、飲み込みが難しくなったりしますから、食べる機能を鍛えることは大事です。具体的には咀嚼と嚥下の機能を向上させるためのお口の体操を取り入れて指導します。
【河清先生】ただ長く生きることが幸せなのか、時に考え込んでしまいます。元気にやりたいことができれば生きていることに喜びも感じられるでしょうが、そうでなくなってしまった際に長生きを喜びと捉えることは難しいのではないでしょうか。だからこそ、元気なうちに充実した時間を過ごし、後悔のない人生を送っていただきたい。お口の健康からそうした人生の充実をサポートしていければと思います。

食べることは生きること、人生の充実に欠かせないもの

充実した人生を送るには、よく噛んで食べられる健康な口腔環境が不可欠ということですね。

豊田寛朗院長、豊田河清先生、藤田絢美先生 黄河歯科医院5

【寛朗院長】そのとおりです。食べることにはリスクもありますが、同時に食べることは生きることでもあります。歯科医師としては、ご自身で噛んで味わいながら食べるという行為を、できるだけ長く続けてほしいと思います。お口の健康を維持することが健康寿命につながり、そのことで介護に関わるご家族など、周囲の方の負担軽減にもつながると考えます。
【絢美先生】口腔機能へのアプローチは小児期と老年期が一般的ですが、実は両者には深い関わりがあります。小児期の発育・発達が不十分だった場合、年を取ってからの衰えも早いということがいわれていて、トータルで健康寿命を縮めてしまうことになりかねません。

お子さんの診療についても詳しく教えてください。

【絢美先生】現在、18歳未満のお子さんに対する口腔機能発達不全症の診療は健康保険が適用されます。お子さんの咀嚼、嚥下、構音機能を正しく獲得、発達させるためには、成長を見ながら長期にわたりトータルに管理していく必要があります。お子さんはもちろん、親御さんと信頼関係を築くことを大切に診療しています。
【寛朗院長】小児の口腔機能発達不全症は増加傾向にあります。機能訓練のための口腔筋へのアプローチには、乳歯から永久歯へ生え替わる時期を通してお子さんの歯列を整える効果も期待でき、将来的なメリットを考えてもぜひ適切な時期に受けていただきたいですね。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

豊田寛朗院長、豊田河清先生、藤田絢美先生 黄河歯科医院6

【寛朗院長】近年、高齢化に伴う労働人口の減少など、社会が大きな変化にさらされていることをますます肌で感じるようになりました。そんな中でも、現状の医療サービスを維持できる環境を整備し、患者さんに安心して通い続けていただける、普遍的な医療を追求していきたいですね。

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