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中野稔也 院長の独自取材記事

市ヶ谷メンタルクリニック

(千代田区/市ヶ谷駅)

最終更新日:2021/10/12

中野稔也院長 市ヶ谷メンタルクリニック main

市ヶ谷駅からすぐ。外濠沿いの美しい緑を臨むビル2階に「市ヶ谷メンタルクリニック」がある。パッと目を引く、親指を立てた手のかたちのロゴマーク。そして「もやっとオフ」の不思議なフレーズ。「『何じゃこれは!』と、なんだか笑い出したくなるようなネーミングにしたかったんですよ」と、にこやかに笑うのは中野稔也院長。とにかく穏やかな、優しい笑顔が印象的だ。NLPセラピーを治療に取り入ることで、うつ病を中心に摂食障害やパニック障害、さまざまな悩みの外に抜け出すことを実践。大きな効果をあげているという。「もっと多くの人にNLPセラピーのことを知ってほしい」という中野院長に、日々の診療で感じる思いやNLPセラピーとの出会い、今後の展望など、たっぷりと語っていただいた。

(取材日2011年9月27日)

悩みの外に抜け出てしまうNLPセラピーを実践

とてもあたたかい雰囲気のクリニックですね。

中野稔也院長 市ヶ谷メンタルクリニック1

ありがとうございます。2011年5月に開業したばかりなんですよ。たまたま近くのスポーツクラブに通っていたこともあり、このあたりは馴染みのある場所でした。駅からも近く、窓から見える外濠沿いの緑もなかなかいいでしょう?クリニックのネーミングについては、かなり考えました。本当は「市ヶ谷メンタルクリニックもやっとオフ」までを正式名称にしたかったんですけど、規制があってできなくて。「もやっとオフ」とは、悩みのぐるぐるから抜け出て元気になるという意味。語感の感性分析の専門家の黒川伊保子先生にご相談させていただくなかで、「宝石に『カラット』という単位があるように、もやもや度を量る『もやっと』という単位がったら面白いね」という考え方から出てきたんです。なるべくわかりやすいようにと考えたロゴマークも、「どんとこい!」という思いを込め、みなさんに覚えていただきやすくていいかな、と思っているんですよ。

どのような患者さんが多くいらっしゃるのでしょう?

基本的にはホームページを見ていらっしゃる方がほとんどなので、都内全般からいらっしゃいますね。年代は、20代〜50代の、どちらかというと若い方が多く、症状としては、やはりうつ病が中心。昔に比べ、こういったメンタルクリニックの敷居が低くなっているとは思いますが、その日の朝、会社に行かれなくなってしまって、診断書も必要だということで切羽詰って来院される方も大勢いらっしゃるんですよ。今は完全予約制のクリニックも多く、当日の受診ができなくて何十軒も断られたという方もいらっしゃるんですが、ここでは当日の受診ももちろん大丈夫。安心して来ていただけたらうれしいなあと思いますね。

