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小長井 直樹 院長の独自取材記事

大森内科ハートクリニック

(大田区/大森駅)

最終更新日:2021/10/12

小長井直樹院長 大森内科ハートクリニック main

大森駅にほど近い「大森内科ハートクリニック」。院内を彩るのは、紫色のブドウのロゴマークと、患者から贈られた植物や絵画たち。小長井直樹院長は「これは開院のお祝いに患者さんから頂いたもので……」と顔をほころばせながら院内を案内してくれた。都内の総合病院で心臓血管外科部長、大学病院の外科では准教授として腕を磨き、これまでの経験、知識、技術で地域に貢献したいと、2011年4月に地元・大森にて開院。内科・循環器内科・外科・心臓血管外科を標榜し、特に自身の専門分野である下肢静脈瘤と動脈硬化に治療に力を注ぐ。ブドウのロゴマークの秘密、診療へのこだわり、日頃の生活など、普段なかなか聞けない貴重なエピソードをたっぷりと聞いた。

(取材日2012年1月10日)

専門の下肢静脈瘤と動脈硬化の治療にも対応

かわいいブドウのロゴマークが印象的ですね。どのような意味があるんですか?

小長井直樹院長 大森内科ハートクリニック1

ありがとうございます。ロゴマークは結構こだわってます。当院は「下肢静脈瘤と動脈硬化の治療」を行っているクリニックだという目印をマークで表したらこうなりました。下肢静脈瘤とは、足の静脈が拡張し血液が滞ることで起こる疾患で、静脈瘤の血管のことをギリシャ語で「バリコーズベイン」といいます。そしてこの「バリコーズ」こそが、ブドウのことなんです。また、テレビ番組の動脈硬化特集などで、「動脈硬化の予防には赤ワインを飲むといい」と聞いたことのある方も多いと思うのですが、ブドウには動脈硬化の予防性の高いといわれるポリフェノールが豊富に含まれているんです。こうした2つの理由から、ぜひともブドウのロゴマークを作りたいと、知り合いのデザイナーにアイデアを伝えて作ってもらいました。残念ながら僕はあまり絵心がないので(笑)。

先生も赤ワインを飲むなどされているんですか?

僕はポリフェノールよりもホップが多いかな。麦とか、麹とか、米とか、ブドウ以外のお酒も大好きですね(笑)。実はロゴマークを決める時に、ブドウではなく麦という案もあったんですよ。足で麦踏をすると麦は強くなる性質があるので、そういう意味で、麦。動脈硬化にしても静脈瘤にしても、適度に歩いて足を鍛えることはとても大切です。例えば動脈硬化による血流障害の場合も、運動すると体は血流を欲しますから、自然と細い血管も太くなり血管自体も増えていきます。静脈瘤についても、歩くとふくらはぎの筋肉が収縮し、血液の循環を助ける作用があるんです。“足は第二の心臓”といわれる理由ですね。実は僕も体力づくりのために、当院の裏にあるスポーツジムに通っているんですよ。この40坪のクリニックの中を行き来するだけでは、どうしても運動不足になってしまいますからね(笑)。

下肢静脈瘤と動脈硬化の治療を行っているクリニックは多いのでしょうか?

小長井直樹院長 大森内科ハートクリニック2

確かに、静脈瘤や動脈硬化の外来を扱う町のクリニックはそんなに多くはないと思います。開院したての頃は、物珍しさから患者さんがこぞってやって来ました(笑)。開院のきっかけはとても単純なんですよ。僕は大学病院などの心臓血管外科で勤務医をしていた頃から、心臓に関わる病気の一環として静脈瘤や動脈硬化の治療にもあたっていたんです。ですから、これまでに培った知識と技術を生かして血管外科の専門家として、これらの病気でお困りの大森周辺の方がわざわざ遠方の病院にかからなくても済むようにサポートしていきたい。そして、風邪も腹痛も不整脈も高血圧も、どんな症状にも対応できるホームドクターとして、地域に密着した医療をご提供したい。そんな思いで開院したんです。

下肢静脈瘤の治療は、保険適用のレーザー手術で

下肢静脈瘤というのはどんな病気ですか? もし放っておいた場合、どうなりますか?

