健康管理から緩和ケアまで幅広く
チームで応える訪問診療
みらいメディカルクリニック西六郷
(大田区/雑色駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
高齢化が進む中、「訪問診療」のニーズは確実に高まっている。一方で「通院するよりも不便なことが多いのでは?」というイメージを持つ人も少なからずいるのではないだろうか。しかし実際は、クリニックを受診するのとほぼ変わらないレベルの診療を受けることが可能なのだそうだ。「住み慣れた場所で行うからこそ、できることもあります」と話すのは、「みらいメディカルクリニック西六郷」の松本昌和先生。同院では法人内の施設や地域の多職種と連携しながら、患者が安心して暮らせるよう心身両面のサポートを図っている。リハビリテーションスタッフによる訪問リハビリを行っているのも多職種連携の一つだ。そんな同院の若きリーダーである松本先生に、訪問診療に関する素朴な疑問に答えてもらった。
(取材日2020年3月24日)
目次
定期的な訪問で身体的・精神的に安心できる支援を
- Q訪問診療とは何ですか? また対象となるのはどんな人ですか?
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A
訪問診療とは、通院するのが困難な方や介護が必要な方、退院後のケアが必要な方のご自宅や施設に、医師が定期的に出向いて診療を行うものです。「往診」と混同されやすいのですが、こちらは病状が悪化した際などに患者さんやご家族からの依頼を受けてから診察に出向くもの。つまり、計画的な健康管理か否かという点が異なります。もちろん、訪問診療を受けている方も具合が悪いときはいつでも相談できますし、必要に応じて往診や入院先の手配なども可能です。訪問診療の対象には、上記に挙げた例のほか、自宅・施設での療養を希望される方、がんの末期で緩和ケアを希望される方、難病・重度障害者の方なども含まれます。
- Qどんな診療を受けられるのでしょうか?
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A
自宅や施設での診療というと、「医療機関で受けるよりも不便なことが多いのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、医療機器の発達や改良に伴い、現在では入院中と同程度の診療が可能になりました。具体的には、全身状態の診察に加え、点滴や注射、薬剤の処方、床擦れの処置、人工呼吸器・経管栄養・中心静脈栄養・在宅酸素療法・人工肛門・気管カニューレなどの管理を行います。状況に応じて、血液・尿・心電図検査などの各種検査を行うこともできます。当院では、地域包括支援センターをはじめ、地域の歯科医院や介護施設と連携しながら、患者さんが在宅で安心して療養生活を続けられるよう総合的にサポートしています。
- Q訪問診療を受けるメリットを教えてください。
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A
何といっても、自宅や施設など住み慣れた場所で安心して診療を受けられることです。医療機関を受診する手間や交通費が軽減されますし、待ち時間が発生しないことも大きいと思います。体調が優れず横になりたい場合も、自宅ならリラックスして医師の訪問を待てますよね。また薬の処方も可能なので、訪問時に医師に出してもらう場合はもちろん、薬局を通じて常用している薬を自宅で受け取ることもできます。薬代も含め、訪問診療は医療保険が適用となります。加えて、定期的な診療だけでなく、当院のように24時間365日体制で対応しているクリニックもありますので、患者さんとご家族の安心という意味では心強いサービスではないでしょうか。
- Qこちらでは訪問によるリハビリテーションも行っているのですね。
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A
当院では、通院が困難な方のご自宅へ理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がお伺いしてリハビリテーションも行っています。1対1で行うため患者さんのペースで進められますし、住み慣れた環境の中で行うことで日常生活に即したきめ細かなケアができるのがメリットです。例えば、歩行訓練をする際は階段や段差の有無などの環境と、患者さんの状態を踏まえてリハビリ計画を立てます。訪問時は、食事・トイレ・入浴・料理・洗濯・掃除といった日常生活につながる動作のリハビリのほか、ご家族への介護のアドバイスや住宅改修に関する情報提供なども行い、身体機能の回復だけでなく、患者さんが生きがいを持って暮らすためのサポートに努めています。
- Q事前に知っておいたほうがいいことがあれば、教えてください。
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A
まずは、訪問診療を受けるまでの流れをご理解いただきたいと思います。主治医に相談するのが一般的で、いない場合はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、訪問診療を行っている医療機関を紹介してもらってください。近くに訪問診療を行う医療機関があれば、電話で問い合わせるのも一つです。当院では初めてご利用される場合、事前相談のお申し込みをお願いしています。そうして訪問診療を受けることが決まったら、私たち専門家を存分に活用していただきたいと思います。中には「家族で見てあげたい」と抱え込んでしまう方がいますが、頑張り過ぎないことと、専門家の意見に耳を傾けていただくことが大切だと感じています。