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大川 伸一 病院長の独自取材記事

神奈川県立がんセンター

(横浜市旭区/二俣川駅)

最終更新日:2019/08/28

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その名のとおり、神奈川県内のがん医療の中枢機関としての重要な役割を担う「神奈川県立がんセンター」。その高度な専門性の治療を求めて、県内はもちろん、遠方からも多くの患者が訪れている。院内に臨床研究所を有し、他施設や各診療科と共同で臨床に直結する研究を数多く行っていることも特徴。2015年には先端的な放射線治療として注目を集めている重粒子線治療の専門施設を開設し、治療をスタートさせた。病院長を務めるのは大川伸一先生。少しでも同病院を訪れる人の不安を軽くしたい、支えになりたいという思いで病院長として医師やスタッフをまとめ、患者の立場に立った温かな医療を追求している。そんな大川院長に、病院の成り立ちや特色、強みである重粒子線治療やがんゲノム医療、大切にしている想いなどについて聞いた。
(取材日2018年8月16日)

高度で専門的ながん医療の提供がミッション

病院の歴史と特色についてお聞かせください。

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当病院は1963年に神奈川県立成人病センターとしてスタートし、主にがんを中心に循環器分野の診療を行ってきました。当時は55床くらいの小さな規模の病院でしたが、だんだんと診療科と病床を増やし、1986年に「神奈川県立がんセンター」として再編されました。2002年には地域がん診療連携拠点病院、2007年には都道府県がん診療連携病院の指定を受け、2010年には運営母体が地方独立行政法人に移行します。2013年には病棟の建て替え・移転を行い、2015年から重粒子線治療施設「i-ROCK(アイロック)」を開設し、治療を開始しました。当院は神奈川県内のがん医療をリードすることをミッションにした病院で、より高度ながん医療の提供を目的としています。また、臨床研究所が付帯していることも特徴で、医師と研究者が協働で、がんの診断や治療の向上などにつながる研究を行っています。

強みの一つである重粒子線治療について教えていただけますか?

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がん治療の3つの柱は、外科手術、抗がん剤による化学療法、放射線の照射による放射線治療で、重粒子線治療は放射線治療の一つです。現状、残念ながら通常の放射線は、がん以外の正常な部位にも障害を与えてしまうおそれがあるため、治療にはいろいろな工夫と技術を必要とします。しかし重粒子は、正常な細胞をほとんど傷つけずにがん細胞を集中的に攻撃していくのが特徴です。また、がんを殺傷するパワーが強いため、難治性のがんにも効果が期待でき、照射回数も少なく済むことがメリットです。現在は骨軟部腫瘍、前立腺がん、頭頚部がんの一部において保険承認されており、かつ重粒子線治療を提供できる施設が数少ないことから、非常にニーズが高まっています。また、患者さんの体にかかる負担が少なく済むためほとんどのケースが通院で治療可能で、通常の放射線治療を受けることが難しいご高齢の方やお仕事で忙しい方などにも適した治療といえますね。

他にも力を入れている分野などについてお聞かせください。

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リハビリテーション部門にも力を入れています。専門の医師とスタッフのもと、基本的に手術前からリハビリを開始します。筋力が衰えるのをできる限り防ぐことで、術後の回復が早くなり、入院期間が短くなる、また合併症の発生頻度が下がるなど、たくさんの良い流れを生み出します。緩和ケア部門でも、できるだけ早い段階から、各分野の医師や看護師がチームで緩和医療に取り組むことで、治療成績の向上につなげています。また、化学療法などで生じる外見の変化による悩みには、アピアランスサポートセンターの専門のスタッフがきめ細かに応じています。例えば脱毛にはウィッグ、肌の黒ずみにはメイクを、患者さんの悩みや好みに合わせてご紹介することで、少しでも前向きな気持ちで過ごしていただこうという支援です。実際に男性・女性ともに多くの方から、同センターがあることで相談しやすく、悩みを抱え込まずに済むという声を頂いています。

病院長として大切にされているのはどのようなことでしょうか?

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当病院はがんの専門病院として、多くの方々に満足してもらえる治療を提供することを大切にしています。満足いただける治療とは何かと考えたとき、技術の高さはもちろん、患者さんと医師やスタッフの人間同士の関係が非常に重要だと思っています。医師やスタッフにとってはたくさんの患者さんの中の一人かもしれませんが、患者さんにとってはその医師やスタッフがすべてです。特に初診で来られる患者さんはただでさえ強い不安を抱えていらっしゃいますから、気持ちの良い対応で信頼関係の第一歩を築き、安心して治療に臨んでいただくことが重要だと考えています。私が病院長に就任した当時は、職員たちの真面目さが良い点である一方、接遇面をより強化していく必要があると感じ、職員同士のあいさつの徹底を呼びかけてきました。それがだんだんと実を結び、病院全体の雰囲気が明るくなったとお褒めの言葉を頂けるようになったのをとてもうれしく思います。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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医療の流れとして、がんに限らず多くの医療は入院から外来へとシフトしています。当院でも病院建て替えの際に、外来化学療法室の規模を大きくし、現在では一度に60人の化学療法が行える体制を整えていることが特徴です。また、現在注目されているのが、遺伝子の形を調べることで、その方により効果が期待できる治療を見つけていくというがんゲノム医療です。当院では国立がん研究センター中央病院と連携する、がんゲノム医療連携病院の指定を受けました。がんは2人に1人がかかる病気で、誰にでも発病する恐れがあるといわれています。がんに対して、医療がどこまで応えていくことができるかは重要な使命であり、その使命を担う病院として、今後もより良い高度ながん医療の提供に、チーム全体で連携して努めてまいります。

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