NLPセラピーという特徴的な治療を行っていらっしゃると伺いました。

中野稔也院長 市ヶ谷メンタルクリニック2

はい。この治療がしたくて開業したんですよ。患者さんもホームページを見て、「これだったら自分もなんとかなるかもしれない」と思って来てくださる方が多いですね。どんな症状の方にも効果が期待できるんですが、一番大きな効果があってスパッと効くのがうつ病の方。認知行動療法が悩みのなかに思考の癖を見つけて問題点を探していくのに対し、NLPセラピーはその悩みの外に出てしまえばいい、という考え方なんです。具体的には、まず注目するところにエネルギーが流れるという大前提があって、例えば、うつ病の方は「どうやったら自分のうつは治るのか」「今飲んでいる薬はこれでいいのか」「なぜ自分はうつになったのか」といったように、うつ病をテーマにした情報空間のなかにいて、そのことについて考えたり感じたりする時間や量がとても多くなってしまっているんですね。なので、朝起きた時にも「昨日の夜は眠れなかった」とか「新聞を読む気にならない」とか「食欲がない」とか、どうしても「うつ」に当てはまることばかりを意識して印象に残してしまう。でも朝起きて飲んだ1杯の水は意外においしかったかもしれないし、何気なくトイレに行ったら意外にいいウンコが出てスッキリしたかもしれない。その「おいしい」「スッキリした」と感じている瞬間はうつについてのグルグル思考からは抜けているんですね。そういった一瞬にしっかり意識をむけて、そういった瞬間をできるだけ増やしていくという方法論をとります。普通のカウンセリングが悩みを聞くだけなのに対し、ここでは悩みから抜け出して、その抜け出した状態を保てるような方法論に則っていますから、3回か4回でやるべきことはすべて終了。基本的には、そこで卒業という形なんです。ちょっと考え方が凝り固まったような方でも、年齢や性別も関係なく取り組んでいただくことができますし、うつ病の症状が出てからの期間なども関係なくセラピーの効果は出てきます。調子がよくなってくると、お薬の量も減っていきますね。万能のように聞こえてしまうかもしれませんが、ずっと悩んでいらした方にとっては、悩みのグルグルからから抜け出す新たな道になると思っています。

考えただけで元気になる「WILL」を持つことが大事

NLPセラピーと出会われたのは、どういったきっかけだったのでしょう?

中野稔也院長 市ヶ谷メンタルクリニック3

もともとNLP(神経言語プログラミング)というのは、1970年代にアメリカで開発されたコミュニケーション技法・心理療法技法の体系で、ベトナム戦争の帰還兵の精神的回復の援助に大きな効果をあげたもの。最近の日本では、コーチングのスキルや営業マンの業績アップのためコミュニケーション能力向上スキルとして紹介されることが多く、経営者やビジネスマン向きの心理学として使われていました。僕は経営者向けのセミナーを受講するのが好きだった時期があって、そこでNLPと出会いました。とてもわかりやすくて、効果もあるんですが、精神医学の世界ではまったく注目されていなかった。気持ちの落ち込んでいる方に直接使ってしまうと、パワフル過ぎてしまう一面があるんです。「どうにかすることはできないのか」と思っていたところ、NLPをうつ病の治療に応用して成果をあげていらっしゃる椎名雄一先生に出会い、本当に多くのことを学ばせていただきました。それまでの勤務医時代、1日100人〜150人近い方の診療をし、薬中心の治療では何か足りないとずっと感じていたんですが、そこを補えるのがNLPセラピーだと思いました。自己啓発的な心理学であったり経営者向きのセミナーで使われているものということで、ちょっと怪しげだと思う方も多いせいか、まだご存知ない方がほとんど。「これだけ効果のあるものなんだから多くの方に知ってほしいし、症状を改善してよくなってほしい」その思いが、開業への気持ちへとつながってきたんですよ。悩みから「抜けた」というようなところまでくると、患者さんの表情も一変。すぐにわかるんです。1人でも多くの方が「抜け出て」くださることが、僕にとっても一番やりがいに感じるところですね。

お忙しい先生。いつかこんなことがしてみたいということはありますか?

中野稔也院長 市ヶ谷メンタルクリニック4

毎晩の晩酌で息抜きもしていますから(笑)、決して忙しさに追われてしまってはいないんですよ。僕は、「WILL」=「WISH」だと思うんですが、「こうなったら最高だな」という、うれしいゴールを持っていたほうが、人は芯ができるんです。それが可能か可能じゃないかはどうでもよくて、考えただけで幸せな気持ちになってしまうようなWILL.。僕のWILLは、大好きな矢沢永吉さんと1対1でお酒を飲むことです。それも、ただお酒を飲むだけではなくて、矢沢さんが詳しくなくてもいいから僕のことを知ってくれていて、「中野くん。最近頑張っているね」と声を掛けてくれる。そんなふうになったらサイコーだなあと思うんですよ。それには、今やっているNLPセラピーを頑張って年間3万人以上いる日本の自殺者を5千人以下くらいになるよう努力を重ねたら、もしかしたら矢沢さんが僕のことを知っていてくれるかもしれないですよね。そう考えるだけで元気になってきて、ついニタニタ笑ってしまう、これこそがまさにWILL。究極を言えば、そのWILLを見つけるのが、ここでやっているNLPセラピーだとも言えますね。