小長井直樹院長 大森内科ハートクリニック3

動脈瘤のように血管(動脈)が破裂すると命の危険につながるものと違い、静脈瘤は放っておいても直接命に関わるようなことはほぼありません。そもそも下肢静脈瘤とは、血液の循環がうまくいかず血流が逆流することで静脈内の圧が上がり血管が拡張。結果、足の表面に血管が太く浮き出て瘤(こぶ)のように膨れ上がる病気です。命に関わることはないにせよ、むくんだりだるくなったりという症状が悪化することもありますし、うっ滞性皮膚炎と呼ばれる静脈の循環不全に起因する慢性皮膚疾患が起こることもあります。人間は生活の中で立っている時間が多く、年を経るごとに足にかかる負担は大きくなるもの。不安な方は一度受診しに来てほしいですね。

レーザー機器を使用した下肢動脈瘤の日帰り手術は、保険適用で行えるそうですね。

はい。手術の方法はいろいろありますが、お勧めはレーザー機器を使用した日帰り手術です。2011年1月に厚生労働省の認可が下りて保険適用となりました。しかも従来の方法、静脈抜去(ばっきょ)手術では血管を引っこ抜くため、痛みがあり傷も残りやすい上、入院が必要で、経済的にも時間的にも身体的にも患者さんの負担が大きかった。保険適用前にはずっと躊躇してきた人が多かった中で、レーザー手術の登場に、やってみようかなという人も増えているんですよ。

下肢静脈瘤や動脈硬化を防ぐにはどんなことに気をつけたら良いのでしょうか?

小長井直樹院長 大森内科ハートクリニック4

静脈瘤は60歳以上に多く、女性の約4割、男性の約2割の率で発症するとされています。体質や遺伝的な素因もあり、親兄弟に既往歴のある人がいると、若い時に発症することもあります。特に立ち仕事の方はなりやすく、女性は出産のたびに発症率が高まるといわれており、予防はなかなか難しいですね。できることとしたら、予防用の弾性ストッキングを履いたり、横になって足をクッションの上に乗せて高くしたり、とにかく血流の滞りが起きないようにすること。一方、動脈硬化は食生活や運動不足といった生活習慣と深く関与しているので、日頃の食事、運動、タバコなどへの気遣いが必要で、それだけでもかなり発症リスクが下がると考えています。患者さんに指導する立場として、僕ももっと裏のジムに行って運動しないといけませんね(笑)。

これまで培った知識や技術で、生まれ育った土地に貢献

そもそも、小長井院長が医師をめざされたきっかけは何ですか?

小長井直樹院長 大森内科ハートクリニック5

子どもの頃から生物が好きで、生物関係の仕事がしたいと思っていたんです。ただ生物学者のように研究職ではなく、臨床というアプローチで直接患者さんと触れ合い人間を治していくということに興味があって、それで医師を志しました。外科を選んだのは、僕が子どもの頃大ヒットしていた、脳外科医師が主人公の海外ドラマの影響でしょうか(笑)。メスで切って、直接自分の手で人を治したいという気持ちが大きかったんです。

実際の診療ではどんなことを心がけていますか?

大学病院での勤務経験を踏まえ、のんびり構えて患者さんと同じ目線で接することを大切にしています。カルテが山積みにされた環境で、診療時間も1人1分なんて当たり前。3分診れば良いほうだといわれるぐらいです。そうした経験から、もっとのんびり構えて気軽に来ていただける場所が大事だと感じています。患者さんの話をたくさん聞いて、何よりも信頼関係を重視しています。例えば他院では検査技師が行っているような作業も、極力僕自身が行うようにしてます。「ここはこうですよ」と、医師がその場で説明しながら検査や治療を進めていくほうが、患者さんには安心していただけますからね。信頼関係なくしては小さな町のクリニックで手術するなんて、なかなかできないと思います。

患者さんとのエピソードで印象深かったものはありますか?

小長井直樹院長 大森内科ハートクリニック6

本来、動脈硬化とは自覚症状がなく、気づかないうちに進行し、悪化すると心筋梗塞や脳梗塞になることさえあります。当院ではさまざまなアプローチによって血管の状態を見ていくことで動脈硬化の予防や早期発見に努めていますので、今まで気づかなかった動脈硬化が見つかるといったこともありますよ。そうした患者さんたちからは、「ありがとうございました」と贈り物を頂くことも。この絵も、そこの観葉植物も、あの花もそうです。おかげで院内が明るいです。しかも「そろそろ替え時でしょ」とまた別のをお持ちくださる方もいるんですよ(笑)。こんなふうに患者さんから温かく接していただくとやりがいを感じます。これからも、患者さんとのアットホームな関係を大切にしていきたいですね。大森は僕の出身地でもあるので、この地のホームドクターとしてさらなる信頼を寄せていただけるよう懇切丁寧な診療に努めていきます。

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