忽那 一平 院長の独自取材記事
高輪クリニック京都
(京都市左京区/出町柳駅)
最終更新日:2023/10/13

京阪本線・出町柳駅4番出口から徒歩5分にある「高輪クリニック京都」は、発熱症状に特化した診療と、オーダーメイドの予防医療をめざす。2023年10月、新院長に就任した忽那一平(くつな・いっぺい)先生が、産業医学の知識や在宅医療の経験を生かした診療を行っている。就任して間もないが、睡眠の質に着目したアプローチや、スポーツと予防を絡めたイベントの開催など、すでにさまざまな構想があるという。「知識があれば防げる病気」にかからないよう適切な医療情報の提供に努める忽那院長に、院長就任の経緯や予防医学に興味を持った理由、予防医療で生かせる在宅医療の経験、今後の展望などを聞いた。
(取材日2023年10月5日)
「知っていれば防げる」経験から、予防医学へ
これまでのご経歴と院長に就任された経緯を教えてください。

病院やクリニックなどに勤務し、一般内科、プライマリケアを中心に診療を行ってきたほか、産業医学を学び、在宅医療にも取り組んできました。さまざまな経験を積んだことで、これからは「健康づくり」へのアプローチがさらに重要になると確信した私は、ゼロベースでこれから社会に役立てる仕事に就きたいと考えるようになったんです。次の新しいステージを探す中で、予防医学をメインとする数少ない医院である「高輪クリニック京都」と出会い、その理念に共感し入職を決めました。
なぜ予防医学に興味を持たれたのですか?
学生時代も含め、病院にいる時間が長いと、健康や医療に対する知識が不十分な患者さんを数多く目の当たりにしたり、知っていれば病気が防げたのではないかと感じることがあったりと、一般の方と医療者との情報量のギャップが大きいと思うところが多々ありました。そこで病気になる前、あるいは病気を繰り返す前の段階で関わり、予防に必要な医療情報を伝え、そのギャップを埋めていく役目を私の医師人生をかけてやっていければと考えたのです。在宅医療に関わっていたのも、終末期のことを知らないことで大変な思いをされる方も多いため、私が「伝える」ことで役に立てることがあればという思いがありました。
医師を志した理由を教えてください。

身内2人を肺の病気で亡くしていることがきっかけです。1人は生活習慣もあって仕方がなかったかもしれないけれど、その後に亡くなった1人は生活習慣に問題はなく、もしかしたら知識さえあったら病気そのものを防げたのではないかと今でも考えているんです。発見が遅れた上、とても苦しくなってから病院を変え、ようやく病名がわかったという経緯もありました。もし予防への取り組みや早期発見、セカンドオピニオンのどれかが機能していれば、また違う状況になっていたかもしれません。このような問題や後悔を、私が医師になって解消する役割を果たせたらと思い、医師の道を志しました。
患者の希望や悩みを出発点に、ともに考える医療を
一般診療も含め、こちらのクリニックの特色を教えてください。

当院の一般診療は、発熱症状に特化しています。患者さんはとてもきつい状態で来られるわけですから、検査・診察はスピーディーに、薬の処方は患者さんのご希望に応じて、なるべく早く楽な状態にして差し上げられるよう診療を行っています。ウェブ予約・問診なども設けており、一般診療は発熱に絞っていることからもかなりスムーズに受診いただけると思います。予防医学では腸内環境に着目し、オーダーメイドの予防医療としてさまざまなアドバイスを行っています。私は2023年10月に着任したばかりで、特色はこれから築き上げていくのですが、現時点では睡眠の質向上に着目したアプローチもしていければと構想しています。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
発熱症状の患者さんを診療する場合は特にスピーディーな対応を心がけています。オーダーメイドの予防医療の場合は、ご本人が何を希望されているのか、それに当院がどう応えていけるかをわかりやすくお伝えすることを重視しています。産業医学では一般の方々にどう話せば伝わりやすいかなども学ぶため、その点では説明に長けているのではないかと考えています。患者さんの希望だったり悩みだったりを出発点にして、それに沿ったものを一緒に考えていくとともに、さまざま疑問・質問も丁寧に対応し、理解・納得して帰っていただける医療サービスを提供していきたいと考えています。
説明時にはどのような工夫をされていますか?

患者さんの中には、ご自身だけが特殊な病気になっていると過剰に心配してしまう方も少なくありません。そのため「他の人も同じような症状が出ていますよ」「この病気は珍しいものではなく、同世代の100人中数人はなっていますよ」などと具体的に説明するように心がけています。患者さんにとってはご自身の体験だけで、他者がどうなのかはわかりませんよね。一方で、医師である私は集団として診る目線も持ち併せているので、さまざまなケースを経験し、それをお伝えすることができます。患者さんごとの理解度を意識しながら、その方の求める説明を過不足なく行い、納得してご帰宅いただけるよう努めています。
在宅医療の経験も予防医療の中で生かされていますか?
認知症予防が大事だとわかっているけれど、実際に認知症になったらこのような経過をたどるのかを認識できていないと、予防にも身が入らないのではないでしょうか。認知症や終末期の方、タバコを吸い続けてきた方の最期に寄り添えた在宅医療の経験は、数値だけでない真実のストーリーをお伝えできるという点で生かされていると思います。療養中のご家族のご苦労、介護離職された方など、一人で完結しないところも在宅のリアルです。それは予防の分野でも伝えていくべき経験だと考えています。
子育て世代の運動不足解消にもアプローチ
医師としてのやりがいはどこに感じますか?

医療の知識がなければ、何も知らないまま病気になってしまうこともあるでしょう。しかし医師の視点から見ると「無駄に病気にならない」ためのさまざまな予防・対策方法があります。知識がない方に適切な情報をお伝えすることで、病気を予防し健康寿命延伸を助けることができる仕事は、医師ならではの仕事です。アップデートされる情報を追いかけ続けなければならないという大変さもありますが、その分、医療の専門家として高い信頼性、強い影響力を持って、人の人生に関われるのが医師としてのやりがいです。
今後の展望を教えてください。
今後取り組みたいと考えているのが、子育て世代の運動不足の解消です。現在、近くにあるフットサルコートで、私の趣味でもあるフットサルを子どもと一緒に楽しみながら、健康について学びのあるイベントの開催を個人的に企画しています。また私も同じく子育て中の身として、同じ保護者の皆さんが疲れているだろうなと感じることもあるため、イベント内でエイジングケアのほか、予防医学についての情報提供ができればいいなと考えています。
地域の方々にメッセージをお願いいたします。

発熱症状に特化した一般診療を行う当院では、つらい思いをする時間をなるべく短縮できるように、また希望に沿える薬の処方を行っております。ウェブ予約・ウェブ問診などスムーズに診療に進めるシステムも用意しておりますので、発熱の際には当院にご連絡ください。オーダーメイドの予防医療では一人ひとりに合った健康づくりのアドバイスにこだわっています。さらなる健康をめざす方、予防医療に興味のある方はぜひお越しください。