NLPセラピーを多くの人に知ってもらうために努力していきたい

摂食障害の患者さんも多いそうですね。

中野稔也院長 市ヶ谷メンタルクリニック5

はい。女性を中心に20代〜40代まで、幅広い年齢層の方がいらっしゃいます。なかには、過度のダイエット(拒食)から始まって、経過の中で過食・嘔吐が日常の習慣になってから10年、20年と経っているという方もいらっしゃいます。医療機関によっては、「摂食障害のほとんどは人格障害だ」という発想で厳しい扱いを受けることもありますし、命に関わる拒食症と違って過食症は「病気じゃない。自分の問題。」と、結構ぞんざいに扱われてしまうこともあるので、あまり病院にはかからないようにしようと思っている方も多いんです。そういった方がホームページをご覧になって、「10年ぶりに病院に行ってみようと思ってきました」という方も大勢いらっしゃいますね。行動習慣を変えるまでは少し時間が必要なこともありますが、みなさん、最初のNLPセラピーで「出口が見つかった!」という感覚をつかんでいただいています。ここでも大事なのはWILLを見つけることなんですね。一歩先(過食のない生活)より百歩先(WILL)に意識を向けよう!ってよく話します。この場合のWILLは「こんな私になれたら、もうサイコー!で、たとえ体重が100kgあってかまわない!」という、うれしいゴールのことです。このWILLが明確になって、WILLのことを考えている時間が増えて、WILLに向けての具体的な行動が増えてくる中で、自然に過食を手放していく人がほとんどです。よく摂食障害は親子関係に問題があるというようなことも言われますが、僕たちは、あまり原因は探らないんです。トラウマという言葉に対しても、ものすごく単純なんですが、「トラウマではなくシマウマって言いましょう」ってお話するんですよ。トラウマという言葉の響き自体が、なんだか乗り越えられない響きに聞こえてしまうでしょう?でもシマウマだったらなんだか乗り越えていかれそうじゃないですか。こういうパッと気持ちを切り替えられるよう話をするのも、NLP的なテクニックの1つですね。

健康を守りつつ、明るく前向きな気持ちで生活を送っていくために、読者にメッセージをお願いします。

中野稔也院長 市ヶ谷メンタルクリニック6

例えば、窓の外から聞こえてくる鳥や虫の声が耳に入ってくる方というのは、あまり悩まないんです。凝り固まって悩んでしまう方というのは、頭のなかの情報でとらわれて悩んでしまうので、五感を通して今入ってくる情報に余り反応がなかったりするんですよ。「鳥が鳴いているなあ」と思った瞬間は、悩んではいませんから、そういう瞬間をたくさん作るようにしたほうがいいですね。その時間が長ければ長いほど、悩みからも遠ざかることになりますから。僕が開業を決めたのは、NLPセラピーをもっと多くの方々に知っていただき、それを使って、うつ病を治したり悩みから抜け出すということを定番化していきたいと思ったからです。今後、一層そのための努力をしていきたいですし、いつかマッサージのチェーン店のように、ここでの経験を生かし、メンタル系の手軽に利用していただける店舗をたくさん作れたらいいなあ、とも思っています。実は、ここのセラピールームには4メートルの直線距離があるのですが、それはタイムラインをはじめとしたNLPのボディーワークができるための空間なんです。4メートルを過去から現在そして未来にわたる時間の長さに置き換え、例えば嫌なことのあった過去の時点の場所に立って、そこでガッツポーズなどの力強い体の使い方で気持ちを切り換え、その力強い気持ちとその力強いポーズのまま、現在や未来の場所に向かって歩いてみるんです。そうすると、その過去の嫌なことがどうでもよくなってしまったりするんです。そんなふうに、意外に短時間で簡単に悩みから抜け出せるもの。ぜひ、気楽にいらしていただきたいですね。心からお待ちしています。

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