小笠原歯科医院

小笠原歯科医院

加藤 大輔院長

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下町の風情が残る街・大森。活気にあふれた駅前エリアの片隅で、「小笠原歯科医院」は地域に寄り添った歯科医療を提供している。同院で院長を務める加藤大輔先生は、歯科衛生士の専門学校で口腔微生物(細菌)学の講師も行っているベテラン歯科医師。その知識や経験を生かした、予防ベースの歯科治療が加藤先生の診療スタンスだ。加藤先生はもともと研究職を志望していたが、患者とのふれあいを通して臨床に惹かれ、同院院長に就任。歯科衛生士を置かず、一貫して一対一で患者と向き合う誠実な人柄が、同院の信頼に結びついている。今回は専門分野である口腔細菌学にフォーカスを当て、細菌の基礎知識や日頃のホームケアの注意点など、じっくりと話を聞いた。
(取材日2017年10月27日)

患者の笑顔を支えるため、研究から臨床の現場にシフト

―先生は口腔微生物(細菌)学という分野を専門となさっているんですね。

はい、細菌は虫歯や歯周病といった口腔疾患の原因となりますので、歯科治療における学びの中でも基本中の基本。歯科医療に携わる者として、原因を解明することの重要性を感じ、口腔細菌学を専攻しました。もともとは研究職に就くつもりで鶴見歯科大学の口腔微生物学講座に入局しましたが、歯科医院でのアルバイトを並行するうちに、次第に臨床への思いが強くなりました。そのタイミングでご縁があり、当院に勤めることになったんです。 現在は学んだ知識を生かし、静岡にある鈴木学園などで口腔微生物学の講師も務めています。もう10年近く通っていますが、遠方ということで気分転換にもなりますし、学生に教えることが自分自身の勉強にもなっています。

―口腔微生物についてもう少し詳しく教えてください。

種類は異なりますが、おなかの中にいる細菌と基本的には同じです。悪玉菌のような悪さをするのが虫歯菌、歯周病菌の類いですね。感染を防いでくれる細菌もいますから、環境を整えてバランスを保ち、悪い菌を増やさないことが大切です。実は、悪い菌は口腔内細菌のごく一部に過ぎません。それらの繁殖を抑えれば虫歯や歯周病を防ぐことができますから、日頃から口内環境を意識していただきたいです。 当院でも口腔細菌学を生かした予防などに取り組んでいます。口内環境の維持は細菌を繁殖させないためにも大切ですから、ブラッシング指導には力を入れていますね。磨いたつもりでも不十分なことはよくあります。歯間ブラシなども隙間に合ったものを使わなければかえって歯茎を傷める原因にもなります。正しい道具の選択含め、その方に合った指導を行っています。

―細菌のバランスが崩れる原因は何でしょうか。

一つは全身の状態です。まず、唾液の分泌量が減ると細菌のバランスが崩れやすくなります。体質的に少ない人もいますし、唾液腺の病気や薬の副作用が影響する人もいます。妊娠中や思春期の女性も注意が必要です。というのも、ホルモンバランスが変化することで、女性ホルモンが好きな細菌が歯茎に住み着き、歯周病や歯肉炎を引き起こしやすい状態になってしまうのです。糖尿病の人も免疫力が落ちるので、歯周病のリスクが高まります。細菌のバランスが崩れるもう一つの原因は食生活です。例えば、虫歯菌は糖分を栄養にするので、甘いものをいつも食べていると繁殖してしまいます。ですから、甘いものを食べた後は早めの歯みがきが必要なのです。

―甘いものを食べても虫歯にならない体質の人もいると聞きました。

そうですね。中には虫歯菌がもともと口内に存在せず、いくら甘いものを食べても虫歯にならない人もいます。しかしそういう人はまれで、子どもの頃に食器を通してご家族から虫歯菌をもらっている人がほとんどです。



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